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IBMi海外記事2021.01.27

Db2 Web Queryファミリーへの追加機能

Alex Woodie 著

IBM i 環境向けのIBMの主力ビジネス インテリジェンス ツールであるDb2 Web Queryにとって、今年は変化の1年だったようです。今年前半には、IBMは新たな2つの製品バージョンを発表し、この秋には同製品のバージョン2.3を提供しています。そしてさらには、同ソフトウェアの背後に控えるサードパーティ企業のオーナー交代もありました。

まずは、オーナー交代について見てみましょう。先月、 TIBCO Software 社は、 Information Builders社を買収する意向を発表しました。Information Builders(IBI)社は、1975年にGerald Cohen氏が創立した、ニューヨーク市を拠点とする株式非公開のビジネス インテリジェンス ソフトウェア企業です。IBI社の主力製品はWebFOCUSであり、同製品は IBMのDb2 Web Query製品の基盤となっています。したがって、このことが意味するのは、Db2 Web Queryの将来の姿はTIBCO社の手中にあるということです。

10年以上もの間にわたって続いてきたOEM契約については、何も変わりはないと思われ、IBI/TIBCO、IBM、およびDb2 Web Queryの顧客も含め、すべての関係者にとってプラスということになるでしょう。TIBCO社は、これまで主要なIBM i ソフトウェアの開発企業だったというわけではありませんが、一方で、買収を通じて取得した製品を終了させたり、顧客を怒らせたりしてきた企業というわけでもありません(実際、同社は数多くの買収を行ってきました)。小誌では、IBMの企業PR部門にメールで問い合わせをしていますので、この件に関して何か予期せぬ展開があれば、今後また、お知らせする予定です。

次に、IBM i バージョン7.3および7.4向けのテクノロジー リフレッシュとともに IBMが10月6日に発表したDb2 Web Queryバージョン2.3について見てみましょう。

IBMは、バージョン2.3で、この主力製品に数多くの新機能を導入しました。中でも最も注目せずにはいられない新機能としては、機械学習テクノロジーを使用してビジネス アナリストに洞察を浮かび上がらせる「Automatic Insights(自動インサイト)」機能があります。

データがDb2 Web Queryへロードされると、「Auto Generate Insights(自動インサイト生成)」ボタンがアナリストに表示されます。このボタンを押すと、機械学習テクノロジーを使用して、データのトレンドおよび外れ値の見極めが自動的に行われます。アナリストのデスクトップには、売上増と割引との相関など、データ ポイント間での相関関係を示す画面がポップアップ表示されます(下図参照)。

バージョン2.3では、機械学習テクノロジーにより、Db2 Web Queryユーザーに洞察が自動生成されます。

データ準備作業は、通常、アナリストの時間の相当(どころではない多く)の部分を占めています。バージョン2.3では、データ変換タスクの作成を簡素化する新たなデータ準備機能が追加されます。IBMによれば、この機能は、特に1回限りの抽出のためのワークフローを簡素化するように設計されているとのことです。

また、このリリースでは、新たなページ デザイナーも加わります。これにより、Db2 Web Queryでチャートおよびダッシュボードを作成するための「非常に視覚的で直観的な」プロセスがもたらされるとIBMは述べています。

また、新たなEZ-Report機能を使用して、レポートを迅速に作成したり、ファイルまたはSQLステートメントによる関連する「シノニム」を作成したりすることもできます(言うまでもなく、シノニムは、Db2 Web Queryがレポートおよびダッシュボードを作成するのに使用するデータの表現です)。10月6日の発表レターでは、この新たなEZ-Report機能はバージョン2.3での機能強化としてリストされていましたが、実際には、今年初めのPTF、PTF Group 7での機能強化としてすでに リストされています

最後に、IBMは、Db2 Web Queryのフレッシュ インストールやメジャー リリース アップデート(PTF Groupsでの使用だけでなく)を行う際にIBMが利用を推奨している、EZ Installパッケージのアップデートも行っています。

取り上げるべき3つ目のニュースは、Db2 Web Queryファミリーへの新たなエディションの追加についてです。IBMは6月、Db2 Web Queryというパズルに、Scheduler EditionおよびRunTime User Editionという2つの新たなピースを加えました。これらは、Express Edition、Standard Edition、およびDataMigrator ETL Extensionという既存のピースの間に追加されています。

Db2 for i Lab Servicesグループのアナリティクス チームを率いる(Db2 Web Queryの事実上のプロダクト リーダーである)Doug Mack氏によれば、これらの新たな製品は、Db2 Web Queryでの作業方法や、生成されたレポートの配信方法に関するユーザーの選択肢を増やすために追加されたということです。

「Scheduler Editionは、レポートおよびダッシュボードが、バッチ モードで実行され、様々な方法で配信されるようスケジューリングする機能を追加したものです」と、Mack氏は6月23日の Db2 Web Query for iブログに記しています。「利用者またはレポートの受信者は、Db2 Web Queryのライセンスを供与されている必要はありません。PC、タブレット、あるいはAndroidまたはAppleデバイス(無償のDb2 Web Queryモバイル アプリが必要)など、どのようなクライアントでもレポートを受信することができます。」

一方、RunTime User Editionは、Db2 Web Queryにサイン インして、レポートおよびダッシュボードを実行可能な(ただし編集または作成はできない)ユーザー数を増やすオプションを顧客に提供します。RunTime User Editionのコア ライセンスにはそれぞれ2つのランタイム グループ ライセンスが付属し、それぞれのランタイム グループ ライセンスは何千もの実際のIBM i ユーザーをサポートすることができます。

Scheduler EditionおよびRunTime User Editionは、Db2 Web Queryの入門版であるExpress Editionへのアドオンとなるように設計されています。Mack氏によれば、顧客はどちらか一方を購入するだけでよいのだそうです。「スケジューリング機能と同時ランタイム グループ サポートの両方が必要な場合は、Standard Editionにアップグレードするだけで、もう一方の機能も利用できるようになります」と記しています。

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