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IBMi海外記事2009.12.18

Report Broker で完全になる DB2 Web Query for i

Linda Swan 著

読者の方々の多くは、今から 1 年以上も前から DB2 Web Query for i について聞いたことがあると思います。これはブラウザー・ベースの照会および報告書作成ツールで、i を稼動している多くのビジネスがその既存の Query/400 レポートを更新したり、その情報およびデータ分析のニーズを満たすため新しいレポートを作成するのに役立ってきました。DB2 Web Query は、条件付きスタイリング (トラフィックライティング)、レポート・ドリルダウン機能、数多くの図表タイプと出力形式 (PDF、HTML、Excel、AHTML など) など素晴らしいプレゼンテーション機能を提供しています。また、OLAP (On-Line Analytical Processing) という機能を使用してデータを輪切りにしたり、サイコロのように切ったりすることで複雑なデータ問題を解決するのに役立ち、モバイル・データ・アナリストやエンド・ユーザーがオンライン中にレポートをキャプチャーし、切断中にデータを分析できるよう、アクティブ・レポートを生成する機能を備えています。

DB2 Web Query オファリングは豊富な機能を備えていますが、機能が 1 つ欠けていました。これはブラウザー・ベースのため、各レポート・ユーザーは DB2 Web Query にログインして許可レポートを表示する必要があり、同時に基礎となる照会および最終報告書生成をリアルタイムに行っています。さらに、複数のユーザーが同じレポートに対して許可されている場合、各ユーザーがレポート表示の要求を個別に行いながら、同じ基礎となる照会が複数回行われる場合があります。簡潔に言えば、DB2 Web Query にはレポートを 1 回実行するバッチ要求のスケジューリングがサポートされておらず、多くの対象者にその要求を配布します。現在までサポートされていません。

DB2 Web Query Report Broker は、既存の DB2 Web Query 製品オファリングを補完、またある意味では、それを完成させる、レポート・スケジューリング/配布アプリケーションです。この記事の残り部分では、Report Broker の多くの機能について説明し、IBM i ショップが Report Broker が提供する機能のメリットを受けられるかを示します。

Brokerの育成

DB2 Web Query Report Broker (5733-QU3) は、いくつかのクイック・ステップでインストールおよび構成される別途ライセンス製品です。この製品は DB2 Web Query と密接に統合されているため、システムに 5733-QU2 製品バージョン V1R1M1 をインストールし、イネーブルメント PTF を適用して最新の状態にしておく必要があります。

いったんインストールされる (RSTLICPGM) と、DB2 Web Query for i Getting Started page に記載のいくつかの簡単なステップで Report Broker を構成できます。Report Broker により、配布サーバーという新しいサーバーが Web Query 稼働環境の重要な部分になります。配布サーバーは必要な情報 (スケジュール要求および配布リストなど) を DB2 表から照会します。インストール後、Web Query コンソールにログインし、QWEBQRYADM プロファイルとパスワードを使用して DB2 for i への接続を確立し、基礎表を作成して配布サーバーの構成を完成させます。

さらに、配布サーバーが i システムで動作する方法について重要な点を構成します。例えば、電子メール・サーバーの名前、配布サーバーをウェイクアップさせ、スケジュール要求を探させる頻度、サーバーがダウンしているときの「不在着信」レポートをどの程度までさかのぼって配布サーバーに復旧させるか、配布されたレポート上のデフォルトの名前と電子メール応答アドレス、またその他わずかな設定です。また配布サーバーは、いつどのようなレポートが送信されたか、だれがレポートを受信したか、配布中に発生した問題など、あらゆる配布活動の詳細なログを保持しています。構成設定により、何日間ログ活動を保持するか指定できます。デフォルトでは 30 日になっています。

接続情報とその他の構成を確立したら、準備完了です。配布サーバーは、STRWEBQRY コマンドと ENDWEBQRY コマンドを使用して (他の DB2 Web Query サーバーとともに) 自動的に開始また終了する点に注意してください。

DB2 Web Query での Broker へのアクセス

Report Broker ユーザー・インターフェースは DB2 Web Query と密接に統合されています。レポート上のスケジュール・プルダウン・オプションと (既存のスケジュールと他の Broker 機能の参照に使用する) Report Broker タブは DB2 Web Query ログイン時に提示されます (図 1)。レポートの配布権限を管理するため、スケジュール機能は管理者権限 (MRADMIN グループ) がある DB2 Web Query の登録ユーザーか、新しいスケジュール権限のレポート開発者に制限されています。グループ・プロファイルとして MRADMIN がある場合、ログイン時にすぐに Broker 機能が表示されます。しかし、MRADMIN 権限のない「登録」 Web Query ユーザーの場合、MRSCHEDULE をグループ・プロファイルとしてログオン ID に追加する必要があります。MRSCHEDULE により、開発者として権限が与えられている Web Query ドメインのレポートをスケジュールできます。Report Broker タブ下のスケジュール・レポートだけしか参照できません。MRADMIN 権限により、管理者は他人のスケジュール・レポートをフィルタ、参照、変更できます。

スケジュールの作成

Broker を確立し、必要なアクセス権限を所持したら、レポート配布をスケジュールできるようになります。レポートを右クリックし、メニューから Schedule を選択してレポートをスケジュールします。Schedule パネルが表示されます (図 2)。Schedule パネルは 5 つのキー・セクションで構成されています。配布セクションは、レポートをどのように、どこに配布するのかを示します。頻度セクションは、いつどのくらいの頻度でレポートを配布するのかを判断します。レポート・オプション・セクションにより、入力パラメーターを指定し、レポートの出力形式を指定し、インテリジェント・バースト (各ユーザーが自分に必要なデータ部分だけを取得するようにレポートをセグメント化する) を有効にできます。通知セクションにより、配信情報、特に障害通知が必要かどうか指定できます。最後に、詳細セクションで、スケジュールの優先度を一時的に無効または変更できます。

図 2 でおわかりのように、配布方法の選択肢として電子メール、プリンター、Web Query があります。電子メールによる配布を指定すると、レポートを 1 つの電子メール・アドレスまたは Report Broker 内で作成された配布リストに送信できます。同様に、プリンターを指定すると、プリンター配布リストを使用して複数のライン・プロトコル・プリンターにあてたり、プリンターを直接指定できます。この場合のプリンター名は "queue@printserver"です。最後に、配布に Web Query ターゲットを指定すると、既存のレポートの Web Query ドメインで作成するフォルダーの名前を指定するようプロンプトが出されます。レポートが予定通り実行されるたびに、生成されたレポートにタイムスタンプが与えられ、指定のフォルダーに保存されます。ユーザーは Web Query にログインしてアーカイブしたレポートを参照できます。Web Query 配布オプションの指定は、今後の参照のためレポートの履歴 (週単位、月単位、3 か月単位) を取るための 1 つの方法です。

ユーザーが必要とする場合のレポート

予想できると思いますが、Report Broker には、レポート生成および配布の頻度を指定するための多数のオプションがあります。図 2 では、Revenue and Gross Profit レポートが週に 1 回、月曜日の朝 7:00 にスケジュールされ、販売チームの配布リストに配布されます。レポートを、時間単位、日単位、週単位、月単位、3 か月単位、年単位で、それらの単位の複数の間隔で実行するようスケジュールできます。例えば、レポートを毎月 15 日と最終日の夕方 5:00 に実行させる場合は、図 3 に示すような要求を指定します。

フォーマット、パラメーター、バースト

Report Option 下の 3 つの主要な機能は、レポート配布に柔軟性を与えます。

最初は出力フォーマット・オプションです。図 4 は、サポートされているフォーマット・オプションを示しています。レポート配布に使用するフォーマット・オプションは、レポートが DB2 Web Query で構築されたときに使用するフォーマット・オプションとは異なる場合があります。例えば、ユーザーが DB2 Web Query にログインすると、レポートは Excel スプレッドシートに出力される場合がありますが、レポートが Broker 経由で配布されると、そのレポートを PDF ファイル、Active Report、またはその他のオプションにするよう選択できます。実際、Broker の使用は、販売部隊などのモバイル対象者に配布された Active Report (AHTML) を自動的に取得する便利な方法です。Active Report は、ブラウザ以外のソフトウェアが不要な状態で、データおよび対話式コントロールをデータ分析機能を備えた内蔵タイプの HTML ファイルで結合します。選択した出力フォーマットがレポートの構築方法と互換性がある限り、1 つ以上のフォーマットが適用できます。例えば、グラフ・レポートはグラフィックス出力フォーマット (.png または .svg) でのみ互換性があります。

DB2 Web Query の素晴らしい機能の 1 つに、レポートをパラメーター化する機能があります。入力パラメーターをレポート構築時に指定することで、エンド・ユーザーは、レポートが生成されるときに、特定の該当情報を入力として指定できます。これにより、複数の要求者に対応できる 1 つのレポートを構築できます。例えば、ユーザーが有効な候補者リストから該当の国および地域を選択する、地域販売レポートを構築できます。この同じレポートをバッチ配布としてスケジュールできますが、現在ではスケジューラーがスケジュール要求の入力値を提供しています。この方法は配布対象者をデータ参照資格のあるユーザーだけに限定しているため、さらにセキュリティーの層が厚くなります。Report Broker は、Web Query ログインからレポートを要求しているかのように、考えられる候補の値を表示してプロンプト表示しています。実際、レポートにパラメーターがある場合、すべての入力値を指定するまで、レポートをスケジュールすることはできません。したがって、米国西海岸販売チームの販売収益レポートをスケジューリングしている場合、その対象者に固有のパラメーター値のみ選択します。

図 5 では、United States Pacific 地域の粗利益レポートが West Coast Sales 配布リストに送信されているところです。この例では、レポートのパラメーター値も「&parmname」と指定することでレポートの件名ラインに提供される点に注意してください。この同じパラメーター化されたレポートは、その対象者に便利なフォーマットと頻度で、異なる販売地域および対応する配布リストについて何度でもスケジュールできます。

レポートを複数のユーザーにあて、必要な情報のみ提供する別の方法として、インテリジェント・バーストがあります。Report Options セクションの「Burst this Report」というチェックボックスを見てください (図 5)。先行ソート順フィールド (第 1 ソート順フィールドとも呼ばれます) に配布リストでバースト値として指定できる値が含まれているレポートがある場合、バーストはレポートのその部分のみを指定の電子メール・アドレスに送信します。

例えば、販売レポートの第 1 ソート順列が Country で、各国の販売エグゼクティブに全体の YTD 販売レポートのそれらのセクションを受信させる場合、各国の値と対応するエグゼクティブのあて先電子メール・アドレスを指定したバースト列のある配布リストを作成できます (図 6)。バーストを有効にして、スケジュール要求に配布リストを提供するだけで、レポート内容がそれにしたがって配信されます。「&parmname」を使用してパラメーター値を件名ラインに指定できるように、「%burst」を使用してバースト値を件名に指定できます。バーストと入力パラメーター両方をレポート・スケジュールに適用できる点に注意してください。

Report Broker タブの背後に

これでレポートをスケジュールできる方法がわかりましたので、Report Broker タブの後ろ側をのぞいてみましょう。図 7 は、Report Broker スケジューラーとして使用できる機能を示しています。

Schedules オプションにより、権限を与えられているスケジュール要求を参照できます。特定のスケジュールを選択して開くと、上記のような同じ Schedule パネルが表示され、必要に応じて変更できます。また、スケジュールを選択してその配布ログの参照、要求のクローン作成、ログの消去、スケジュールの削除、またはスケジュールの即時実行ができます。

Distribution List オプションの下で、新しい配布リストの作成、既存のリストの編集または参照、あるいは削除が可能です。配布リストにはプリンターと電子メールの 2 種類があります。両方ともバースト値を指定できます。非バースト・スケジュール要求で、バースト値のある配布リストを使用できます。配布リストは、パブリックまたはプライベートを指定できます。パブリック・リストはすべてのスケジューラーに使用できます。

Status オプションにより、現在実行中のスケジュール済みレポートを参照できます。複数のレポートが同時に実行するようスケジュールされている場合、配布サーバーはレポートの優先度により、どの要求が優先度が高いかを判断します。

Global Update オプションは MRADMIN 許可ユーザーにのみ使用できます。このオプションで、配布サーバーで使用される基礎となる DB2 表に基本的な更新をすることができます。例えば、ある社員が会社を退職し、レポートを別の社員に転送する必要がある場合、旧電子メール・アドレスと新電子メール・アドレスを指定できます。それで、電子メール・アドレスに固有の情報を持つすべての基礎表が照会され、グローバル・アップデートを行い、実施された変更の数が返信されます。オーナー、プリンター、メール・サーバー、その他の値を変更できます。

Change Management オプションにより、配布リストまたはスケジュールを別の Report Broker サーバーからインポートできます。繰り返しますが、このデータは DB2 表に保存されているため、これは、リモート・サーバーへの接続を確立し、インポートするデータをプルするリモート・データベース・アクセスになります。挿入の承認前に、考えられるデータ・インポートを参照できます。

最後に、Broker 管理者として組織のサービス対象外日を指定できます。サービス対象外日は、配布されたレポートが実行しない日付です。Blackout Dates 機能は、複数年のカレンダーを示し、日付を選択、インポート、または抽出できます。

コンテキストに依存したヘルプは、各 Report Broker 機能に使用でき、DB2 Web Query ユーザー・インターフェースが 20 以上の言語に翻訳されている (最近のホット・フィックス) ように、統合 Report Broker 画面も同様に翻訳されています。DB2 Web Query で目的の言語を選択すると、同じ設定が Report Broker に適用されます。

イベント・トリガー型レポート

「スケジュール要求は条件、イベントのどちらで起動できるのですか」という質問を頻繁に聞きます。現在は、レポートを条件的にバッチで生成し配布させるようなツールはサポートされていません。しかし、RUNBRSCHED という CL コマンドは Report Broker 外でスケジュール要求を実行できます。このコマンドへの入力は、12 文字の Broker Schedule ID (図 7) とユーザー ID です。ID のデフォルトは *CURRENT です。この CL コマンドは、アプリケーション・コード、データベース・トリガー、あるいはスケジュールを実行させたい条件をテストしたり、決定できる任意のシナリオ (例: 長めのバッチ処理完了後のレポート配布の起動) で使用できます。

楽しいスケジューリングを!

さて、これで Report Broker 機能の学習は終わりです。おわかりのように、この新製品は DB2 Web Query と密接に統合しており、DB2 Web Query に関する知識がなかったり、それにログインしなくても、バッチ生成されたレポートを対象者に配布できることで、その価値を広げています。カスタマイズ配布リストとともに、インテリジェント・バースト、柔軟性ある出力フォーマット、パラメーター化されたレポートといった Report Broker 機能は、多数のユーザーのレポートをスケジューリングできる機能を提供し、必要なときに必要な情報をデータの使用方法を補完するようなフォーマットでユーザーに提供します。

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