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IBMi海外記事2017.09.14

Power Systemsをハイパーコンバージドにする

Timothy Prickett Morgan 著

数週間前、IBM iプラットフォームを新たに活気付かせるためにIBMはどのような方策を取り得るのか、その可能性についてあれこれ考えをめぐらしていました。そして、「The Cognitive Systems/500 2018 Edition」という記事に、はるかに幅広くなる顧客ベースにどのように適用して行くのかといった実現性について、あらましを記述してみました。その際に、1つの有望な最先端の統合システムのコンポーネントについて言及していなかったのですが、面白いことに、そんな折に、IBMがそのコンポーネントのサポートを発表したのです。

それはソフトウェア スタックの一種で、ハイパーコンバージド インフラストラクチャー(HCI)と呼ばれるものです。サーバーとストレージのハーフであり、世界中の何千もの組織によって多くの重要なワークロード向けに利用されているプライベート データセンターの仮想化インフラストラクチャーの基盤となっています。

これらのHCIセットアップに関する概念は、かなりシンプルです。HCIは、一般的に高価な中央管理型のストレージ エリア ネットワーク(SAN)への仮想マシン ハイパーバイザー接続をサポートするサーバーをクラスター化するのではなく、ハイパーバイザーの上部または内部に分散型の仮想SANを置き、クラスター内のサーバー ノードが同時に仮想コンピューティングと仮想ストレージの両方を処理します。これらのHCIスタックは、顧客対応およびクラウド コンピューティング アプリケーションの支援のために10年前にGoogle、Amazon、Microsoft、およびFacebookによって生み出された先進的なストレージを、ある意味、エミュレートしています。今日、最もポピュラーなHCIスタックとして、Nutanix社の製品とVMware社の製品の2つを挙げることができます。Nutanix社はHCIの概念で最も多くの世間の注目とベンチャー キャピタルを集めた企業であり、2009年に同社の最初の製品を発表しています。一方、VMware社はサーバー仮想化の分野の巨人であり、現在はDell社の傘下に入っています。市場参入は遅かったものの、世界中の企業における同社のESXiハイパーバイザーおよびvSphere管理スタックの、500,000もの巨大なインストール ベースのおかげで急成長を遂げています。

HCI市場には、この他にも参入しているベンダーはいますが、現時点では、これら2社で収益および顧客数の大半のシェアを占めています。Nutanix社のサーバー-ストレージ ハイブリッドは、現在、Acropolisと呼ばれる、独自に実装したKVMハイパーバイザー上で稼働します。それは、様々なオープンソースおよびプロプラエタリー技術を組み合わせることで、統合された、(少なくともほとんどのオープンソース スタックと比べて)使いやすい、非常に先進的な分散型のコンピューティング プラットフォームとなっています。その何年かの間に、Nutanix社は、データセンターから「SANを締め出す」戦略から、真のプラットフォームを作り出す戦略へと進化を遂げています。なお、 Nutanix Enterprise Computing Platformのサクセス ストーリーについてはこちらに記しており 、 『The Next Platform』に寄稿した2つの記事をお読みになれば、 このアーキテクチャーについて大まかにはお分かりいただけることと思われます 。VMware社のスタックは、Virtual SAN(略してvSAN)と呼ばれています。 Virtual SANについての詳細は、こちらに記しています。

Nutanix社もVMware社も、X86サーバー アーキテクチャー向けにそれぞれのHCIスタックの調整を行っていますが、そのいずれもがPowerチップへ移植できなかった理由は見当たりません。実際、IBMはKVMに対して良好なサポートを提供しており、そのOPALファームウェアおよびPower最適化機能をKVMコミュニティへ還元してきました。そのおかげでNutanixとIBMは、Enterprise Computing PlatformのPowerバージョンを市場に参入させることができました。VMware社は、ARMプロセッサー上でのESXiのサポートに関してあれこれ行ってきましたが、我々の知る限りでは、ESXiのPowerへの移植は行っていません。このことは、vSANはESXiハイパーバイザー内で動作するため重要なことであり、その点が、Nutanixが作り出した分散型のSANと異なる点です。こちらは仮想マシン内の、独自のまたは他のKVM、VMwareのESXi、またはMicrosoftのHyper-Vハイパーバイザー上で稼働します。

製品情報01

IBMでは、Nutanixサーバー-ストレージ ハイブリッド製品として2つのモデルを提供しており、これらのマシンが、IBM初のConverged Systemsのバナーの付いたマシンであることは興味深いことです。CS821(旧モデル名、Power S821)は、合計20コア、最大256GBのメイン メモリー、1Uシャーシに4つのドライブ ベイを備える2ソケットPower8マシンです。CS822は、2Uシャーシで、合計22のコアがアクティベートされた(1ソケット当たり11コアというのは変な感じがしますが、仕様にそう記されています)2つのPower8チップを搭載し、メイン メモリーは最大512GB、ドライブ ベイを8つ備えています。他のHCIソリューションと同様に、Nutanixスタックは、ストレージのパフォーマンスを向上させるためにフラッシュとディスクを組み合わせて使用しています。すべてのモデルでLinuxが稼働し、上層にAcropolisハイパーバイザーを置いています。ここで重要なのは、まるでX86ベースのサーバー-ストレージ ハイブリッドであるかのような印象を受けてしまいがちですが、まぎれもなくPowerハードウエア上で稼働しているのであり、メモリーおよびI/O帯域幅ははるかに多いため、ハイパーバイザー上で稼働している仮想化アプリケーションのパフォーマンスは高いものになるはずだという点です。

これらのCS821およびCS822システムの価格は涙が出てきそうなくらい高価ですが、これは、システム価格の約90%がNutanixソフトウェアの価格であるせいです。Nutanixが直接またはDellを通じて(昨年のEMCおよびVMwareの買収以前は、DellはNutanixのリセラーでした)販売するX86サーバーの価格も、やはり同様に目玉が飛び出そうな価格です。押さえておくべきは、仮想サーバー レイヤーとマッシュアップされたこのソフトウェア ベースのSANは、コンポーネントとプラットフォームの統合というアプローチを通じて生まれる非常に大きな運用上のメリットを提供しつつ、サーバー クラスターとリアルSANの組み合わせと比べて、より低コストで、相当の利益をもたらすことが期待されるということです。

このような話について、聞き覚えはないでしょうか。

CS821の価格は、メイン メモリー128GB、480GBのSSD 4台のシステムで最低43,500ドルから、256GBのメモリー、1.92TBフラッシュ ドライブ4台のマシンで最高69,500ドルとなっています。大容量モデルのCS822の価格は、メモリー256GB、480GBのフラッシュ ドライブ8台のシステムで最低69,000ドルから、メモリー512GB、1.92TBフラッシュ8台のマシンで最高115,500ドルとなっています。IBMではNutanixを稼働するフラッシュのみの構成を販売していますが、Nutanixおよびそのパートナーからであれば、X86プラットフォームでディスクとフラッシュを組み合わせたモデルも購入可能です。

製品情報02

Nutanixスタックが稼働する2つのConverged Systemsプラットフォームは9月1日から利用可能になりますが、私が知る限りでは、IBMでは、AIXワークロードとIBM iワークロードが並んでいる論理パーティション上ではNutanixは稼働できないようになっています。しかし、私が何をここで言おうとしているかおわかりでしょう。

第一に、Nutanixが、Linux on Power上で稼働しているKVMインスタンスのための仮想SANになることができるのであれば、それがIBM i向けのハイパーコンバージドIntegrated File Systemのようなものになれない理由はありません。これは、OS/400 V3R6からの実際のIntegrated File Systemが、1990年代半ばにまで遡るOS/2 Parallel File Systemをベースにしていたのと同じようなことです。当時、IBMは、ASCIIファイルやデスクトップ サーバー オペレーティング システムに、それらにとってなじみ深いものを提供するためにそれを借用していました。IBM iおよびAIXがOPALファームウェアおよびOpenKVMハイパーバイザー上でサポートされない理由が私には分かりません。そのため、数多くのPowerベース システム上の分散型仮想SAN上で、仮想スタンドアロン モードでIBM iおよびAIXをサポート可能なシングル サーバーまたはサーバー クラスター上のLinuxパーティションもサポートできないわけです。LinuxのためになることはIBM iおよびAIXのためにもなるのです。実際、これらの2つのプラットフォームを、以前のPowerVMハイパーバイザーからOpenKVMおよびAcropolis KVMハイパーバイザーへ移植することは、HCIプラットフォームのターゲットが、あまり多くのIT人材がいないミッドレンジ ショップであるということを踏まえると、とても意味があるものに思えます。

IBM i市場で優位を占めているハイ アベイラビリティー ソフトウェア ベンダーが新しい分野へ進出したいと思っているとしたら、これは格好の分野と言えるでしょう。というのも、分散型の、クラスター化されたサーバー-SANハイブリッドは、彼らのHAソフトウェアのいくつかを稼働しているHAペアまたはトリオの特性の多くを持っているためです。これらの企業には、IBMに移植作業を行わせる力があり、それにより、それらの企業は、IBM i、AIX、およびLinuxの間で一貫性のある、プラットフォームごとに異なることのないソリューションを販売するチャンスを手にするでしょう。いくらかの利ざやも得られるでしょう。とは言うものの、この道を進んで行くことは、既存のアプローチや製品を放棄することを意味することになります。そして、たぶんそれは恐ろしい考えです。しかし、サイト上でも、複数サイト間でも、多数のノード間にまたがってスケールすることができるソリューションがあったら素晴らしいと思います。そして、今日、これは簡単なタスクでありません。Nutanix Enterprise Compute Platformのような製品は、自分自身のデータクローゼットおよびデータセンターに、小型のGoogleを作り上げるのに役立ちます。

それは検討してみるべきことであり、また、私が先月の記事に書いた理論上のConverged Systems/500マシンに向けて私が提案したスタックに組み入れてもよいかもしれません。

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