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IBM i お役立ち情報2022.04.21

パワーシステム・エバンジェリストの安井が「IBM Champion 2022」に認定されました

パワーシステム・エバンジェリストであり、e-BELLNET.com IBM i コラムの執筆者である安井 賢克がこの度「IBM Champion 2022」に認定されました。
IBM Championは、IBMのビジネス・パートナーやお客様企業の中から、あらゆるIBM製品やソリューションの認知度向上や情報発信において、特に貢献度が高いとする社員を認定する、IBMによる公式プログラムです。昨年時点で全世界約750名、日本においては44名が認定者として登録されています。

元々安井は、日本アイ・ビー・エム在籍時よりエバンジェリストとして、IBM i とパワーシステムの優位性をお客様やビジネス・パートナーに訴求する役割を担ってきておりました。日本アイ・ビー・エムを定年退職し、ベル・データに転職した後もIBM i とパワーシステム社内外セミナーにおける講師のみならず、コラムを通じた定期的な情報発信や、教育専門会社における新人向け教育にも携わりながら、お客様向け個別相談に応じるなど、IBM i の認知度向上に積極的に取り組んでいます。

今回は安井が「IBM Champion 2022」に認定されたことを記念して、単独インタビューを実施しました。

――まずは日本アイ・ビー・エム在籍時に関してお聞きします。日本アイ・ビー・エム入社当初はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

1980年の入社と共に神奈川県藤沢工場生産管理部門に配属されました。小型汎用機やストレージ製品の生産工程における、部材調達管理と生産ライン稼働維持が主業務です。2年間の海外駐在(米国カリフォルニア州サンノゼ)を含めて約8年間工場に所属しておりました。エバンジェリストとかChampionとは全く関係の無い仕事だったのですが、いずれは製品企画のような仕事に就きたいといった漠然とした希望を会社に投げ掛けておりました。担当するならば大型汎用機かPCサーバーを希望、中規模クラスのシステムについてはわからないし全く関心が無かった、というのが当時でした。

――エバンジェリストになったきっかけは何ですか?

1988年のAS/400発表とほぼ同時に、この製品を扱う中小型システム製品企画部門に異動しました。担当製品は希望とは違っていたのですが、製品企画部門であればどこでも良かったのです。製品は海外工場で組み立てられていたのですが、日本のお客様に受け入れていただけるような品質を維持・管理するために、国内工場部門との協業が必要とされていました。そこにたまたま藤沢工場生産管理部門からの異動希望者がいた、というわけです。製品企画部門における私の当初の業務は、工場との協業を通じた製品品質維持のための種々の施策策定であり、その後は国内向けの製品発表、製品の値決めや割引プログラムの策定、製品が売れるための体制作りなどにも携わりました。この体制作りの中には、販売店への製品情報提供が含まれており、私自身も販売店向けセミナーにおけるIBM i 最新情報の講師の役割を度々担っていました。

IBMの施策としてマーケティング強化が掲げられるようになり、2006年には製品情報発信のやり方も見直されることになりました。製品に紐づけられた社員個人という考え方、すなわちエバンジェリストというタイトルを持った人間を新たに任命し、彼等・彼女等を情報発信の前面に立てるというわけです。そして、IBM i については私が初代エバンジェリストに任命されました。

私自身は工場出身でIBM i のSEや営業としての経験は皆無、すなわち製品企画部門の中でも技術力・営業力が最も劣るメンバーの一人だっただろうと思います。ただ、複雑な製品情報を咀嚼して一旦自分なりに理解し、私自身の低いレベルの技術力と言葉遣いで人に伝えるよう心掛けていたので、それが会社の狙いにマッチしたのかもしれません。

Farewell Cake
IBM時代、エバンジェリストとしてセミナー講師を務める安井です。

――仕事で苦労した事は何ですか?

本来の製品企画の業務はそのままに、エバンジェリストとして新たな業務を追加で担うことになったので、自分のワークロードは自分自身で管理しなければなりませんでした。そして自分のスキルの及ばないような問合せ・要望が寄せられた時に、限られた時間の中でどのようにそれに応えるべきか、どこまで周囲に頼りどこから自力でこなすべきか、といった点を見極め、実行してゆくのに苦労しました。
なかなか他人にこのあたりの判断を相談できるものではなかったのですが、繰り返しているうちに、満点は得られないにせよ何らかの解法は見つけられる、という確信を抱けるようになりました。

――逆に仕事でやりがいを感じた事は何ですか?

エバンジェリストとしてはお客様向けセミナーにて講師を務めた後にいただけた、「再度自社向けに同じ内容で講演して欲しい」といった要望や、「IBM i に対する否定的イメージが大きく変わった」といったコメントは、大いにやりがいを感じさせるものでした。またビジネスのためのコンピュータという観点から大学や大学院で授業を受け持ったのは、大きなチャレンジでもある一方で、緊張感ある楽しみでもありました。

製品企画担当者の立場としては、IBM i 製品開発部門(米国ミネソタ州ロチェスター)に1.5年間近く駐在し顔つなぎができた事もあり、自身の業務遂行において主要メンバーに色々と助けてもらえたのは大きかったと思います。支えてもらえる充実感を味わえた、といったところでしょうか。

――次にベル・データに転職から現在までに関してお聞きします。ベル・データに転職したきっかけは何ですか?

前社長の小野寺さんがベル・データに入社される前から、エバンジェリストとして何度か協業させていただく機会がありました。IBMからの定年退職時期が近づいており次の会社探しをそろそろ考えようか、これからは全力疾走ではなく巡航速度で走れるのが良いかな、などと漠然と思っていた頃に、ちょうど食事のお誘いを受けて色々と話をさせていただきました。その中で唐突に、

「お前、そう言えば、年、いくつになった?」(ほぼ発言どおり)

いきなり直球ど真ん中の質問をぶつけられました。この質問がその場の思い付きだったのか、実は狙っていたものだったのかはわかりませんが。

ただこのやりとりがきっかけとなって、後日あらためてベル・データという会社について色々と話をうかがう事になり、そして私がIBMの次にお世話になる方向で話が進んでゆきました。条件などを話し合っている中で、「そこまで私を買っていただけるのなら」という思いが頭をもたげ、当初の巡航速度案が「やれるところまでやってみようか」に置き換わり、と私自身の意識が変化したことは、今でも記憶に新しいところです。

Farewell Cake
I甘党の安井がいただいた退職記念のケーキです。

――日本アイ・ビー・エム(メーカー)でエバンジェリストとして働く事とベル・データ(特約店)でエバンジェリストとして働く事の違い、やりがい、苦労した点は何ですか?

IBM時代は開発部門からの情報を得る機会が多かったのに対して、お客様からはやや距離がありました。ベル・データではちょうどその逆の状況にあると言えます。
昨今の私達のビジネスは、製品そのものよりも市場動向により強く影響を受ける傾向が強まってきていますので、身を置く場所が変わった事は、かえってプラスに作用するのではないかと感じています。

ただ、頭ではわかっているつもりなのですが、海外出張したり、海外の情報に直接触れたりする機会が減ったのは、少々寂しいというのが本音ではありますが。

――今後仕事の中でやりたいことは何ですか?

自身については、今後いつまでテクノロジーや市場動向の変化に追随する柔軟性を維持できるものなのか、自らを耐久テストの実験台にしているかのような心境に囚われることがあります。
ただ、やらなければならないと考えている事は、エバンジェリストとしての後継者作りです。最も必要とされるスキルを問われたら、国語力と答えることにしています。様々な事象の言語化能力、聞き手の立場やスキルに合わせて柔軟に変更できる表現力や、話の筋道を論理的に組み立てる説得力などが含まれます。技術力については、これからでも憶えて知識を積み重ねてゆけば済むものと捉えています。候補者絶賛募集中です。

あとは、自身の製品企画業務の知識・経験が役立つ場面があればと思っています。会社の体制の違いもあるので、従来通りのやり方が必ずしも通用するわけではありませんが、エバンジェリストという立場に囚われずに活動を続けるつもりでおります。

――安井さんが長く携われているIBM i の魅力とは何ですか?

技術的に様々に説明する事はできますが、一言で表現するとしたら、「ビジネスを支えるITとしてのあるべき姿を追求したシステム」である、という点でしょうか。
技術的面白さが目立つことはありませんが、目的を意識すればこれほど練り上げられた設計思想を持つシステムは他に見当らないことがわかります。

ITである以上はどうしても手段としての属性に目が行きがちですが、趣味のためのシステムとは違う、という意識を持って眺めてみる必要があるのだと思います。そしてそれを伝えるのが、エバンジェリストとしての私の使命だと捉えています。

AS/400の産みの親とされるF.Soltis博士の著書(お勧めは「Fortress Rochester」なのですが邦訳版はありません)を読むと、設計思想や製品戦略は突然降って湧いたものではないことがわかります。過去のコンピュータの歴史や、ビジネスとITとの関わり合いに関する学びがあって、必然的に導き出されたものです。足元にも及ばないレベルではありますが、日本の市場動向も加味しながら一連のストーリーとして私なりに資料にまとめ、新人向け教育などにおいて利用しています。


安井 賢克

安井 賢克(やすい まさかつ)
ベル・データ株式会社
パワーシステム・エバンジェリスト
安井が執筆している「IBM i コラム

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