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IBMi海外記事2016.08.25

Rocket社、アナリティック データベースをIBM iに接続

Alex Woodie 著

自動化された統計的分析および機械学習によるガイドに従って、自社の持つデータから見識を導き出すことに関心をお持ちなら、Rocket Software社の新製品を試してみるとよいかもしれません。Rocket Discover for IBM iと呼ばれるこの新しいソフトウェアは、データ ディスカバリ機能と、セルフサービス型のデータ プリパレーション機能とを兼ね備えたソフトウェアであり、Tableau Software社の製品などではマニアックすぎて習得しづらいと感じる一般のビジネス ユーザを対象にした製品となっています。

Rocket社は数年前にRocket Discoverツールの開発を開始しました。これは、データのプリパレーションおよびディスカバリから、データのビジュアリゼーションおよびコラボレーションまでの、アナリティクスの領域全般を扱うことができるセルフサービス型のツールに対しての、高まるニーズに対応するためでした。

狙いとしては、IT部門から支援を受けたり、広範囲に渡るクラスルームトレーニングを受講したりしなくても十分使いやすく、かつ、ユーザが集計レベルビューからドリルダウンしたり、データを自在に扱い結果を導き出せるパワフルなソフトウェアを開発することでした。

「弊社はどうしてもビジネス ユーザを対象にしたいと考えました」と、Rocket Software社BI R&D担当マネージング ディレクターで、BI業界20年のベテランであるPatrick Spedding氏は述べます。「市場にある多くのツールは、データ マニア、ないしはビジネス アナリストを対象にしたものばかりです。」

Spedding氏は前職でTableau社のソフトウェアを販売していました。そのパワーについては高く評価するものの、アナリティクスに精通していない人向きではないことを彼はよく知っています。「最大限に活用しようと思ったら、トレーニング コースの受講が必要です」と彼は『IT Jungle』に述べます。「この製品は、データ サイエンティストや、データについて精通している人に向けて設計されたものなのです。」

Rocket Discover for IBM i

Rocket Discover for IBM iには、2つの主要なコンポーネントがあります。バックエンドには、WindowsおよびLinuxで動作するインメモリ カラムナ データベースがあります。このデータベースは、データの格納に、Redis key-valueストアおよびMongoDB NoSQLデータベースなどのオープンソース コンポーネントを部分的に使って構築されています。

フロントエンドには、HTML5およびAngularJSで開発されたWebベースのユーザインターフェースがあります。他のBI/データ ビジュアリゼーション ツールではWindowsクライアントの形式を使用していますが、Rocketでは、最新のWebベース テクノロジーを採用し、できるだけシンプルで使いやすくしています。「より美しく、シンプルな形で機能を提供することを目指しています」とSpedding氏は述べます。「重点を置いているのはシンプルさです。スティーブ・ジョブズがエンドユーザだと想定します。彼が使いたいと思うくらい美しいものでなければなりません。」

Rocket Discoverでは、いくぶん知識の少ないユーザを対象にしています。Rocket Discoverの仲間に、新たに発表されたRocket Discover for IBM iが加わりました。Rocket Discover for IBM iは、先日、ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されたCOMMONカンファレンスにおいてRocket社が発表した、DB2 for iデータベース コネクタが追加された製品となっています。

他のスイート製品向けに行ったのと同様に、Rocket社は、IBM i、System z、およびMultiValueデータベース用に独自のデータベース コネクタを開発しています(2013年にRocket社はIBMからMultiValueデータベースを買収)。またRocket社は、Teradata、Netezza、Oracle、およびMicrosoft SQL Serverなど、他のアナリティック データベースのコネクタも取り揃えています。カスタム データベース ドライバの構築には時間も労力も掛かるものの、結局のところ、generic ODBCドライバを避けることにはそれだけの価値がある、とSpedding氏は述べます。

「それらの環境に合わせて本当に最適化されたものを構築することは、メリットをもたらすかもしれないと考えたわけです」と彼は述べます。「generic ODBCツールを選ぶとしたら、誰かがある特定のアプリケーションを購入することに決めた理由の一部分を失ってしまうことになります。階層構造やロールアップ ルール、その他の情報を知り得ることができなくなります。データをフラット化してしまえば、そのアプリケーションの価値の一部を失うことになるのです。」

機械学習

データをRocket Discoverに取り込めば、ユーザはRocket Discoverのガイドに従って各種の分析を行うことができます。繰り返しになりますが、Rocket社は最終製品の機能を下げることなく、少しずつ使い方を習得できるようにすることに重点を置いてきました。

「パターンを発見するのには、記述統計を使用します。しかし、本格的なWatson型のツールにしようとしているわけではありません」とSpedding氏は述べます。「まずは単純な外れ値の検出から始めました。ユーザはRの関数を記述したり、Rのスクリプトを呼び出したりする方法を知らなくても、NV(空値)であれ何であれ、検出できるようになります。ツールにチェックボックスを作るだけにしようと話し合ったのでした。」

生のデータは概して高度な分析に十分なほどクリーンではないため、すべてのユーザが最初に行うべきことはデータを準備することです。これを行うために、Rocket Discoverには、こうしたデータのjanitorial work(クレンジング作業)を迅速に行える、いくつかのセルフサービス型のデータ プリパレーション機能が備わっています。

「データを読み込むと、自動で階層検出が行われ、データの自然階層を示すことができます」とSpedding氏は述べます。「いくつかの相関が組み込まれているため、2つのメジャーを比較したい場合に、それらの間に相関があるかどうか調べるのに便利です。」

データの準備が完了すると、Rocket Discoverはより強力な機能を提供できるようになります。たとえば、基本的なK平均アルゴリズムを用いて、散布図上にクラスタリング分析結果を重ね合わせ、他社への乗り換えをしそうな顧客を見つけたりすることができます。「ユーザに使い方を考えさせるのではなく、ユーザインターフェースの中に使い方そのものを埋め込むことができるのです」とSpedding氏は述べます。

「我々はある意味、一部分ごとに分析を行います」と彼は続けます。「弊社では、アナリティクスの範囲全体を、不慣れなビジネス ユーザに丸投げするようなやり方は取らずに、分析作業を便利で役に立つものにしようと努めています。」

ダッシュボードの提供に加えて、Rocketにはインサイト(知見)を共有する機能も備わっています。ここでIBM Connectionsとの統合が、その出番を迎えます。

「次にやって来る波はコラボレーティブBIです」とSpeddingは述べます。「BIの核心はインサイトを共有することです。ダッシュボードを構築し、PDFに変換して誰かにメールで送信しただけなら、その分析作業を果たしたとは言えません。我々が強調したいことは、ダッシュボードをチャット セッションに取り入れ、双方向で話し合いを行い、コラボレーションを通じて実際にデータ ディスカバリおよびデータ ガバナンスと組み合わせるということです。そのようなことが、弊社が掲げる当面の大きなテーマです。」

Rocket Discover for IBM iは、現時点で利用可能です。ライセンス方式には、1年1ユーザ当たり$1,000からの、ユーザ数に応じたnamed-user pricingと、ユーザ数無制限でコア当たり$12,500のUnlimited user pricingとがあります。詳細については、www.rocketsoftware.comを参照してください。

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