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IBMi海外記事2019.06.27

IBM i ショップにもAIの選択肢はある

Alex Woodie 著
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近頃は、企業の形態や規模を問わず、人工知能の採用を迫られているようです。今日のAI技術は、オープン システムやX86環境で稼働するように開発されたものがほとんどですが、データをPower Systemsプラットフォーム上に置いておきたいという顧客に向けて、IBMおよびそのパートナーから提供されるAIの選択肢も、ますます多くなっています。

今日、AIについての大げさな宣伝が多いことは否めません。テレビをつければ、あるいは雑誌やWebページを開けば、大手企業がAIを使用することで、いかに競争力を強め、大幅な利益増やコスト削減を実現し、顧客満足度を高めているかという事例の紹介があふれています(今のところ、AIのおかげで、若返ったり、見た目が格好良くなったりできるわけではないようですが、それは時が熟すのを待ちましょう)。

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「葛藤する感情を検知しました。親愛なる『IT Jungle』の読者様、どうしてそんな目で私を見るのですか?」

AIに関しては、順調に歩みを進めている企業もあるようですが、大多数の組織では今も初期の段階に留まっているというのが実際のところでしょう。巨大Web企業がAIを利用していること、そして数多くのツールを開発およびオープン ソース化してAIを構築していることは疑いありませんが、そうした企業はそのために何億ドルもの投資も行っています。そして、これまでのところ、AIのユース ケースはすべて、いわゆる「narrow AI」(特定型AI)であり、『2001年宇宙の旅』でディスカバリー号を危機にさらしたHAL 9000のような「general AI」(汎用型AI)ではありません。

ここでは、AI一派に加わるのに遅過ぎることはない、と言っておけば十分でしょう。あなたの会社が、現実に有形資産を作り出し、移動し、または管理する業務を営む、従来の現実世界の業種に属する中堅企業であるならば(言い換えれば、Byteを行き来させることで利益を上げるデジタル ネイティブでないならば)、AIを利用することで、あなたの会社の優位性を高めるための時間はまだあります。

Watsonを始める

あなたの会社がデジタル ネイティブだとすれば、すでにAIを実装していることでしょう(そもそも、このニュースレターをお読みでないかもしれません)。しかし、IBM i のショップであるなら、AIの旅路のお供はおそらくIBMということになるはずです。

IBMは、AIソリューション ラインを強化するために多大な努力を払っています。CPUおよびGPUパワーを大量に消費する機械学習ジョブに対応するように設計された、AI特有バージョンのPower Systemsサーバーの開発もその1つです。オンプレミスであれ、クラウドであれ、大型ハードウェアは多くの機械学習ワークロードに不可欠です。

しかし、AIで進行しているイノベーションの多くは、ソフトウェアを中心に展開しています。このことはIBMがWatsonブランドを拡大していることを思い起こさせます。Watsonと言えば、かつては2011年にクイズ番組『ジェパディ!』でケン・ジェニングスを打ち負かしたPowerベースのスーパーコンピューターのことでした。しかし、今日では、WatsonはIBMのAIオファリングの総称であり、100を超える様々な製品およびサービス(つまり、API)が含まれるようになっています。

WatsonのラインアップにおけるコアIDEはWatson Studioと呼ばれています。以前はData Science Experienceとして知られていたものです。この製品は、データ サイエンティストがRおよびPythonなど、様々な言語で機械学習のコードを書くためのノートブックスタイルのインターフェースを提供します。

イメージ図(IBM)

「Watsonは、IBMのすべてのAIソフトウェア製品のブランドです。」

機械学習を本番環境へ展開するためのIBMの製品は、Watson Machine Learningと呼ばれています。IBMでは、TensorFlowやCaffeのような最新のディープ ラーニング ソフトウェアに搭載されている無償製品のWML Community Editionと、広く使用されているScikit Learn製品のパワーアップ バージョンであるIBM独自のSnapMLという2つのバージョンを提供しています。

また、IBMは、WML Accelerator(WMLA)と呼ばれる、次世代バージョンも販売しています。以前は、PowerAIと呼ばれていたものです。このオファリングは、マシンのクラスター全体にわたるスケーリングが必要となる非常に大きな機械学習モデルを処理するように設計されています。

先日のIBM Think 2019カンファレンスで発表されたように、ほとんどのWatsonオファリングが、Powerに加えてX86上で稼働するようになりますが、WMLAはPower専用のままです。これは、Power CPUとNvidia Tesla GPUアクセラレーターとをリンクするために、IBMがPower9チップおよびそのPower AC922システムに組み込んだ高速なNVLink接続のためです。

IBMは、Watsonをできるだけオープンにしておくことに専心してきました。高速なインメモリーApache Sparkプロセッシング フレームワークなど、Watsonを支えるソフトウェアの多くはオープンソースであり、IBMは、オープンソース コミュニティを活用することで、必然的に進化してゆく技術に合わせて、Watsonが遅れをとることなくついて行けるようにすることを目論んでいます。

たとえば、WMLAは、H2O.aiAnacondaSASなど、他のデータ サイエンス環境で開発されたモデルを管理するのに使用できる、とIBMのAI、機械学習、およびHPC分野担当のバイスプレジデント、Sumit Gupta氏は述べます。「Watson Machine Learning Acceleratorを使用してAnacondaジョブを管理することができます」とGupta氏は述べます。「SASを使用しているか、あるいは他のアナリティクス フレームワークを使用しているのであれば、それらとも連携します。」

IBMは、IBM i の顧客がWatsonを使用してIBM i 由来のデータを処理し始めるよう促しています。先日、ケベック州モントリオールを拠点とするFresche Solutions社は、IBM i 開発者に向けて、クラウド上で利用可能な様々なWatson APIの使い方のトレーニングを行う一連のコースを開始しました

しかし、IBM i のショップはクラウドでの稼働に限られるわけではりません。実際、これらの他のソリューションの多くは、Power上でも稼働できます。H2O.aiとAnacondaはいずれも、その機械学習オートメーション ツールで、Powerをサポートしています。『IT Jungle』は先日、Vision Banco社という南米のIBM i のショップに、H2O.aiの利用をテーマにインタビューを行いました。

AIとIBM i

Vision Banco社の主席データ サイエンティスト、Ruben Diaz氏によれば、このパラグアイの銀行は、クレジット スコア、不正リスク、およびローンの債務不履行の確率など、業務上の計算式で主要変数を計算するためにSPSS統計解析ツールを使用し始めたということです。SPSSで統計的方程式を開発し、コアとなるIBM i バンキング アプリケーションを動かしているDB2データベースでストアード プロシージャーとしてそれらを実装したとDiaz氏は述べます。

数年前には統計解析業務を拡大し、KNIMEやRのような他のツールを採用しました。同社は、ランダム フォレストおよび勾配ブースティング マシン(GBM)など、より高度なモデルの使用を開始し、予測モデル マークアップ言語(PMML)を用いてそれらをエクスポートしました。次いで、RESTベースのWebサービスを介して、コアとなっているIBM i バンキング システムからルーチンを呼び出すとDiaz氏は説明します。

vision Banco

約3年前に同社は、評判のH2Oの機械学習アルゴリズム スイートなど、第三世代のデータ サイエンス セットアップに乗り出します。Diaz氏と同僚は、XGBoost、ニューラル ネットワーク、およびアンサンブルと呼ばれる高度なアルゴリズムのコレクションなど、より先進的なアルゴリズムを使用し始めました。

「H2Oのモデルのトレーニングのスピードは驚きでした」とDiaz氏は述べます。「ランダム フォレストのトレーニングでRを使用すると数時間かかります。しかし、H2Oではほんの数分です。データ サイエンス プロセスの繰り返しで、より多くのモデルを処理できるのです。」

同社は最近、DriverlessAIへ移行しました。これは、はるかに多くのデータ サイエンス プロセスを自動化するように設計された、H2Oの新たな予測分析ツール スイートです。併せて、Nvidiaの最新のTesla V100 GPUアクセラレーターを搭載したIBM AC922サーバーも購入しています。

Diaz氏は、DriverlessAIが高速なIBM Powerハードウェア上で稼働することで、より速い時間でより多くのモデルの処理が可能になると述べます。「データ サイエンティストとしては、業務がより簡単に、より高速に、より質の高いものになります」と彼は述べます。「データ サイエンス プロセスでは、時は金なりです。より速くモデルを構築することができれば、より多くの実験を行うことができます。」

Diaz氏がDriverlessAIを使用したプロジェクトの1つは、コール センターに問い合わせた人へのクレジット カードの提案のためのpropensity to buy(購入性向)モデルの構築でした。「レスポンスは倍になりました」とDiaz氏は述べます。「上々の結果です。」

将来的にDiaz氏は、時系列データセットを利用してマネー ロンダリングを検知するシステムや、NLPおよび最新のディープ ラーニング技術を使用した音声映像処理など、Vision Bancoとしてのより多くのデータ サイエンスのユース ケースの開発を目指しています。

Vision Banco社は、パラグアイ最大手の銀行の1つであり、約1,800人の従業員と800,000人の顧客を抱えています。米国の分類では、同社は安定した中堅企業とみなされることと思われます。Diaz氏は、強力なAIサーバーであるPower AC922は言うまでもなく、7人のデータ サイエンティストとアナリストからなるチームの助力を得ることで、データを活用して業務についてより正確に予測できるようになるのみならず、最先端のニューラル ネットワーキング技術の実装に向けてのロードマップを描くに至っています。

コンピューティングの新たな時代の始まりにいることは明らかです。それは統計的確率によって動かされる時代です。Vision Banco社のような安定した中規模のIBM i のショップがこのようなものを実装した例を紹介しました。としたところで、あなたの会社を尻込みさせているものは、はたして何なのでしょうか。

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