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IBMi海外記事2018.03.08

IBMのSystems Group、業績復活

Timothy Prickett Morgan 著

2018年は、良いニュースから始めたいと思います。それは、IBMのシステム事業の四半期業績が非常に良かったというニュースです。おかげで我々はひと安心できますし、日立はあの小切手帳を鞄にしまうことができます。IBMは当面、System zおよびPower Systems事業を売却しそうにないからです。

2017年12月期の第4四半期には、9月中旬から提供開始されたSystem z14のリフレッシュのおかげで、メインフレームの売上は71%急増しました。また、昨年後半に最初のPower Systems AC922ハイブリッドCPU-GPUスーパーコンピューター ノードが出荷開始されたものの、あまり強い影響を与えることはありませんでしたが、それでも、ローエンドのPowerシステムの売上は好調であり、また、Power8をベースにした一部のハイエンドのNUMAマシンについても同様でした。

「Powerの売上は15%の伸びを示しました。この伸びは、ディープ ラーニングおよびSAP HANA市場の新たなクライアントに提供されるクラウド イネーブルド オファリングとともに、当社のハイエンドおよびローエンドのポートフォリオにおける2桁の成長によってもたらされたものです」と、IBMの新CFO(最高財務責任者)のJim Cavanaugh氏は、初となるウォール街のアナリストとのカンファレンス コール(四半期ごとの業績報告の電話会議)で説明しました。「成長しているLinux市場へのシフトは継続しており、Linux on Powerの売上は再び増加し、シェアを拡大しています。2017年には、Powerポートフォリオの4分の1を占めるに至っています。また、当社は、米エネルギー省において当社のスーパーコンピューターの最初のインストールを実施しました。2018年後半には、さらに多くのインストールを行うことが予定されています。この種のラボは3つあり、当社はそのうちの2件について受注しました。これは1プロバイダーが受注できる最多件数です。今四半期には、ローエンドのLinuxポートフォリオにおいて、新たなPower9プロセッサー搭載の次世代Power Systemをリリースしました。これらのPower9システムは、AIワークロードに前例のない速度をもたらし、当社のお客様がデータ集約型のAIの時代において競争を勝ち抜くことを可能にします。」

こと細かにじっくり見るべきことがたくさんあるようです。まずは、市場に出て3年以上になるPower8をベースにしたハイエンドのボックスは、売れ行きが好調でした。このことは、4ソケット以上のマシン向けのIBMの「Cumulus」Power9チップの登場が早まることはなく、2018年後半以降になることを示す一番の指標です。そうでなければ、顧客は新しいマシンの登場までアップグレードを延期したでしょう。Cumulusチップを使用するシステムが4月、5月、または6月に入手可能になるとしたら、顧客は購入できるまで待ったかもしれないため、ハイエンド マシンおよびPower Systems事業全体の売上は減少していただろうと思われます。しかし、そうはなりませんでした。

ローエンドでは、Linux専用Power Systems LCバリアントが好調であり、「Newell」 AC922のようなマシンや、GPU統合にはやや消極的で、I/Oおよびストレージ拡張に積極的である同様のPower9マシンでの、シミュレーションおよびモデリング、機械学習トレーニング、およびデータベース アクセラレーションに向けたCPU-GPUハイブリッド アプリケーションの波に乗りつつあると我々は思います。とは言うものの、IBMはPower8およびPower8+マシンでも新たな道を築いています。これには、順調に行けば2018年から2019年にかけて本番クラスターへとつながっていくPOCの意味合いがあるようにも思えます。実際、それらのLinuxシステムは、概してオンライン トランザクション処理および何らかのデータ ウェアハウジングをシステムで行っているIBM iおよびAIXのショップからマーケット シェアを奪うことはありません。これらのLinuxマシンはSoE(エンゲージメントのためのシステム)であり、おそらくはWebインフラストラクチャーでしょう。これに対してIBM iおよびAIXシステムは、これらの他のシステムによってサービスを提供されるSoR(記録のためのシステム)です。 IBMの2017年の4四半期の業績は、四半期別、通年、製品カテゴリー別で、次のようなものでした。

製品情報01

Power Systemsの売上の微増とSystem zの売上の大幅増のおかげで、IBMは、システム事業の売上は66億ドル(サーバーおよびストレージ ハードウェア、一部のネットワーキング製品を含む)、オペレーティング システムの売上は16億ドル、売上計82億ドルで1年を終えました。そして、幸いなことに、2017年第1四半期に税引前損失を計上し、第2四半期にはほとんど収益を上げられなかった後での、メインフレームの売上の急上昇とハイエンドPower8 NUMAシステムのアップグレード サイクルのおかげで、IBMはシステム事業で、税引前利益で11億ドルを計上することができました(売上高の約13.8%)。第4四半期には、システム事業でIBMが得た収益の実に27.2%は、ミドル ラインへもたらされました。これは、ずいぶん昔の2014年の第4四半期を別にして、IBMが近づくことさえできなかった水準です。

IBMが現在の形態に事業を分類し始めた、2014年から2017年までの過去4年間の、製品ライン別のデータは次のようになります。

製品情報02

System zとPower Systemsの両輪をフル回転させることで、今年はIBMのSystemsグループの復活の年になると我々は考えます。実際、IBM全体の売上は、2017年のQ4に23四半期ぶりに増加し、販売高は3.6%増で225.4億ドルとなりました。IBMは、2014年のSystem x事業のLenovoへの売却以後、計画的に経費削減を行い、自らを変革することで、中核事業、特に、システムおよびストレージでの低迷期を何とか切り抜けてきました。第4四半期には、IBMの利益は大打撃を受け、10億ドル余りの損失に追いやられました。利益を押し下げたのは、Systemsではなく、他の製品ライン(特に多くの側面を持つ巨大なサービス部門)によるものでした。Tax Cuts and Jobs Act of 2017(米国税制改革法)を受けての海外利益に対する税の事前納付などによる55億ドルの償却などが要因として挙げられます。その一方で、2017年会計で利益の処理を行えたことで、2018年に向けての片付けが済んだことにもなり、その結果、2018年には多くの面で利益の改善が見込めそうです。特に通貨については、現在では邪魔者というよりもむしろ味方となりそうです。

IBM Systemsの売上が31.7%(為替調整後では28%のみ)増加したこと、そして、税引前利益が56.8%増え、9億800万ドルとなったことについて、我々はみな喜ぶべきです。これは、IBMにとって成長しつつあるシステム事業を構築するための良い基盤となるからです。

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