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IBM i お役立ち情報2026.01.14

世代交代が進むIBM i 技術者 ~ IBM i RiSING参加者インタビュー

「IBM i RiSING」をご存知でしょうか。喫緊の課題とされるIBM i技術者の世代交代促進を目指し、若手技術者が各社の中で孤立することなくさらなる技術力向上に取り組める場として、日本IBMが主宰するコミュニティです。詳しくはIBM i コラム「若手技術者が活性化するIBM i の将来 ~ IBM i RiSING」をご参照いただくとして、ここではベル・データから参加した技術者が何を思い感じたのかを、e-BELLNET管理人がインタビューしてまいります。応じてくれたのは、インフラストラクチャー・サービス部門の齊藤主真さん、アプリケーションマネジメントサービス部門の松田三奈さん、同・中川裕香さん、の三名です。(以下敬称略)



管理人:「最初に社歴年数とどのような業務に関わっているのかを教えてください。

齊藤:「社歴は6年目になります。私はいわゆるインフラSEとして、お客様先でのIBM i のリプレースに関わる作業全般を行っています。具体的にはOSのインストール、バージョンアップグレード、パフォーマンス測定などが主な作業内容になります。」

松田:「入社5年目です。アプリケーション保守ツールとして多くのお客様にご利用いただいているX-Analysisや、ベル・データが手掛ける生成AIサービスをお客様にご理解いただくための、いわゆるプリセールス・エンジニアです。先輩方のアドバイスを得ながらですが、社内外に向けた情報発信も積極的に行っています。」

 松田によるe-BELLNET記事(全8回)RPG開発者のためのIBM i モダナイゼーション入門!RDi とWeb APIで新しい開発の世界を楽しもう

中川:「入社後まだ1年です。生産が中心なのですが、お客様の基幹業務アプリケーションの設計・開発に携わっています。」


管理人:「IBM i RiSINGに加わるきっかけは何だったのでしょうか。また、参加前にどのような期待を抱いていましたか。

松田:「上司に勧められました。IT未経験のままに入社したのですが、これまでに学習してきたことが世間ではどのくらいに評価されるのか興味がありました。また、コミュニティを取りまとめている古閑さんとは、若手技術者として共に雑誌インタビューに出たというつながりがあったことも、決断を後押ししました。」

中川:「私も上司の勧めがきっかけでした。ITに関して白紙の状態で入社し、まだ修行中の身でもあったので、自分が参加することが妥当なのかよくわかっていませんでした。理解できていたのは、自分がIBM i 経験10年未満という参加要件を満たすことくらいのものでした。」

齊藤:「私も上司の勧めがきっかけなのですが、日常業務の中でIBM i の操作方法やコマンドについてお客様の方が詳しいといったことも何度か経験したので、自分の知識不足を補わなければという意識が常にありました。」

管理人:「皆さん、上司の推薦がきっかけなのですね。IBM i RiSING活動を多くの人が理解することが、若手の方にチャンスを与えるのだとあらためて認識できました。


管理人:「IBM i RiSINGにおいて、具体的にどのような活動をされましたか。また、活動を始めてみて、当初の期待や想像と違っていた点はありましたか。

中川:「RiSINGではテーマ毎にいくつかのチームを作って活動するのですが、私はIBM Navigatorという、IBM i を管理するブラウザ・インターフェースからパフォーマンス分析を行うことをテーマに選びました。IBMが発信する情報だけではわかり難いので、自分達の言葉でまとめることを通じて理解したいというのがその理由です。これまでに触れたことのないテクノロジーを学び、知識を増やせたことが最大の収穫でした。ただ、自分は大阪支店に所属しており、他の方との交流はオンラインが前提だったので、最後に天城で集合型の報告会に参加できたことは嬉しい体験でした。」

管理人:「多くのお客様にとっても、成果物は貴重な情報になると思います。磨きをかけて、いずれは技術勉強会の場で説明できるほどになると良いですね。

齊藤:「私もテーマは中川さんと同じでした。自分の日常業務に照らしても実践的な内容に携わることができたと思います。最後に成果物としてレポートにまとめるとか、天城にて活動報告会に臨むなどの機会においては、言葉の選び方も含めて、自分が学んだことを他の方に理解いただく難しさを感じました。」

管理人:「知見を得るばかりでなく、それを説明するスキルも重要なはずなのですが、意外に意識されていないことが多いのかもしれません。新鮮な気付きですね。

 齊藤・中川が参画した「IBM i RiSING 2025」若手技術者JチームによるQiita上の公開資料 IBM Navigator for iから利用できるパフォーマンス情報一覧

松田:「私はIBM i の運用を研究テーマとするチームのリーダーとして参加しました。セキュリティ情報や運用に関する情報が掲載されているサイトを参照しながら、情報をまとめてゆきました。特に着目したのは、オブジェクトとユーザー毎の権限管理、そしてそれらに関わるシステム値です。技術的な学びもさることながら、個々人の熱量の違いもあり、リーダーとしてチームを運営する難しさを経験しました。わずか5人のチームだったにも関わらず、ミーティング・スケジュール調整に苦労することもありました。」

管理人:「個人の熱量や、タスクに対する姿勢の違いはよく直面する課題なのだと思いますが、私自身も決定打となる解決策は見たことがありません。組織運営における永遠の課題なのかもしれませんね。

 松田が参画した「IBM i RiSING 2025」若手技術者DチームによるQiita上の公開資料 IBM i ユーザー向け お役立ちチェックリスト

(左:中川 右:松田 IBM天城にて開催された最終報告会に参加)


管理人:「直接RiSINGに関わる質問ではないのですが、初めてIBM i に触れた時の第一印象はどのようなものでしたか。そして入社時にIBM i に携わることが決まった時に、ご自身のキャリアを見据えてどのような感想を持ちましたか。

中川:「入社前からIBM i に携わることは知っており、会社のビジネスを支えるシステム作りという仕事に興味がありました。初めに先輩から「古いからビックリするよ」と言われたのですが、あまりピンときませんでした。むしろ歴史あるIBM i やRPG言語を通じてお客様のビジネスに直接携わり、ユーザーの方からの目に見える反応を得ることにやりがいを感じています。お客様のビジネスを支えるという点から見れば、プログラム言語は手段に過ぎないので、好き嫌いのようなものはありませんでした。」

松田:「入社前は見たことのない「黒画面」に触れて、これでプロのエンジニアになるのだなという誇らしさを抱いたことを思い出します。一方で、これから専門性を高めて業務を極めてゆけるのか、一抹の不安に囚われたのも正直なところです。私にとってのIBM i は、「古い」ではなく「クール」という表現の方がしっくりくるような気がします。」

齊藤:「私は入社前からWindows PCを自作するなど、テクノロジーにはそれなりに関わっていました。そのため「黒画面」に対して古いという印象を抱いたことは否めません。このシステムに携わることで、自分はもしかしたらテクノロジーのトレンドから取り残されてしまうのではないかという不安があったのも正直なところです。ただ見た目とは裏腹に、最先端テクノロジーで社会インフラを支え、そして何よりもアプリケーションの互換性が維持されていることは、ビジネス・ニーズに最適なシステムなのではないかと考えをあらためています。」

管理人:「人それぞれであることは致し方ありませんが、若手の方に変な第一印象を植え付けるような言動は控えるべき、というのはベテランにとっての反省点なのかもしれませんね。私達が扱うシステムは、見た目よりもビジネスにおける実用性を問われるわけですから。


管理人:「RiSINGに話を戻しましょう。この活動はご自身のキャリアにどのような影響がありそうでしょうか。

松田:「好奇心を持って課題に取り組むのは、苦にならないし、活き活きとできるものだということを体験できました。実は入社当初にインフラチームに配属された時、面白いとは感じたものの、本当に自分がやりたかったことなのかあまり確信が持てていませんでした。現在は配属が変わり、プリセールス・エンジニアとして活動している中で感じる充実感は、まさにこの活き活きとした感じだなと気付きました。」

齊藤:「知識は自身の中に積み上げるだけでなく、アウトプットし他人の理解を得ることで初めて価値になることを実感しました。インプットを充実させ、自分の中での理解を磨き上げ、より優れたアウトプットができるようにしてゆきたい、と今は感じています。」

中川:「一言で言うと自身の視野が拡がったことです。RiSINGにはメーカーであるIBM社、ビジネス的に見れば私達のライバルでもある同業他社、そしてお客様と多様な方々が一堂に会して切磋琢磨します。それぞれに立場は違うので、なおさら自分は社会と関わっているという点を実感しました。」

管理人:「それぞれに得るものがあったのは、同じ会社の仲間として嬉しいことです。私自身が新人の頃も同様のプログラムがあったら良かったな、と思います。

(齊藤:リモートからRiSINGに参加)


管理人:「これからまた皆さんの後輩が入社してくると思いますが、彼等・彼女等にIBM i RiSING活動を勧めるとしたら、どのように説明しますか。

齊藤:「まずはチームで取り組む研修の場であることを強調したいです。それも受身的なものではなく、自身の興味・関心を原動力として、チームのそれぞれのメンバーが能動的に動く場です。通常の研修では得られない体験です。」

松田:「学びとしてのインプットと、他者に説明するなどのアウトプットと、両方を一度に体験できる場です。皆初めて会う方ばかりですが、好奇心を持って積極的に参加することが推奨されます。私自身も可能ならば2026年も再度応募したいと思っています。」

中川:「社内にいるだけでは得ることができない、社外と交流できる貴重な場です。しかも世代も仕事内容もほぼ同じであり、視野が拡がるのは間違いありません。」


管理人:「ここで皆さん自身の10年後を思い描いてみていただけますか。その時にどのような業務に携わっている、またはどのような立場にあるでしょうか。

松田:「これまでIBM i に関わりながら、入社直後はお客様のインフラ、その後アプリケーションをサポートするチームへと異動してきました。今後はテクノロジーのジェネラリストになれるよう修行を積み、ビジネスにも目を向けながらチーム・マネジメントに携わる、というのが自分なりの理想像です。上司をロールモデルと考えています。」

齊藤:「IBM i のジェネラリストとして、このシステムに対する世間の印象を良いものに変えてゆくような立場にありたいです。このシステムを知れば知るほど、自動化やクラウド統合など、ビジネスを支えるための先進機能がきちんと統合されていることに気付かされます。このような気付きを他の方、必要があれば営業の方ともシェアできるようでありたいと考えています。」

中川:「まずは生産アプリケーションから始めているのですが、テクノロジーだけでなくビジネスや業務寄りの知見を積み上げてゆきたいです。いずれはお客様とも対等にビジネスに関する話合いができ、より良いソリューションを提案できるようでありたいです。」


管理人:「ではIBM i に携わっていらっしゃる皆さんから見て、この製品の強みと弱みは何だと感じていますか。

齊藤:「強みは何と言っても、世代を経ても維持されるアプリケーションの互換性だと思います。最先端のテクノロジーを実装しながらも、80年代のアプリケーションがそのまま動くのは驚異的です。このような強みの裏返しとも言えるのですが、極めてユニークなテクノロジーが採用されているために世間であまり知られていない。情報を調べようとするとどうしてもマニュアルに頼るしかないのですが、必ずしもわかり易いとは言えないところが弱点ですね。」

松田:「セキュリティ、ランサムウェアに対する強さを感じます。製品の脆弱性を突かれて被害にあったケースが皆無だとも聞きます。一方でIBM i においても新たなテクノロジーは次々と実装され便利になっているのですが、世間に広まっていないと感じます。新機能を備えてはいるのだけれども、必ずしもそれが活用されないのはもったいないですし、製品に対する印象も良いものにはなりません。」

中川:「私も松田さん同様に、セキュリティ耐性の強さを感じます。初学者の立場から言うとしたら、インターネット上で検索できる製品情報量が少ないですし、見つかっても理解するのが難しいので、途方に暮れることがありました。独自アーキテクチャを備えたシステムなので、なおさらそのように強く感じます。」

管理人:「アプリケーションの互換性とかセキュリティの強さというのは、かつてAS/400と呼ばれていた頃から維持されてきた不変の価値ですね。業務用途の製品という位置付けが明確であることからくる強さなのだと思います。


管理人:「製品の弱みにも関わると思うのですが、IBM i に関わっている人達(いわゆるコミュニティ)の課題は何でしょうか。

松田:「個人の熱量の違いでしょうか。製品に向き合う時にどのくらい強い動機を持っているのか、という点にかなりの落差を感じることがありました。RiSINGのチームの中でも、販売店とユーザー企業という立場の違いのためなのか、チーム・リーダーとして活動する中でもどかしさを感じることがありました。」

中川:「技術を次世代に引き継いでゆくための体制、または年齢別人口構成に脆弱さを感じることがあります。私個人の感覚ですが、ベテランがいて、中堅が少なくて、いきなりある程度の若手がいるという印象があります。ピラミッド型を理想とするならば、真ん中がくびれた、やや頭でっかちのひょうたん型になっているということです。RiSINGの取り組みが継続されれば、長い間には改善されてゆくのだと思いますが。」

齊藤:「一言で言えば製品情報の質と量の不足です。例えばGoogleなどで検索すれば多くの文書がヒットする、というのが理想ですが、Qiitaやe-BELLNETはこの状況を改善するのに役立つのだろうと期待しています。ただ時間はかかるかもしれませんね。」

管理人:「情報が十分ではない、その責任の一端はベテランにあるのかもしれません。オープン系を眺めてみると、メーカーだけではなく多くのユーザーも同時に情報発信者であるわけですが、そういったカルチャーを立ち上げてゆく必要があるのだと感じます。

 「IBM i RiSING 2025」若手技術者によるQiita上の公開資料一覧 IBM i RiSING (若手技術者コミュニティ)2025年 公開資料まとめ

管理人:「最後になりますが、社長になった気分で想像を巡らせてみてください。IBM i を取り扱う販売店として、最も優先的に取り組むべきことは何でしょうか。

中川:「製品に関する、いわゆる啓蒙活動です。私達が今何気なく触れているのは、セキュリティの強さなど貴重なテクノロジーだと思うのですが、これを財産としてさらに引き継いでゆく必要を感じます。」

松田:「お客様に提供できる付加価値をより一層大きなものにして、第二のメーカーのような立ち位置に引き上げられればと思っています。販売店としての強みは、お客様すなわち営業現場を知っていることにあるわけですから、現場の事情や要求を製品に反映させられるようでありたいです。スーパーなどで見かけますが、メーカーではない流通業ブランドの商品ってありますよね。」

齊藤:「中川さんと同様に啓蒙活動を続けて、IBM i という製品に対する市場のイメージを変えてゆきたいです。クラウドやオープン系ばかりでない、最新テクノロジーを備えたシステムの優位性を市場に浸透させることです。」

管理人:「皆さん、お忙しい中ありがとうございました。


インタビューを終えて:

今回はIBM i RiSINGに参加した三名の方にインタビューに応じていただいたのですが、単に「若手技術者」という言葉だけでは括ることができない個性・多様性が印象的でした。そしてともするとベテランは指導し教えるという目線にとらわれがちですが、こういう見方もあるのかという新鮮な驚きがありました。

IBM i はビジネスを支えるシステムとしての地位を築いてきたわけですが、テクノロジーだけでなく製品を取り巻くカルチャーも、財産として次の世代に引き継いでゆかなくてはならないのだと感じました。管理人としても、このインタビューに応じてくれた三名の活動を、陰ながら後押ししたいと強く思った次第です。まだ「働かないオジサン」になりたくはありませんのでね。

最後にお知らせです。IBM i RiSING 2026ではIBM i 経験が10年未満の技術者の方を対象に参加者を募集しています。活動期間は2026年4-10月で、業界最先端スキルを習得しながら、メンバー同士の横のつながりを構築します。関心ある方は1月31日までに、(https://ibm.biz/Rising2026Reg)より奮ってお申込みください。

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