Microsoft Windowsシステムを悩ませているウィルス、トロイの木馬、ワームなどを寄せ付けないためのi5/OSの機能をiSeriesのユーザーは長きに渡って信頼してきました。これは主にi5/OSの機能に基づいた認証アーキテクチャによるものです。このアーキテクチャは大変「成熟した」(1970年代のS/38に基づく)アーキテクチャで、時に弱点をさらけ出しますが(IBMはそれに対してすばやく対処します)、iSeriesのネイティブ・プログラムやネイティブ・オブジェクトがウィルスに感染したことはありません。
V5R3のウィルス・スキャン対策機能には、実際のウィルスのスキャンとソフトウェアの修復機能自体は含まれてないことに注意が必要です。これらの機能はサード・パーティのベンダーから入手するか自分で作成する必要があります。現在発売されている製品が1つありますが、これは実際V5R3の一部として出荷されているもので、ネイティブのウィルス対策保護機能をすぐに利用することができます。Bytware社のStandGuard
AV for V5R3(http://www.bytware.com/)がその製品です。また、今後、他のウィルス対策製品が他社から発売されるのはほぼ確実でしょう。こうしたウィルス対策製品を適正に評価したり、自分でウィルス対策機能を作成したりするには、V5R3のウィルス・スキャン機構を理解しておく必要があります。
V5R2では、IBMはIFSに対するパフォーマンス強化と信頼性向上機能としてTYPE2ディレクトリを導入しました。IFSの全ディレクトリをTYPE1フォーマットからTYPE2フォーマットへまだ変換していないのであれば、CVTDIR
(Convert Directory)コマンドを実行する必要があります。OPTION(*CHECK)パラメータは、変換する必要のあるディレクトリが残っていた場合に、それを識別します。*TYPE2ディレクトリやディレクトリ変換の詳細については、V5R3
iSeries Information Centerをご覧ください。(publib.boulder.ibm.com/html/as400/infocenter.htmlの左側のナビゲーション・バーで、[ファイルとファイル・システム(Files
and file systems)]―[統合ファイル・システム(Integrated file system)]―[ディレクトリを*TYPE1から*TYPE2へ変換(Convert
directories from *TYPE1 to *TYPE2)]をクリックしてください。)
またすべてのファイルは、前回スキャンされたときにどのウィルス定義を使用したか、スキャンがバイナリのみかテキストのみか、スキャンの際にどのコード文字セット識別子(CCSID:Coded
Character Set Identifier)が使用されたかを示す状態情報を備えています。ウィルス・スキャン機能はスキャン署名コードを使用して、各ウィルス定義をi5/OSに登録します。図1に示すファイルは一度もスキャンされていませんので、スキャン状態情報がはっきりと表示されていません(利用できません)。
*USEOCOATR:この発音しづらいオプション名は「use the only-when-objects-have-changed
attribute to control the scan (オブジェクトに変更があったときのみ属性を使用してスキャンを制御する)の略です。このオプションを指定しない場合、ファイルの*SCAN
値である*CHANGEONLYは無視されます。
スキャンが正常に完了したときは、プロパティボックス中のファイルのスキャン署名、バイナリのフラグ、およびCCSID値の欄に値が入ります。スキャン署名の欄に「不一致(Does
not match)」とレポートされている場合は、現在のウィルス定義が有効になる前のある時点でそのファイルがスキャンされたことを意味します。そうしたファイルは次回オープンされたときに自動的に再スキャンされます。バイナリのフラグは、そのファイルがバイナリ・ストリームとして扱われた(そしてテキストのみの署名ではなく、オブジェクト・コードのウィルス署名に対してスキャンされた)ことを意味します。CCSID値は、ファイルをスキャンしたときに使用されたコードセットを示します。この例では500(EBCDIC)と1200(UCS-2
ASCII)です。
本稿の執筆時点で、V5R3のウィルス対策機能を利用したスキャン機能を提供している商用ベンダーはBytware社だけです。他社もじきに提供してくるでしょうし、GPL(General
Public License)のオープン・ソースのウィルス対策スキャン・プログラムであるClamAV (clamav.net)のようなものを移植したオープン・ソース版も登場するでしょう。自分で独自のウィルス対策プログラムを開発してもかまいません。V5R3のウィルス対策ソリューションを購入するにしても、求めるにしても、自分で開発するにしても、i5/OSのウィルス対策機能がどのように動作するのかを理解しておくことが有益でしかも安全な意思決定をする際の一助となるでしょう。