2018.10.25
Alex Woodie著

最新のIBM i TRは来月リリース

時期的に意外でしたが、IBMは先週、IBM iオペレーティング システム向けの1組のテクノロジー・リフレッシュ(TR)を発表しました。IBM i 7.3 TR5および7.2 TR9は、新たなPower Systems E980サーバーのサポートに加えて、このプラットフォームのデータベース、開発ツール、および管理インターフェースに一連の機能強化をもたらします。

春と秋にはオペレーティング システムのアップデートがあることに、IBM iインストール ベースは慣れっこになっています。おおよそ、こうした年2回のパターンは、数年前にIBMがTR方式へ移行して以来、続いてきたものです。しかし、そうした慣例を破る形で、先週、IBMは、IBM i 7.3 TR5および7.2 TR9の9月14日のリリースを発表しました。

これら2つのTRによって提供される新機能は、どちらもほぼ同じようです。ただし、IBMのIBM iアーキテクトのSteve Will氏によると、Power9ハードウェアを採用予定のIBM i顧客は「かなり早急に」IBM i 7.3へ移行したほうがよい、とのことです。

以下では、新たなTRによって、IBM iオペレーティング システムの各コンポーネントにもたらされる新機能について紹介して行きます。

Db2 for i

IBMは、オペレーティング システムに付属している、この中核となるデータベースに対して様々な機能強化を提供します。まずは、新たなILE RPGコントロールです。これにより、組み込みSQL使用の際の「RPGプログラマーの生産性が向上」する、ということのようです。

今回のリリースでは、「新たな機能強化された」組み込み関数(BIF)も追加されます。それらを利用することにより、開発者はより多くのビジネス ロジックをSQLステートメントで記述できるようになります。また、プロシージャー、BIF、およびトリガーのコード生成プロセスが改善されたことにより、オブジェクトの再コンパイル時のパフォーマンスが向上します。さらに、IBMによれば、JTOpen JDBCドライバーの機能強化により、可用性の高いアプリケーションの構築が行いやすくなるとのことです。

また、システム管理者向けのDb2 for iの機能強化もあります。システム管理者は、IBM iのコマンドを入力する代わりに、2つのSQLステートメント(ACTIVE_JOB_INFO UDTFおよびJOB_DESCRIPTION_INFO)を使用して、データベースから有用な情報を入手できるようになります。

その他のデータベース エンジニアにとってはありがたい機能強化として、QSYS2.GENERATE_SQL_OBJECTS()プロシージャーの追加があります。IBMによれば、この新たなSQLプロシージャー、QSYS2.GENERATE_SQL_OBJECTS()(名前から機能がうかがえますが)は、「従属オブジェクトを分析して、完全に順序付けられたSQLを生成する」とのことです。

これらのデータベースの機能強化は、Db2 PTF Group SF99703を通じて提供されます。Db2 for iの機能強化についての詳細情報は、このトピックに関してIBMのデータベースの権威であるScott Forstie氏が記したdeveloperWorksの記事でご覧になれます。

IBM i Access Client Solutions

IBM i Access Client Solutions(ACS)が登場して、このプラットフォームの数多くのユーザーにとっての主要なユーザー インターフェースとして利用されるようになったことは、この5年間にIBM i周辺で起きた大きな出来事の1つと言えるでしょう。この新たなTRによって、ACSをめぐるストーリーはさらに発展します。

ACSバージョン1.7での大きな機能強化の1つに、同製品のコンポーネントである5250エミュレーターに向けてのものがあります。IBMによれば、5250エミュレーターでJPS(Java印刷サービス)がサポートされることになり、ACSに幅広い印刷関連機能が加わる、ということです。

今回のリリースにより、ACSの5250エミュレーターでサポートされる新機能として、次のものがあります。CPI(1インチあたり文字数)およびLPI(1インチあたり行数)の設定。ページ サイズおよびフォント サイズの拡大/縮小(横倍、縦倍)の指定。SBCSおよびDBCSテキストのサポート。水平および垂直の印字位置指定のサポート。グリッド線、バーコード、およびフォントのサポート。印字方向設定機能(縦向き/横向き)。拡大/縮小印刷機能(ページ サイズに合わせた印刷)。

データベース エンジニア向けのACSの機能強化として、ロックされた行で作業する機能やホルダーをロックする機能など、ACSでデータベース スキーマを管理するための数多くの新機能が追加される、とIBMは述べています。また、発表レターによれば、表および索引をカット、コピー、ペーストする機能、スキーマ テキストおよびスキーマ プロパティを変更する機能、およびJournal View Entriesを開始する機能も加わるということです。

また、発表レターでは、ACSでオープンソース ソフトウェアを管理するための新たなインターフェースについても言及されています。以前の記事で取り上げたように、IBMでは、IBM iへオープンソースを配布する方法として、5733-OPS製品の利用から離れ、代わりにYumおよびRPMの採用へと移行しつつあります。そうした移行の一環として、ACSにはGUIが追加され、ユーザーはそのGUIを使用してどのオープンソース コンポーネントをIBM iにダウンロードしてインストールしたらよいか選択できるようになります。ややこしいPTFプロセスから逃れられるというわけです。

新たなACS機能に関して注意が必要な点が1つあります。それは、このソフトウェアを使用するにはJava8が必要になるという点です。

オープンソース

オープンソースの分野で言えば、RPM(Red Hat Package Manager)およびYum(Yellow Dog Updater Modified)への移行は、今後のIBM iユーザーのオープンソース ソフトウェアの利用のしかたに大きな変化をもたらすことになります。IBMは、今年始め、IBM i向けRPMおよびYumのテック プレビューをリリースしています。IBM i 7.3 TR5および7.2 TR9では、このテクノロジーはOSの標準パーツとなります。

IBMは、RPMおよびYumの活用を通じて、オープンソースの配布を本格化させています。そのため、IBM iユーザーは現在、Node.jsバージョン8およびPythonバージョン3.6など、広く使われているオープンソース言語の最新バージョンを利用できるようになっています。

また、IBMは、RPMを介して暗号化ライブラリーのアップデートも行っています。OpenSSL 1.1.1をサポートすることによって、「OpenSSLを使用するあらゆるテクノロジーにTLS 1.3の機能がもたらされる」とIBMは述べます。TLS 1.3は、セキュリティ ホールが認められていたTLS 1.2の待望の後継バージョンであり、つい先週、IETFがようやくリリースするに至ったものです。また、IBMは、RPMを介してnginx HTTPサーバーの提供も行っています。このことが重要なのは、nginxはOpenSSL 1.11およびTLS 1.3を活用するように構築されたからだ、とIBMは指摘しています。

新たなコマンドもRPMを介してこのプラットフォームに提供されます。less、grep、ls、awk、sed、find、patch、tar、iconv、sortなど、数多くの業界標準のGNUコマンドを使用できるようになるとIBMは述べています(これらのコマンドがすぐにIBM iの用語の中に浸透して行くのは間違いないでしょう)。

この他にも、RPMを介してIBM iに提供されるオープンソース パッケージとして、以下のものがあります。開発者がPASEで稼働するアプリケーションを作成するのを可能にする、GNU Cコンパイラーおよび関連ツール群。コマンドラインFTPユーティリティとして使用でき、ミラー サイトの作成や複数タスクの並立処理に使用できる「高機能の」ファイル転送プログラム、LFTP。ターミナル セッションで基本的なファイル エディター機能を提供するGNU nano。

IBM i 7.3 TR5の発表レターはこちら、IBM i 7.2 TR9の発表レターはこちらでご覧になれます。

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