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IBMi海外記事2018.03.08

IBM iの投資と統合を示す指標

Dan Burger 著

Steve Will氏は、早口で延々と話をすることができる弁の立つ人物です。IBMは、Will氏に報酬を支払ってそのように話をさせています。IBM iオペレーティング システムのチーフ アーキテクトであるWill氏には、他にも多くの職務があります。その1つは話を聞くことです。Will氏は、世界中を旅してIBM iの顧客と話し、顧客の話に耳を傾けます。

先週、Will氏は南カリフォルニアを訪れ、オレンジ カウンティで開催されたOCEANユーザー グループ ミーティングに登壇しました。Will氏は基調セッションで、IBM iの戦略(話を聞くことより重要な彼の仕事です)、投資、およびプラットフォームの将来への取り組みについて話をしました。聴衆は、Will氏が安心感を与えてくれて感謝していたようでした。

それが本当なら、このIBM iのチーフ アーキテクトにしてNo.1のエヴァンジェリストはうれしく思うでしょう。Will氏は、多くの時間を費やして聴衆を安心させます。投資と統合こそが、多少過敏になっている神経を鎮め、このプラットフォームが次のプラットフォームと同じくらいモダンであるという証拠を示してくれるとWill氏は思っています。このプラットフォームが古いタイプのITであるというイメージを払拭できるのならば、Will氏は大きな喜びを味わうことに間違いありません。ですから、このコンピューター システムのことを、昔のAS/400という名前で呼ばないようにしてください。Will氏は、少し時間を取って、IBM iという名前が10年間使用されてきたことを強調しました。AS/400ブランドは12年続きました。2年のうちに、IBM iブランドがAS/400ブランドの寿命を超えるときが来れば、最新式のシステムがAS/400と呼ばれるようなことはなくなるはずだ、とWill氏は冗談めかして述べました。

数か月以内には、IBM i、AIXおよびLinux向けのPower9サーバーが市場に送り出されます。Will氏は正確なアナウンス日について意図的にあいまいにしたままでしたが、私は3月だと予想しています。すでにかなり仕上がっているように思われます。その日が来るということは、最新のテクノロジー・リフレッシュ(i 7.3向けのTR4および7.2向けのTR8)がアナウンスされるということでもあります。TRについての詳細は、予想に違わず、Will氏のポケットの中に入ったままです。(e-BELLNET編集部注: POWER9搭載スケールアウト・サーバーは2月13日にアナウンスされました。詳細はhttps://goo.gl/W1TPbeを参照ください。) Will氏は、次のオペレーティング システムのリリースのスケジュールに関するヒントを与えてくれました。これまでの経過を考えてみれば、OSリリースは4年の周期であったように思われます。しかし、7.2と7.3との間は異なり、間隔は2年だけでした。Will氏は「個人的には3という数字が好きです」と述べました。これはiNextの到来が2019年となることを示唆するのでしょうか。

「もうハードウェアのリリースの縛りを受けることはないため、しかるべきときにOSのメジャー リリースを出すことができます。2年は短過ぎると顧客は言います。顧客はそんなに短い期間で新リリースを使い込むことはできません。ISVの皆様は、4年というOSリリース間隔は長過ぎると言います。さらに、次の2回のリリース用に決定した新機能は、完成に2年以上は掛かる程の大きな機能です。」

Power9についてより多くをお知りになりたい向きには、『IT Jungle』にはすでにPower9について多くの記事が掲載されています。また、リリース日が近付くのにつれて、さらに多くの記事が公開されるでしょう。過去のテクノロジー・リフレッシュを基に考えてみると、我々が再び目にするのが確実なのは、引き続きデータおよびデータベースがTRの中心となるということです。組織は、データから新たな知見およびより多くの価値を見つけ出そうとしています。TRは、ほとんどの場合、どのようにしたらデータベースおよびデータからより多くのものを得ることができるかということを示してきました。Will氏は、エンド ユーザーおよび独立系ソフトウェア ベンダー(ISV)とのディスカッションの際に、このことをよく耳にすると述べます。IBM iは、単一レベル記憶のリレーショナル データベース システムです。システムの強化は引き続き行いつつ、データで行うことのできる次のことについても重点を置いているとWill氏は述べます。 「我々は、データベース プラットフォームであり続けます」とWill氏は述べました。その一方で、ビジネスを稼働している核となる技術に投資することが最優先事項であるとも強く主張します。

製品情報01

エンタープライズ データでは著しい成長が見られると、エンタープライズという言葉を強調しながらWill氏は述べます。その点は、非構造化データおよびそれを収集および分析する新たな手法へと話が移ると消えてしまうことがよくあります。IBM iはトランザクショナル データの作業を行うためのものであり、企業はそこから価値を得続けます。Will氏の言いたいことは、ショップは依然としてトランザクショナル データを収集する必要があり、IBM iはエンタープライズ データのますます急速になってゆく流れについていくために強化されているということです。テンポラル サポートやOLAP Aggregationなどの技術は、分析機能の点でDB2 for iを前進させているのと同時に、IBMがiに投資していることの指標にもなっています。

Will氏がプレゼンテーションの間に述べる必要があったことの多くは、今なおIBMがiに投資していることの裏付けとなるものでした。 将来的に、Will氏が思い描いているのは、IBM iのショップがこれまで通りトランザクショナル ワークロードを稼働し続け、新たな、非構造化データでデータを強化している姿です。もっとも、非構造化データはレコード-構造化データベースにうまく収まらないため、非構造化データはIBM i上にハウジングされないでしょうが。そのため、構造化および非構造化データの両方を分析するように設計されている、Watsonにフィードしている2つのデータベースがあります。

IBM iのショップは、ビッグ データの段階からコグニティブ コンピューターの段階へ今にも移行しようとしており、ITの将来に備えて準備しているIBM iの顧客の戦略にコグニティブ コンピューティングを組み入れるためのデータ ブリッジが構築されていることをWill氏は示唆しています。彼はOLAPの機能強化を提供することにより、ユーザーが別のボックスを購入するのではなく、どのようにしたら今のボックスでアナリティクスを行うことができるか、例を挙げて説明しようとしているわけです。行列アクセスおよび権限コレクションは、iへ投資が行われていることを例証する追加のTR機能強化だったということです。

製品情報02

Will氏のプレゼンテーションでは、コグニティブ コンピューティングとIBM iとの統合ということが強調されました。また、ビジネス価値を創造し、別のプラットフォームへのマイグレーションを防ぐことについても力点が置かれていました。

Will氏のプレゼンテーションの中で、先週、リリースされたばかりのHelpSystems社の「2018 IBM i Marketplace Survey」の話題がさっそく取り上げられました。その調査によれば、IBM iは他のプラットフォームと比較してROI(投資回収率が)最も優れていると思っているIBM iのショップは92%を超えているということです。高評価の一因は、事業成果を益する新しい技術が絶えず統合され続けていることによるものだと、このチーフ アーキテクトは述べます。

「我々は、このプラットフォームに価値を与えます」とWill氏は述べました。「我々は、あなたにとってもうすぐ必要となりそうなことに目を向けています。我々は、オープンソース統合を行っていません。それは非常に多くの人々が、今現在必要だと言っているためですが、今後、大多数がオープンソースを必要とするだろうとは思っています。iにはほとんどまたはまったく価値がないと考えて、iを離れて別のプラットフォームへ行くのだとすれば、同じ機能を得るためには継続的に約2倍の費用が掛かることになります。そして、それには、非IBM iプラットフォームへのデータの移行に対する投資は考慮に入れられていません」と、IBMホワイト ペーパーでのIBM i、Windows、およびLinuxとのROIの比較を引き合いに出してWill氏は述べました。

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