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IBM i とは

そもそもこのページは何を目的としているのか

IBM i を知らない人に向けて、IBM i を一言で説明して欲しいと言われたら、あなたはどのように答えますか?

ITにおける最大の課題の一つは後継者問題だと言えるでしょう。特にIBM i のように歴史の長いシステムの多くはベテラン技術者によって支えられていますが、少なくとも引退が視野に入る頃までには後継者の育成を考えなければなりません。

スマートフォンなどのデジタル機器類に囲まれて育ってきた若年層技術者にとって、IBM i は全く未知のレガシーなシステムに映っているはずです。後継者候補として着任したばかりの方に対して、どのようにしてIBM i を説明すれば良いのか、決定版となるような答えを見たことはありません。

この製品を利用された経験のある方であれば、単一レベル記憶のシステム、TIMIと呼ばれるマシン・インターフェースを備えたシステム、オブジェクト・アーキテクチャを備えたシステムなど、特徴あるテクノロジーをいくつか挙げることができると思います。用語だけではなかなか理解できるものではないことを承知しているので、それまでに経験してきた事例を交えながら、あなたはおそらくメリットや効果を付け加えることも忘れないでしょう。

でもそれだけで納得してもらえるのか、何よりも今後IBM i に関わり続けることに対して自信を持ってもらえるのか、となると少々心もとないのが現実ではないでしょうか。特徴あるテクノロジーとそのメリットを強調したところで、受け取る側がそのような価値尺度を持ち合わせていなければ、ベテランの思いは空転してしまうかもしれません。企業の経済活動遂行を支えるためにITとして追及するべき価値は何なのか、というレベルにまで一旦遡って考えてみる必要がありそうです。

ここでIBM i の先代にあたるAS/400産みの親とされるF.Soltis博士が、その著書の中で主張していることを紹介しておこうと思います。テクノロジーを理解するためには、どのような仕組みになっているのかだけでなく、何故そのような仕組みが実装されたのか背景を知らなければならない、というものです。テクノロジーが採用されるからには、そこに何らかの必然性があるはずです。ビジネス的に求められるからなのかもしれませんし、必然とは言い難いですがテクノロジーのトレンドに乗っただけなのかもしれません。中には野望に突き動かされて市場の動向を見誤り、撤退を余儀なくされたケースもあります。ところがマニュアル類に記述されているのは、仕組みや使い方といったところがせいぜいなのが現実です。目的を考えれば当然ではありますが、表面的だと言えるかもしれません。

このページは、どのようにIBM i を説明したら良いのかという問題意識を持った、執筆者である安井からの一つの提案です。狙いとして意識しているのは、IBM i が備えるいくつかのユニークなテクノロジーと、その背後にあるものをできる限り解きほぐしてみることにあります。そしてIBM i の「文化」を知り、興味・関心を抱き続ける方が少しでも増えるとしたら、執筆者としてこれに勝る喜びはありません。

これからこれまでに書き溜めたIBM i コラムの中から適宜抜粋し、手を入れながら、少しずつ文章を追加してゆく予定です。IBM i の基本を知っていただくことが目的ですので、IBM i コラムのように様々な話題を網羅することを目的とはしていません。可能な限り最新・最良の状態を維持するために、周囲の反響に耳を澄ませ、自ら模索し、時に書き直し、IBM i とは何かという問いに対する最良の答えの一つとなるよう、随時内容を見直してまいります。

パワーシステムエバンジェリスト
安井 賢克



1.真実は個々の技術論を超えたところにある

2.コンセプトがアーキテクチャに至るまで

2-1.アプリケーション資産継承

2-2.セキュリティ

2-3.オールインワン

2-4.単一レベル記憶

2-4-1.そもそもの狙いはパフォーマンス改善

2-4-2.ソフトウェアから考えるストレージ・アクセス

2-4-3.効果とメカニズムを探る

2-4-4.セキュリティ・リスクと応用技術


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