グレッグ・ヒンターマイスター著 昨年の8月、IBMは仮想化エンジン(Virtualization Engine)を発表しました。仮想化の概念にはさまざまな意味が含まれていますが、その中心となる考え方は、仮想化はシステム管理担当者間の壁を取り払って、別々のところにあるシステムやヘルス・モニター、ハードウェア、タスク、ワークロードを統合し、今までよりも重要な情報やソリューションにまとめていくということです。 仮想化エンジン・コンソールはまさにこの統合を行ってくれます。つまり、末端のシステム、システム・グループ、タスク、定義、ジョブが1台のiSeries Navigatorセントラル・システムにあって、別のiSeries Navigatorセントラル・システムからデータを集めているようなシステムを統合したり、IBMディレクターが実行されている他の管理サーバーや他のオペレーティング・システムを管理するWeb SMも統合したりします。 本稿では、iSeries Navigatorを最大限に活用する方法と、仮想化エンジンへの移行を始める際に既存のITデータ側の準備を整えるためのさまざまな設定方法について述べます。 対象システムをグループ化する iSeries Navigatorを使用する際にまず行うのは管理対象のシステムを管理の観点からグループ化することです。システムをグループ化すること自体はずっと以前のリリースからあった仮想化の1つの形です。どのようにグループ化するかはあなた次第ですが、システム・グループを使用することによる利点はさまざまです。まず、システム・グループを使用することで1つのタスクを複数のシステムで実行することができ、しかもその手間は1つのシステム上で1つのタスクを実行させるのと同じです。たとえば10個のシステム上でそれぞれ1つのユーザーを作成したい場合、同じタスクを10回実行することもできますが、システム・グループを選択して[ユーザーの作成]を選択するだけで、10個のシステムすべてに対して一度にユーザーを作成することもできます。 次に、タスクの実行をシステム・グループ上にスケジュール化しておいて繰り返し実行させることができ、一週間の間にそのグループに変更があった場合、次回にタスクが実行された際にその変更されたグループが選択されるようにできます。1つのシステム・グループを選択せずにたくさんのシステム名を選択した場合は、タスクを削除して新しいシステムでタスクを作成し直さなければなりません。 3つ目は、グループ・システムに対してiSeries Navigatorを使用すると、(グループ中の各システムに対してpingを実行して管理セントラル・サーバーが実行されていることを確認することで)そのシステム・グループの健全性を判断する作業をiSeries Navigatorが支援してくれます。全システムの健全性の情報をそのグループに統合することでiSeries Navigator for Wirelessや仮想化エンジン・コンソールなどのアプリケーションが健全性の状態を簡単にしかも効率的にレポートしてくれます。 対象システムを監視する iSeries Navigatorにはさまざまな監視機能があり、この機能を使ってシステムの健全性を記録することができます。健全性の監視を広範囲に設定して潜在的な問題を記録すると、対象システムの詳細を把握することができ、iSeries Navigatorや仮想化エンジンで記録することができます。しかしそこまで実施する前に、[管理セントラル・プロパティ]ダイアログを開いて[接続]タブを選択し、[再起動監視]チェック・ボックスにチェックを入れてください(図1)。こうすることで、保守のためにダウンしていたシステムが再び起動したとき、保守作業前にアクティブになっていたすべての監視機能も確実に再起動されます。また、末端のシステムがダウンした場合に、監視機能が再接続を確実に試みるようにし、末端のシステムが回復したときには監視機能が潜在的な問題の記録を再開します。さらに、V5R3の監視機能は可用性が高いため、クラスタ機能をサポートしている場合は監視機能がクラスタリングされているシステム間のホット切り替えを行います。 システムの健全性は、システム、ジョブ、メッセージ、ファイル、B2BアクティビティのiSeries Navigatorの5種類の監視機能を使用して記録することもできます。記録した詳細をこれらの監視機能で見れば、見逃すものはほとんどないでしょう。さらなるトラブル・シューティング作業を行う必要があるかもしれませんが、監視機能をこのように使用すると仮想化のタスクを簡素化できます。 システム監視機能 システム監視機能を使用してCPU使用率、記憶装置、プールのフォルトなどの特定のエリアの全体的な健全性を記録します。 ジョブ監視機能 ジョブ監視機能を使用して、1人のユーザーのすべてのジョブ、あるタイプのすべてのジョブ、同じサブシステム上で実行されているすべてのジョブなどのジョブ・グループを記録し、前述の基準に合ったジョブについて何を知りたいかを指示します。あるジョブのCPU使用率、ジョブ・ログ中のメッセージ、ステータス、イベント・ジョブ・カウントなどを調べることができます。 メッセージ監視機能 メッセージ監視機能を使用してQSYSOPRメッセージ・キューなどのメッセージ・キューの中にあるメッセージを記録します。問い合わせメッセージに対して自動的に応答したり、不必要なメッセージをキューから削除したりすることもできます。 ファイル監視機能 ファイル監視機能を使用して重要なファイルがいつ修正されたか、ある一定のサイズを超えたか、ある特定の文字列がそのファイルに追加されたか(この機能は「MyServlet error」がテキスト・ログに追加された場合に通知して欲しいときに有用です)、などを記録することができます。 以上のすべての監視機能は監視結果を仮想化エンジン・コンソールにレポートするので、健全性のステータスを表示させることができます。次に、仮想化エンジン・コンソールを使用して問題をレポートしている特定の測定基準まで掘り下げて表示したり、Webブラウザ中にデータをグラフ化したりしてシステム監視グラフに表示された同様のデータと比較することもできます。 スケジュール化されたタスク iSeries Navigatorで実行したすべてのタスクを仮想化エンジン・コンソールに表示させることができるので、定期的に実行する必要のあるタスクをスケジュール化しておくと便利です。スケジュール化しておくことで、タスクを仮想化エンジン・コンソールに表示することができ、必要に応じて是正処置を取ることができます。つまり、製品の送信やインストール、修正のインストール、ユーザーの削除などといった長期間に渡って実行される重要なタスクを仮想化エンジン・コンソールのWebのUIに表示させることができるので、こうしたタスクが実行されている間オフィスにずっといる必要がないということでもあります。管理セントラル・スケジューラを使用することでタスクを毎日、週一回、毎月一回などといった間隔で実行させるようスケジュールすることができます(図2)。 定義の作成 仮想化エンジン・コンソールの機能のうちで強力なわりにはあまり知られていない機能の1つが、管理コンソールで予め定義されたカスタム・タスクを実行する機能です。iSeries Navigatorでは、カスタム・タスクは定義という形で表示されます。過去のリリースではコマンド定義、パッケージ定義、ユーザー定義、製品定義などを作成することができました。仮想化エンジン・コンソールからは、コマンド定義とパッケージ定義にアクセスすることができます。したがって、頻繁に実行するコマンド(実行ブックのコマンドあるいは問題のトラブル・シューティングを行うためのコマンドやプログラム)、頻繁に配布する必要のあるファイル群(ツール・セット、Webページ、履歴ログ)を1つの定義の中に簡素化することができます。定義を仮想化エンジン・コンソールで見るには、カスタム・タスク(たとえばMyCoolTool)を実行するように選択し、そのタスクをどのシステム・グループに送信するかを選択するだけです。 すべてをまとめる 本稿で説明したシステム・グループ、監視機能、タスク、定義などの強力なツールはいずれも、少数のシステムを管理している1つのセントラル・システムに対してしかiSeries Navigatorを実行したことがないといった場合でも大変有用なツールです。しかし、さまざまなエリアのビジネスを複数のセントラル・システムで管理しているのがほとんどの場合であり、iSeries Navigatorを切り替えてそれぞれのセントラル・システムの状態を表示させるというのでは煩わしくなってしまいます。仮想化エンジン・コンソールを使用すると、すべてのセントラル・システムのすべてのシステム、監視機能、タスク、定義をWebブラウザ上に表示させることができます。異なるセントラル・システムの監視機能から得られたグラフを開いてグラフを横に並べて表示させることもできます。実行したタスクを1つのビューで見ることができ、しかもそのタスクを並べ替えたりフィルタにかけたりして、詳細を確認したいタスクを、そのタスクがどのセントラル・システムで実行されているかに関係なく、見つけることもできます。 しかしこれはほんの手始めに過ぎません。次のステップはIBMディレクター・マルチプラットフォームを追加して、前述と同じ監視機能、インベントリ、タスク、グループを使ってLinux、AIX、Windows、i5/OSを管理できるようにすることです。しかもiSeries Navigatorとまったく同様で、IBMディレクター・マルチプラットフォームはグループ、システム、監視機能、カスタム・タスクについてのレポートを仮想化エンジン・コンソールに表示します。Web SMを使用している場合(AIXの管理を目的としたもう1つのシステム管理ツール)、Web SMが提示する情報も仮想化エンジン・コンソールにレポートさせることができます。 それぞれのシステム管理ツール(iSeries Navigator、IBMディレクター・マルチプラットフォーム、Web SM)は堅牢な機能を提供していますが、最も強力な機能は仮想化エンジン・コンソール上のすべての情報を統合して表示させる機能です。資源、監視機能、タスク、グラフを比較用に並べて表示し、こうした資源をどのように管理するかを視覚化できます。次回は、その他の管理サーバーと仮想化エンジン・コンソールを最大限に活用する方法についてもう少しお話しします。 グレッグ・ヒンターマイスター氏はユーザー対話機能の設計者としてIBMに勤務しており、IBMのマスター・インベンターの一人です。同氏はiSeries Navigator、IBM 仮想化エンジン、無線アプリケーション、数々のWebアプリケーションのユーザー対話機能の設計について広範な経験を有しています。同氏は数々のユーザー・グループやテクニカル・コンファレンスで定期的に講演しています。