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IBMi海外記事2020.07.08

VIOSなしでテープ ライブラリーを区画間で共有する

Alex Woodie 著

IBM i のショップは、仮想入出力サーバー(VIOS)に関して愛憎の入り交じった感情を抱いているようです。IBMは最新のIBM i テクノロジー リフレッシュで、反VIOS派が要望してきた機能、すなわち、VIOS、SAN、または複数のアダプターに関わることなく、テープ ライブラリーを複数の論理区画(LPAR)間で簡単に共有する機能を提供します。

IBM ではこの新機能を「IBM iテープ ライブラリー仮想化」と呼んでおり、RFE(機能拡張の要望)127631番が基になっています。「テープ ライブラリー」および「仮想化」という用語が用いられていますが、これは仮想テープ ライブラリー(VTL)ソリューションではありません。VTLはすでにIBM i に存在するものであり、新機能はこれとは別物です。そうではなく、この新機能は、IBM i 環境からリアルなテープ ライブラリーへのアクセスを仮想化するものです。

新機能は、IBM i のショップが、個々のテープ ドライブおよび光ディスク装置をバージョン6.1以降の複数の論理区画(LPAR)と共有することを可能にした、クライアント仮想テープ装置サポートに似ています。しかし、この新機能は、このクライアント仮想装置サポートを一部のIBMテープ ライブラリーに拡大します。

IBM i テープ ライブラリー仮想化サポートは、IBM i バージョン7.4、7.3、および7.2で利用可能です。ただし、それぞれ適切なPTF(後述)が適用されている必要があります。この機能は、サーバーまたはクライアント区画のいずれかで、それらのIBM i バージョンのどのような組み合わせでもサポートされます。

IBMによれば、テープ ライブラリーの共有が、スタンドアロンのテープ ドライブを共有するのと同じくらい簡単に行えるようになるということです。ターゲットLPARでネットワーク サーバー記述(NWSD)を変更することにより、顧客は、SASおよびファイバー チャネル接続を介して、または単一のアダプターで接続されたSANを介してIBMテープ ライブラリーを接続できるようになりました。

新機能をサポートするのは、一部のエントリーおよびミッドレンジIBMテープ ライブラリーのみです。サポートされているモデルは、IBM TS2900(3572)、IBM TS3100/3200(3573)、およびIBM TS4300(3555)です。

IBMテープ ライブラリー
IBMは、顧客がVIOSなしでこれらのテープ ライブラリーを複数のLPARの間で共有できるようにします。

この機能強化の大きなメリットは、顧客がテープ ライブラリーをIBM i 区画の間で共有するために手動での操作を行う必要がなくなるということです。つまり、ライブラリーをオフに変更し、LPARとの接続を解除してから、新たなLPARに対してその装置をオンに変更する操作は必要なくなる、とIBMは述べています。

IBM i チーフ アーキテクトのSteve Will氏は、この新機能により、特にVIOSを使用していないIBM i のショップにメリットがもたらされると述べています。

「クライアントはテープ ライブラリーを多用しており、それらを共有できるようにしたいと考えています」と、Will氏は先日の『 IT Jungle 』のインタビューで述べています。「この新しい環境では非常に多くのものが仮想化されていますが、非常に多くのクライアントが、VIOSを使用しなければならないことを嫌がり、1つの区画からテープ ライブラリーを削除して別の区画へ追加する煩雑さを嫌がります。それは実際には共有ではありませんでした。単に、割り当て解除または割り当てし直しの1つのやり方に過ぎなかったからです。」

新たなIBM i テープ ライブラリー仮想化機能では、それらのライブラリーを非常に簡単に共有できるようになるとWill氏は述べます。

「VIOSはまったく関係ありません。そして、そのことにより、実質的にはVIOSである、そうしたUNIX管理スペースのスキルを持たないローエンドのクライアントにメリットがもたらされます」と彼は述べます。「クライアントはツールを使用して、仮想テープ ライブラリーを区画間で簡単に共有することができます。区画が1つだけの最も小規模のクライアントにとっては、大したことではありません。しかし、より大きめな、中小規模の多くのクライアントの場合は、テープ ライブラリーを使用しており、それを共有できるようにしたいと考えています。」

IBMが受け取った機能強化の要望は、IBM i が、IBMストレージ エリア ネットワーク(SAN)で利用可能な技術であるNPIV(N-Port ID Virtualization)のように機能するようにしてほしいという具体的なものでした。実質的には、このRFEが求めていたのは、VIOSなしのシンプルなホスティング環境がNPIVのように機能できることだったとIBMは述べています。

「あらゆるストレージ デバイス間で行うことはできないかもしれません」とWill氏は述べます。「しかし、この分野で使いやすさを多少向上させることができて良かったと思います。」

この新機能を使用するには、いくつかのPTFが適用されている必要があります。IBM i 7.4の場合、この機能はPTF MF66863で有効になり、他に必要なPTFは、MF66860、MF66861、MF66862、MF66837、MF66825、およびMF66840です。IBM i 7.3の場合、この機能はMF64802で有効になり、他に必要なPTFは、MF66857、MF66858、MF66859、MF66836、MF66824、MF66839、およびSI70255です。IBM i 7.2の場合、この機能はMF64803で有効になり、他に必要なPTFは、MF66854、MF66855、MF66856、MF66835、MF66823、MF66838、およびSI70254です。

詳細については、 IBM i サポートWebサイトの「Client Virtual Tape Devices」セクションを参照してください。また、 IBM Knowledge Centerの「クライアント仮想装置(光ディスクおよび磁気テープ)」セクションでも、さらに詳細な情報をご覧になれます。

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