AS/400展望台

電子ドキュメント革命



Scott Steinacher著

バブル崩壊後の財政上の制限が大きな今、テクノロジ管理者は今まで以上にコストの削減とROIの達成に頭を痛めています。何百万ドルというお金を新規プロジェクトに投資するのではなく、現在使用しているアプリケーションとインフラストラクチャから効率化を引き出すことができ、かつコスト削減が可能なテクノロジへ投資をしています。こうした集中投資の背景がある一方で、電子ドキュメント管理(EDM:Electronic Document Management)ソリューションが新たなソリューションとして注目を浴びています。本稿では、EDMソリューションがどのように動作し、組織におけるドキュメントの印刷、配布、保存にかかわる要件の効率的な管理をいかに支援できるかについて考察します。

EDMの実装

EDMソリューションは、予め印刷されたフォームやインパクト・プリンタを使用して請求書、注文書などのビジネス・ドキュメントを作成する従来のシステムと異なり、コピー用紙、レーザー・プリンタ、プリンタ制御言語(PCL:Printer Control Language)やPostScriptなどといったページ記述言語を使用して見栄えのする出力を作成します。さらに、こうしたアプリケーションを使用することによりWebで使用可能なアーカイブにドキュメントを電子的に保存したり、ファックスや電子メールでドキュメントを配布したりすることが可能になります。

EDMソリューションにはさまざまなものがあり、そのすべてが実装までのキーとなる複数のステップを必要とします。まず、予め印刷されたフォームの電子版を作成します。iSeries市場の複数のベンダーが依然として5250ベースのツールをサポートしていますが、32ビットGUIベースのフォーム・デザイナを選択することで時間と労力を確実に節約できます。フォームの設計は、グラフや線や四角、テキストなどの一般的なフォーム要素からなるWord文書を作成するのと同様に直感的です。さまざまなフォントや、色、サイズ、太字、斜体字、文字の配置、下線などといった標準のテキスト属性を自由に使用できます。選択するソリューションは、小切手や主要なバーコードの種類を印刷するための磁性インキ文字認識(MICR:Magnetic Ink Character Recognition)をサポートしていなければなりません。また、スキャナで読み取られたドキュメントの画像を設計プロセスの出発点として使用するようなツールを提供しているベンダーもあります。こうした支援ツールは、電子ドキュメントに対応する紙の文書の基本的なレイアウトを維持する複雑なフォームを設計する際に特に有用です。

フォームの設計が終わったらスプール・ファイルからのデータで初期化する変数を定義します。たとえば、invoice#という名前のフォーム変数を作成して請求書フォームの右上の角に配置することが考えられます。次に、フィールドの位置(行、列、長さ)やフィールドを識別するためのその他の特性を使用してinvoice#という名前のフィールドをスプール・ファイルに定義します。印刷時には、スプール・ファイル中の請求書番号などのデータが電子フォームにマージされ、各請求書を記述するPostScriptやPCLのデータ・ストリームになります。このデータ・ストリームは複数のレーザービーム・プリンタに送られハードコピー出力されるか、.PDFファイルや.TIFファイルに変換されて電子的に配布されたりアーカイブされたりします。(図1

データ・マッピングの課題

電子フォームへのデータのマッピングは時間のかかる作業です。一例をあげると、印刷ファイル中のフィールドはすべてのドキュメントで同じ行や列に表示されるわけではありません。たとえば複数の請求書からなる1つの印刷ファイルでは、請求書あたりの項目数に応じて未払い額が違った行に表示されることがあります。オプションの印刷メッセージもデータのマッピングを複雑にしています。多くのアプリケーションで、テキストと顧客や注文を関連付けられるようになっています。本稿の請求書の例では、1件の請求書に複数のメッセージがある場合もあれば、メッセージがまったくない請求書もあります。つまり、印刷ファイル中にフィールドを定義するのは難しい場合が多いということです。

スクリプトの威力

この課題に対処するため、EDMソリューションには強力なスクリプト・コマンドがあり、条件付ロジックやブール・ロジック、算術関数、文字列関数を使用してスプール・ファイル中にフィールドを定義できます。たとえば、ある請求書の未払い額が行の特定の範囲に表示され、その前の特定の列にドル記号が常につけられるとします。ちょっとしたスクリプトを書くことで、未払い額が各ドキュメント上で異なる場所に表示される場合でもフォーム変数を未払い額で初期化することができます。

しかしスクリプトの使用は印刷ファイル中のフィールドの定義にとどまりません。スクリプトを使用して印刷ファイルの内容を問い合わせて、その結果にしたがってフォームの表示を調整することもできます。たとえばある顧客が出荷票に品目数をバーコードで入れるよう要求してきた場合、スクリプトを使用してスプール・ファイル中の顧客番号に基づいて品目数変数を整えることができます。

スクリプトを使用してドキュメントに新しい情報を追加することもできます。たとえば、出荷先の州に応じた承諾書ページの裏側に州ごと異なる保証情報を印刷することができます。ドキュメントの配布を管理するスクリプトを書くこともできます。データ・スクリプトを記述することでアプリケーションを変更することなくビジネス・プロセスをリエンジニアリングできるので、EDMソリューションの評価においては重要視される機能です。

ROIの配布

事前に印刷されたフォームやインパクト・プリンタを広範なEDMソリューションで置き換えることにより、コストの削減など多くの恩恵を得ることができます。たとえばコピー用紙は事前に印刷されたフォームより費用がかかりませんし、レーザー・プリンタはインパクト・プリンタよりも安価です。ドキュメントを電子メールやWeb経由で配布すればハードコピーの郵送にかかる費用も削減できます。電子ドキュメントのアーカイブも実装すれば、印刷ドキュメントのファイリング、保管、取り出しにかかわる手作業分のコストも削減できます。

たとえば、私のお客様に1台のサーバーで150万個のPDFファイルを保管しているお客様がいます(各PDFファイルが請求書となっています)。全国に分散しているユーザーがブラウザでこのアーカイブから最大8個の検索条件を任意に組み合わせて(たとえば請求書番号、請求日、顧客番号、顧客名など)請求書を数秒で取り出しています。この請求書のコピーがハードコピーの形で保管されていたとしたら、膨大な数のファイル・キャビネットとそれを格納するための大きな部屋が必要となっていたでしょう。また、目的とするドキュメントを探してフィールドにいる他のユーザーに配布するまでに膨大な時間がかかっていたでしょう。

コストを大幅に削減できるというだけでは、EDMソリューションの購入と年間の保守費用の捻出に踏み切る根拠として不十分でしょう。私の経験では、こうした製品を使用することによる目に見えない恩恵は目に見える恩恵を上回っています。顧客サービスを改善させることも目に見えない恩恵の一つです。顧客のユニークなニーズに合わせて調整した簡潔でプロ仕上げのドキュメントほど貴重なものはありません。Webベースのアーカイブで、顧客が顧客サービス部門に電話しなくても請求書や財務諸表にオンラインで簡単にアクセスできることほど価値のあることはありません。

ドキュメントは組織間、顧客、サプライヤなどとの間の重要なインタフェースですので、ドキュメントに関するサポート要求は共通しています。EDMソリューションではミッション・クリティカルなアプリケーションを修正する必要がないので、こうした要求を迅速にしかも低リスクで実現できます。

EDMソリューションにより、旧式のドキュメントが使えなくなることもなくなります。たとえば組織のロゴや名称、住所、電話番号などが変わったとしましょう。予め印刷されたフォームを廃棄して改訂版を注文しなくても、電子フォームをものの数分で変更できます。 最後に、EDMソリューションはディザスター・リカバリー・プランにおいても重要な要素の1つです。数百万の電子ドキュメントを保持しているサーバーのバックアップや復元が比較的容易に行えます。ハードコピーのドキュメントしかなかったら、その安全性をどのように保つのでしょうか。

まずはご評価を

電子フォーム・ソリューションはもともと印刷に主眼を置いていたましたが、組織がドキュメントをより効率的に保存、配布できるような堅牢なアプリケーションへと進化していきました。iSeriesの世界では、ERP市場の成熟、レーザー・プリンタの普及、Web接続、WindowsベースのコンピュータとiSeriesベースのコンピュータの強固な統合、そして何をおいてもROI達成に対する注目度の再認識などといった要因が重なったおかげでEDMベンダー達が堅調な伸びを見せています。皆さんの組織が依然としてインパクト・プリンタや予め印刷されたフォーム、ファイル・キャビネットなどに頼っているのであれば、電子ドキュメント管理ソリューションの恩恵を検討するのにまさに今が絶好の機会です。

Scott Steinacher氏は独立コンサルタントで、iSeriesプラットフォームについて15年に及ぶ経験があります。同氏は1999年以来、出力管理やWebベースのソリューションを実装してきました。



↑このページのトップへ
TOPPAGE

BELLDATA, Inc. Copyright reserved.