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IBMi海外記事2015.03.25

第4四半期業績と2015年の展望

Timothy Prickett Morgan 著

2015年のIBMはデータ、クラウド、エンゲージメントを中心に動いてゆきます。IBMのCFO、Martin Schroeterはウォール街のアナリストたちへの2014年第4四半期の業績報告のなかでこのように述べました。IBMはPower SystemsとSystem zサーバーおよび種々のストレージ製品を事業基盤にするかたわら、収入と利益のさらなる伸びを求めてソフトウエアとサービスを引き続き推進します。

いつものとおり、CEOで会長のGinni Romettyはウォール街のアナリストとの電話会議には参加しませんでしたが、プレスリリースの形で第4四半期の業績を財務数字で発表しました。

「我々はIBM事業の高価値化への転換を継続して進め、長期に向かっての投資と自身の位置付けにより、目指す変革にいま著しい進展を遂げつつある」とRomettyは述べました。また「2014年、ハードウエア・ポートフォリオの価値を高めるために再配置を行い、1,280億ドルのサービス・バックログを保有するとともにクラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル及びセキュリティー全般にわたり高収益を達成した。これらの戦略的必須分野は総合で2014年度16パーセント伸び、250億ドルで当社の収入の27パーセントを占めている」と述べています。

しかしながら、これらの分野の伸びはSystem xサーバー部門とケア・ビジネスのプロセス最適化及びMicroelectronicsチップ製造事業の3部門の売却を計算に入れてもPower SystemsとSystem z事業の落ち込みを補うには足りませんでした。当期IBM全体の売上は11.9パーセント下落して240億1千百万ドルで、純利益は11.3パーセント下落して50億4千8百万ドルでした。2014年度通年では5.7パーセント下落して920億7千9百ドル、純利益は27.1パーセントの大幅下落で120億ドルでした。IBMがなぜ不採算部門を売却してきたか、いま理解できます。これらの3事業の売却によって70億ドルの売上を得ましたが税引前の営業損失5億ドル強を計上しています。

Schroeterは、長い目で見ればSoftLayerクラウド事業は拡大し、比較的新しいが重要な事業としてIBMの営業利益の伸びに寄与することができると述べています。またPower8システムと新世代のSystem zメインフレームがもたらす好業績、種々の状況におけるデータ管理の推進、及びエンゲージメント・アプリケーションソフトとサービスによって低1桁台の売上増、高1桁台のキャッシュフロー増が可能と考えていることを付け加えました。

IBMは成長の継続を見込んでいますが、第4四半期は事業部の売却と9月にドル高が大きく進んだことによる逆風で実現しませんせした。しかしながら成長の要素は存在しています。IBMのクラウドビジネスはいま年間70億ドルの売上を確保しており、この金額はIBMが2010年に5年計画でウォール街に約束したとおりのレベルです。このクラウド事業は2014年度60パーセントの成長率を達成しており、これには顧客のサイトにインストールしたプライベートクラウドシステムの販売、内部のプライベートクラウド機能とIBMの外部サービスを統合したハイブリッドクラウドの販売、及びロー・インフラストラクチャー、プラットフォームサービス、アプリケーションサービスの多種多様なサービスオファリングが含まれています。SoftLayerクラウドを含む後者のクラウドサービスは第4四半期が終了したときのラン・レートは35億ドルで、2014年度の売上として30億ドルを計上しました。2013年に対して22億ドルの増額です。

Shroeterによれば、Power Systems事業は、他のX86以外のシステムも同様で、いまプレッシャーが掛かっていますが、IBMのPowerベースのシステム事業は第3四半期から引続いて伸びを見せています。ローエンドのPower SystemsはスケールアウトのPower8マシーンの導入が原動力となって第4四半期は2桁台の成長を示しました。 IBMは昨秋ハイエンドのPower E870とPower E880を発表しました。Shroeterは特に触れていませんが、多くの顧客がハイエンドでいまなおPower7ベースのマシーンを使っているので、2015年はこれらE870、E880の販売の伸びが期待できます。ただ、売れ行きはPower E880が引渡される時期及びPower 795と比較したコストパフォーマンスに大きく依存すると思われます。

Power Systemsの第4四半期は13パーセント減でしたが、2015年は回復すると予測されています。System zメインフレーム事業で、z12ラインがいま10四半期を終えて、z13ラインが数か月後に発表され大量出荷されます。System zラインの第4四半期は26パーセントの下落でした。ストレージの売上は8パーセント減で、FlashSystem Storwizeは伸びたのですがハイエンドのディスクの落ち込みが上回ってしまいました。
Systems and Technology Groupの売上は24億1千万ドルで、System x事業を除けば12パーセント減、2013年の数字にSystem x事業を残して比較すれば39パーセント減でした。重要なことは、この小さいシステム事業が税引前利益3億8千8百万ドルを確保したことです。System xとMicroelectronics部門が存在した前年度は3億4千6百万ドルでした。2015年は利益が上昇します。z13メインフレームの出荷が始まるとともにPower8のセールが引き続き加速してゆくからです。

IBMのSoftware Groupは、先般発表された組織の再編では変動がありませんでしたが、売上が76億ドルで3パーセント減でした。しかしながら並外れた90パーセントの粗利益を生んでいます。Software Groupの売上はPower Systemsの不振とSystem xの売却によるオペレーティングシステムの売上減が影響を及ぼしました。また、ソフトウエアの永久ライセンスから月単位のソフトウエアサービスに変ったことがSoftware Groupの収入の流れに影響を与えています。Global ServicesはPower Systems部門に関与する小規模グループで、自足できるIBM iプラットフォームへの貢献度は低いといえるグループです。売上は7.8パーセント減で135億2千万ドル、税引前利益は25パーセント減で22億ドルでした。

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