2040年以降のPower SystemsおよびIBM i の展望を探る
信じられないかもしれませんが、本日のIBM i 7.6の発表で、OS/400 V1R1が1988年6月21日に発表されてから13,440日になります。その間にIBMは、27のOS/400およびIBM i プラットフォームのリリースを提供しました。そして、IBM i 7.Xシリーズのリリースとリリースの間には、何十ものテクノロジー リフレッシュによる中間アップデートも提供されています。
OS/400 V1R1からOS/400 V2R1へ移行するのには約3年掛かりました。その間、中間リリースは提供されず、テクノロジー リフレッシュが提供されるようになるのも、まだまだすいぶん先のことでした。V2シリーズの時代はと言えば、1990年代におけるハードウェアおよびソフトウェアのリリースは、おおよそ1年間隔で、ハードであれソフトであれ、テクノロジーは目まぐるしく変化していました。V3R6およびV3R7リリースは、1990年代半ばのカスタムCISCプロセッサー(ライセンスされたMotorola 68K CPUデザインをベースにしていると常々考えていました)からPowerPCプロセッサーへの大転換をまたぐ形になりました。そして、市場を変えたデュアルコアPower4プロセッサーとともに2001年に発売されたOS/400 V5R1までは、オペレーティング システム、データベース、およびシステム ソフトウェアのアップデートの間隔は、約1年に保たれていました。
2002年にV5R2が市場に出てから、IBMは、OS/400、i5/OS、およびIBM i リリースのリリース間隔を2年へと変更しています。その理由としては、サーバー仮想化がデータセンターを席巻していたこともあるでしょうし、ドットコム不況や米国9/11テロを受けての景気後退と相まって、1年という間隔のせわしなさが、人々に歩みを緩めたいと思わせたこともあるかもしれません。2年のリリース間隔でも短すぎたせいか、意図的にリリースがスキップされるようになったのはこの頃だと思われます。それを受けてIBMは、現行および以前のリリースに重要な機能を届ける方法として、テクノロジー リフレッシュによるアップデートを発表します。企業は新たなハードウェアのサポートが得られるようになり、また、オペレーティング システムのコア部分をアップグレードすることなく、新たなオペレーティング システムおよびデータベース機能を手に入れられるようにもなりました。IBM i 6.1とIBM i 7.1との間の間隔は2年のみで、IBM i 7.1とIBM i 7.2の間の間隔は4年でしたが、IBMはタイミングを模索することを止め、Linux市場のリリース間隔を取り入れました。すなわち、メジャー リリースの間隔は3年、7年間のサポートと、3年間の延長サポートです。

さて、IBMが最大で4つのリリースを存続させて、常に何らかの形でサポートしていたことは周知の通りです。そして、IBM i 7.6の登場は、IBM i 7.3に残された日数が少なくなっていることも意味します。IBM i 7.3向けの延長サポートの延長(これはタイプミスではありません。本当に「延長されたプログラム・サポートの更なる延長」ということです)は、2026年9月30日に終了します。したがって、IBM i 7.3に永遠に「サヨナラ」を言うまでには16か月と少ししかないことになります。
発表されたばかりのIBM i 7.6(4月18日に出荷開始)も、延長サポートの延長を通じて、2035年までの10年間、市場に居続けるだろうと考えられない理由はありません。そして、その後には2つのリリースが予定されています。すなわち、それらはIBM i 8.1およびIBM i 8.2と呼ばれると予想されているものであり、更新されたIBM i ロードマップでは、2028年に予定されるIBM i Next と、2031年のIBM i Next+1 として言及されています。ずいぶん先のことではありますが、IBM i Next+2 もプランにはあります。これは、私たちは2034年と予想しています。そして、計算してみると、このIBM i Next+2 オペレーティング システムは、2044年まで市場に居続けることになります。
私たちは、遊び半分で、PowerプロセッサーとIBM i オペレーティング システムとの対応関係について調べていました。過去、現行、および将来のリリースと、ハードウェア サポートの対応を以下の表にまとめてみました。

この表の左側には、歴代のPowerプロセッサーと、システムで使用されたCPUの製造に使用されたプロセス テクノロジーが示されています。大方の場合、それぞれのPower CPUで使用されるトランジスタのチップ製造プロセス ノードによって、組み込むことができるフィーチャーおよびプロセッサーのコストが決まります。IBMは、かつてはプロセスで最先端でしたが、Power9チップで使用された14ナノメートル世代以降は、後塵を拝してきました。メインストリームのArmおよびX86 CPUのほとんどが5ナノメートル プロセスを使用しているか、まもなく使用しようとしている一方で、Power11は5ナノメートル プロセスを使用しそうでさえありません。今年、3ナノメートル プロセスへ移行するものもあるようですが、IBMは、遅延したPower10デザインでPowerアーキテクチャーの多くの改造を行いました。そして、IBM i およびAIXベースのニーズを考えると、顧客により多くのパフォーマンスを提供するために、プロセスの限界に挑む必要はないのです。
私たちが本当にIBMに期待しているのは、Power12およびPower13プロセッサーでは段階的にプロセス ジャンプを行うものの、後塵を拝しつつ、Samsung社の成熟した(それゆえ比較的安価な)5ナノメートルおよび3ナノメートル プロセスを使用するということです。1.8ナノメートル、1.4ナノメートル、そして1ナノメートル プロセス(今まさにTaiwan Semiconductor Manufacturing Co社およびIntel社が完成させようとしています)への縮小ではありません。
Power13マシンの10年というライフサイクルは、それが2041年まで利用可能となることを意味します。そして、IBM i Next+2 も、延長サポート(7年のみ。ただし延長サポートの延長でまるまる10年)が加わると、同じく2041年まで利用可能です。
システム ベンダーのロードマップが、これほど予測可能性が高く、これほど先を見据えているというのは考えられないことです。唯一、不確定要素があるとしたら、それは間違いなく、あなた方、ユーザーです。そして、あなた方のPower SystemsおよびIBM i 予算であなた方が何をするかです。あなた方が支出する限りにおいて、IBMは投資を行うことができるのです。