AS/400展望台

iSeries宝探し



Sharon L Hoffman著

iSeriesには新しいシステムを購入したときに自動的に付いてくる隠れた宝石が満載されています。こうした予め組み込まれているボーナスの中にはすべてのシステムの一部になっているものもあります。または広く使用されているライセンスが付与されている製品(LPP: Licensed Program Product)に関係しているものもあります。たとえばWebSphere Development Studio Client for iSeries(WDSc)はPDM、SEU、RPGコンパイラなどといった他のコンポーネントを含む同じLPP(5722-WDS)の一部であるので、iSeriesの開発者なら誰でもクライアント・ベースの全開発ツールにアクセスできます。一方その他のおまけは購入したモデルやOS/400の標準版とエンタープライズ版のどちらを選んだか、などに依存します。(本稿は主にV5R2の機能およびパッケージに基づいて記述されていますが、ここで説明する項目のほとんどは古いリリースでも利用できます。V5R3でないと利用できない機能については文中でそう述べます。)

どれを購入しても無償で提供されるもの
すべてのiSeriesにはデータベースからネットワークにいたるまでの無償の機能の埋蔵物が付いてきます。iSeriesの組み込み型機能はおまけのボーナスとしてOS/400に完全に統合されており、構成やトラブルシューティングに要する時間を大幅に削減してくれます。本稿では、他のシステムでは有償であるのにすべてのiSeriesシステムでは無償で提供する重要な機能の一部に焦点を当てます。

iSeries Navigator このPCアプリケーションは以前にはOperation Navigatorと呼ばれていたもので、PTFの複数システムへの配布、統合されたPCサーバーや論理パーティションの管理機能、CLコマンドの実行やスケジューリング、WrkActJob (Work with Active Jobs)やStrTCPSvr(Start TCP/IP Server)などといった作業管理タスクへのグラフィック・インタフェース、などの豊富なシステム管理機能を提供します。iSeries NavigatorはV5R3でWebベースのコンポーネントがさらに強化され、このコンポーネントをWebページに埋め込むことでブラウザからiSeries Navigatorの機能へアクセスできるようにしています。

さらにiSeries Navigatorには、Database NavigatorやSQL Assistなどといったさまざまなデータベース管理/操作ツールが備わっています。Database Navigatorを使用してデータベース・オブジェクト間の関係マップを構築することができます。SQL Assistはポイント・アンド・クリック式のインタフェースでSQL文を記述してRun SQL Script機能と統合でき、その場でSQLを記述してテストすることができます。

HTTPサーバー HTTPサーバーとかApache Webサーバーとかあるいは単に「Webサーバー」などと呼ばれているもので、iSeriesをインターネットに接続することを可能にしているソフトウェアです。たとえば、セキュア・ソケット・レイヤー(SSL: Secure Sockets Layer)を組み込んだセキュアなWebサーバーとしてiSeriesを使用することもできますし、離れた場所で5250クライアントやiSeries Navigator、WebSphere Studioを使用している開発者がシステムを利用できるようにすることもできます。

IBMのWebFacingツールを使用して作成されたより高度なアプリケーションに対しては、HTTPサーバーの他にWebSphere Application Server ? Express(WAS Express)などといったWebアプリケーション・サーバーが必要となります。しかし、Webアプリケーション・サーバーを導入する必要があってもHTTPサーバーがプレインストールされているのでその構成やテストを簡素化できます。

統合ファイルシステム(IFS: Integrated File System) IFSは最近のiSeriesアプリケーションのほとんどにとって不可欠なものです。たとえばJavaのソースとコンパイルされたクラスはIFSのルート・ファイルシステム中にXMLドキュメントとDominoのデータベースとして格納されます。DominoサーバーとWASサーバーのコードの大部分もIFSに格納されています。

IFSを使用して任意のPCファイルを格納することができます。たとえば、製品の写真をオンライン・カタログに載せるといった場合です。IFS上のファイルへネットワーク上からアクセスできるようにするために、iSeries Navigatorを使用してマウスを数回クリックするだけで利用できる共有ネットワーク・ドライブとしてIFSフォルダを指定することができます。最新のiSeriesサーバーは、追加の機能として保護ディスク機能やiSeriesのバックアップ機能などが備わったPCネットワーク用の高機能なファイル・サーバーとすることができます。

iSeriesの専門家がIFSについて語るとき、通常は画像やJavaクラスなどのデータが格納されているルート・ファイルシステムのことを言っています。しかし実際にはIFSにはルート・ファイルシステム、ライブラリ・ファイルシステム(iSeriesのライブラリやその他のオブジェクトが格納されています)、ネットワーク・ファイルシステムなどといった複数のファイルシステムが含まれています。その意味では、IFSはiSeries上に新しいオペレーティング・システム(たとえばLinux)を導入することを可能にする基本インフラストラクチャの一部となっています。

Java どのiSeriesでもJavaアプリケーションを実行することができます。Java仮想マシン(JVM: Java Virtual Machine )はシステム・ライセンス付与内部コード(SLIC: system licensed internal code )に組み込まれていて最適なパフォーマンスが得られるようになっており、Java開発キット(JDK: Java Development Kit)も無償LPPとして提供されます。

JVMとJDKに加え、無償LPPあるいはオープン・ソースのダウンロードとしてIBM Toolbox for Javaが提供されます。iSeries上またはiSeriesに接続されているほかのシステム上で実行されているJavaアプリケーションはToolboxのクラスを使用してiSeriesのプログラム、データ、メッセージ・キュー、スプール・ファイルなどにアクセスすることができます。同様に、iSeries上で実行されているJavaアプリケーションはJavaのJDBC機能を利用して他のプラットフォーム上のデータやストアード・プロシージャにアクセスすることができます。

論理パーティショニング(LPAR) ここ数回のリリースでIBMはLPAR機能を繰り返し強化し、LPARをより小さいシステムに拡張してきました。LPARを利用して開発作業と運用作業を分離したり、資源をさまざまなオフィスや部署に割り当てたり、LinuxアプリケーションやAIXアプリケーションをサポートしたりすることができます。たとえば、Linuxを実行するパーティションを作成してWASをホスティングし、そのパーティションを使ってエクストラネットをサポートするといったことができます。パーティション間の通信には仮想LANのサポートを使用していますので、このような設計をすればパフォーマンスを低下させずにセキュリティを強化できます。

プロセッサとメモリをパーティション間で共有したり、1つのパーティション上の作業負荷が別のパーティションにシフトされる際にプロセッサやメモリを自動的に再割当したりすることがいつでもできます。テープ・ドライブやプリンタなどといったデバイスに対して仮想I/Oを使用して複数のパーティションからアクセスできますので、冗長なハードウェアを設置する必要がなくなります。

ネットワーク機能 現行のiSeriesサーバーはすべてネットワーク構成ツールや障害解析ツールの他に多重高速イーサネット・アダプタをサポートしており、これらそれぞれを多重インタフェースで構成することができます。DHCP、DNS、SMTP、VPNなどその他の多数のインターネット標準のサポートも組み込まれています。

関係データベース iSeriesのデータベースであるDB2 UDB for iSeriesはシステムの本質的な部分であるがために、それがあって当たり前と考えがちです。しかしOS/400には制約、トリガ、コミット制御などといった機能を含むフル機能のSQL中心の関係データベースもあります。

セキュリティ ユーザー、ユーザー・グループ、データやプログラムへのアクセス権限などを定義するためのツールもOS/400の主要な部分です。最近のリリースではシングル・サインオンやディジタル認証などといった高度なセキュリティ機能もサポートされています。iSeriesのセキュリティはiSeries Navigatorを使用するかまたは従来からの緑色の画面のインタフェースを使用してコントロールします。

システム管理機能 OS/400にはさまざまなシステム管理用ツールがあり、その一部については既に述べました。たとえばセキュリティやネットワーク機能のサポートなどがその例です。iSeriesを他のプラットフォームと比較する際には組み込み式のジョブ・スケジューラ、電子カスタマー・サポートなどといった全システム管理機能を考慮に入れるべきでしょう。

WAS Express 現行のiSeriesアプリケーション環境においては、Webアプリケーション・サーバーはほとんどのブラウザ・ベースのアプリケーションにとって必須の存在です。Webアプリケーション・サーバーはそうしたブラウザ・ベースのアプリケーションとiSeries上で実行されているバックエンドのプロセスとが通信できるようにするための特別な機能(たとえばサーブレットのサポート)を提供しています。WAS ExpressはIBMのWebアプリケーション・サーバーの中で最もシンプルで最軽量のサーバーです。WAS ExpressはLPPとして利用可能でOS/400のさまざまなリリースや版に同梱されていて、新しいi5システムのi5/OSの一部としてライセンス供与されます。

隠れた財宝
以下に述べる機能群こそが本当に隠れた財宝です。これらの財宝はiSeriesのほとんどにあるのですがあまり認識されていなかったり十分にご利用いただけていなかったりするものです。

iSeries Access for Web(IAW) iSeriesショップのほとんどには基本的なiSeries Access製品がありそれを使って端末エミュレーションを行っていますが、IAWをうまく利用しているところはほとんどありません。IAWは標準のiSeries Access LPPの一部で、5250端末のエミュレーション機能をブラウザ・ベースのインタフェースで提供します。IAWはシステム管理機能(印刷出力、ジョブ、メッセージなどの処理)をエンドユーザー向けに拡張し、しかも高度できめの細かいセキュリティ・コントロールによりそれを実現しています。IAWを使用するにはWebアプリケーション・サーバー(WASなど)が必要ですが、ユーザーが必要なのはブラウザだけです。

WDSc WDScはiSeries用PCベースの開発ツールの包括的な名称で、WebFacingのようなiSeries固有のツールとJavaデバッガやXMLエディタなどといった汎用のツールの両方があります。iSeriesの開発ショップで作業し、ソフトウェア使用権を所有していてV5R1以降のバージョンを使用しているのであれば、WDScの無制限ライセンスを所有していることになります。

WDScにはWebアプリケーション、XML、Java、SQL、iSeriesのコード(RPGなど)を使って作業するための全機能を備えたツールがあります。また、さまざまなWebアプリケーション・サーバーの複数のリリースに対応するための組み込み型のテスト環境も備わっています。さらに、2004年7月にリリースされたWDSc 5.1.2からHATS(Host Application Transformation Services)用の開発およびテスト環境も付いており、これによりiSeries登場からずっとiSeriesのWDSc製品の一部になっているWebFacingサポートを補完しています。

パッケージの一部
自動車や自転車やオーディオ・システムを購入する際には、必要でないかもしれない(あるいは必要だと思っている)特定のコンポーネントが付いてきたとしてもパッケージごとまとめて買った方が価格的に得になるのが一般的です。同様にiSeriesエンタープライズ版の場合も、必要とは思っていなかったさまざまなソフトウェアが定価でシステムにバンドルされています。iSeriesの宝探しで次の段階として、OS/400 V5R3のエンタープライズ版のハイライトをいくつか説明します。

バックアップ・メディア・サービス(BRMS) BRMSを使用してすべてのiSeriesとIFSファイルのバックアップやリストアのポリシーを管理することができます。BRMSとiSeries Navigatorを統合するためのプラグインもあります。BRMSによりiSeriesはTivoliエンタープライズ・バックアップ・アーキテクチャに適合することができ、インクリメンタル・バックアップや稼動中のDominoのバックアップ機能など、Domino用のバックアップ機能を提供しています。

DB2クエリー・マネージャとSQL開発キット LPPの中で最も広く使用されている製品で、iSeries SQLの全機能にアクセスすることができます。

DB2 UDB XMLエクステンダ iSeriesショップの多くはXML文書を処理または出力する必要があります。iSeriesの開発者がこうしたタスクを完了する際に直面する課題はXMLとDB2 UDB for iSeriesの間の変換です。この処理はXMLエクステンダLPPが提供しているドキュメント対ファイルのマッピング機能により大幅に簡素化されました。

パフォーマンス・ツール システム上で何が起こっているのかを理解せずにシステムのパフォーマンスを最適化するのは困難です。パフォーマンス・ツールを使用すると、iSeries上のメモリ、ディスク使用率、プロセッサ、IOP、システム・コンポーネント、その他サーバー上のあらゆる側面からのパフォーマンス・データを収集、報告、分析することができます。こうしたツールを使用してアプリケーションのパフォーマンス問題やシステム構成問題を解決したりキャパシティ・プランニングを行ったりすることができます。

XMLツールキット XMLパーサはアプリケーション中のXMLドキュメントを処理するための基礎的なソフトウェアです。拡張スタイルシート言語(XSL: Extensible Stylesheet Language)プロセッサを使用してXMLドキュメントを変換したり、XMLドキュメントをベースにHTMLやテキストファイルを作成したりすることができます。このLPPにはJavaで記述されている以外のiSeriesアプリケーションが使用するためのXMLパーサとXSLプロセッサが同梱されています。Java用の同等の機能サポートはiSeries Toolbox for Javaで提供されています。

エンタープライズ版に含まれている個々のコンポーネントはリリースやモデルによって異なります。ソフトウェアの版やハードウェア・モデルごとに含まれているコンポーネントの要約一覧はpublib-b.boulder.ibm.com/redbooks.nsf/RedbookAbstracts/ga195486.htmlのIBM eServer i5 and iSeries System Handbook: IBM i5/OS V5R3(GA19-5486-25)に記載されています。

X印が目印
IBMがiSeriesを出荷するとき、システムには豊富な隠れた財宝が付いてきます。本稿ではその金塊の一部を紹介しましたが、iSeriesのドキュメントをお読みになればもっと豊富な財宝を見つけることができるでしょう。iSeriesのインフォメーション・センター(publib.boulder.ibm .com/pubs/html/as400/infocenter.html)にはシステム全体の概要だけでなく、詳細なドキュメントや例があり、iSeriesの機能を活用する一助となります。そうした探検をすることはまるで古書店に行くかのように興味深い事実を知るに留まる場合もあれば、自分だけの宝物を見つけることができる場合もあります。

シャロン・L・ホフマンはベル・データ鰍フ米国業務提携先Penton Media, Inc.が発行するiSeries NEWS誌のシニア・テクニカル・エディタです。ホフマン氏は1981年にミッドレンジ・システムの仕事でIBM勤務を始め、さまざまなアプリケーション開発や技術教育教材の作成や教育の実施を行ってきました。またCOMMONなどの業界イベントでも頻繁に講演しています。



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