AS/400展望台

プライバシーの値段



By Sharon Hoffman, Duke Communications International, Inc.
2000年の米国大統領選挙の大幅な遅れと不明確さは、テクノロジーを利用して投票をもっと簡単にし、投票結果を正確に集計するための方法は何かという重大な問題を私たちに投げかけます。これは、新しい概念ではありません。未来志向の米国の思想家、R. Buckminster Fuller(1895年 - 1983年)は、1963年に出版された著書"No More Secondhand God"の中で、「米国の成人ひとりひとりによる全国的かつ日常的な秘密投票のための機械的手段を考案すべきである。その結果、歴史上初めて、『民主主義』を実現することができる」と述べています。

現在投票結果の集計に使われている手段よりも正確な、コンピュータ化された投票システムの開発が可能であることは明らかです。このようなシステムによって、さらに多くの国民による投票権の行使が促進されるでしょう。また、Fullerの選挙哲学を民主主義実現のための手段として活用すれば、より大きな効果が期待できます。しかし、電子的でコンピュータ化された、インターネット上での投票を行った場合、極秘文書である投票用紙の機密性が侵害される恐れがあります。プライバシーの侵害と詐欺行為という潜在的な問題は存在しますが、このような問題が発生する可能性を懸念するあまり、テクノロジーの活用をあきらめるべきではありません。テクノロジーの専門家である私たちには、適切なテクノロジー・ソリューションを利用して、投票、医療記録、雇用歴、在庫数など、あらゆるデータの正確性と安全性を守る義務があります。

インターネットのプライバシーに関するさまざまな問題と同様に、電子投票に関連した問題にも、テクノロジー以外のさまざまな要因がからんでいます。テクノロジーの専門家が抱える大きな問題は、プライバシーに対する個人の権利と著作権などの知的所有権を守りながら、インターネットの大きな特長である自由な情報アクセスをいかにして実現するかということです。音楽を電子的に配布するウェブサイトとテクノロジーに関連した最近の訴訟問題では、この両立の難しさが浮き彫りにされています。同様に、不適切または不快感を与えるウェブサイトから人々(特に子供たち)を守ることについての議論では、言論の自由および出版の自由と、人々の保護を考量する必要があります。また、電子メールとチャットルームにおける匿名性についての論争も行われています。匿名は、プライバシーを保護する方法のひとつですが、大量のスパム・メールでネットワークを混雑させるような人々によって濫用されています。e-ビジネスの発展とインターネット上での情報共有の増加に伴い、このような問題がさらに複雑化しています。

ITプロフェッショナルたちはこれまで、データの損害や濫用の防止を重視してきましたが、企業データにアクセスできる人々の数は、以前は比較的少ないものでした。e-ビジネス・アプリケーションの普及が、データの安全性と完全性の問題の大幅な深刻化を招いています。さらにe-ビジネスでは、医療記録などのように、データを電子的に記録する機会が多くなります。これは、かつては出来なかったことです。今では簡単に転写できてしまいます。そのため、ITプロフェッショナルにとって、セキュリティとデータの完全性の保護に加え、人々のプライバシーを保護する責任が増大しています。

インターネットのプライバシーの問題に対応するための比較的新しいビジネス・アプローチとして、プライバシーの問題に専門的に取り組むCPO(Corporate Privacy Officer)の任命があります。CPOの役割は、プライバシー保護法と自社のプライバシー方針に企業を確実に準拠させることです。CPOは通常、法務と規定準拠のトレーニングを受け、ITについて明確に理解し、IT担当部門との密接な協力関係を保たなければなりません。現在、75の企業だけがCPOを置いていますが、IBMでは2000年11月29日にHarriet PearsonをCPOに任命して、このような企業の仲間入りを果たしました。

正式なCPOの職を設けているのは、プライバシーが最も重視される産業に属する最大の企業に限られていますが、近い将来皆さんがCPOに任命される可能性は低いでしょう。しかし、新しいITプロジェクトにおけるプライバシーの意味と、新たなプライバシー保護法におけるITの役割を考える立場に置かれる可能性は高いはずです。これは特に、銀行、保険、ヘルスケア産業で働く数多くのAS/400プロフェッショナルについて言えることです。このような人々にとって、企業による新たなe-ビジネス・アプリケーション開発に伴い、顧客と従業員のプライバシーの保護が非常に重要になります。この役割を果たすためには、プライバシー保護のための法的(および道徳的)要件と、電子的に保存および転送されたデータのプライバシーを守るためのテクノロジーについて理解する必要があります。


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