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IBMi海外記事2022.08.09

IBM Power:あなたの会社のバックアップ戦略はどれくらい強力か

Jason Hardy 著

ITへの依存度が高い会社の場合、システムがダウンすると、会社の業務も止まってしまう可能性があります。最も多いデータ損失の原因について考えてみたことあるでしょうか。また、今ある戦略で、自然災害、ハードウェア障害、火災、ランサムウェア、ヒューマン エラー、または盗難が発生した場合に、ご自分の会社が守られるかどうかについてじっくり考えたことがあるでしょうか。システムが停止した原因によっては、データ損失が発生し、バックアップを利用して復旧することが必要になることもあります。皆さんは、ご自分のバックアップおよびリカバリー戦略に自信を持っておられるでしょうか。

バックアップ戦略を評価するために行うことができる一番簡単なテストの1つは、バックアップのベスト プラクティスである「3-2-1ルール」と比較してどうなのか確認してみることです。「3-2-1ルール」は、3つのデータのコピーを、2つの異なるメディアで、そのうち1つをオフサイトに保管するというものす。企業を訪問して、バックアップ戦略について話を聞いていますが、「3-2-1」ベスト プラクティスに適合する運用をしている企業はごくわずかのようです。

磁気テープ: 定番の方式

話を聞いた企業のほとんどが、バックアップ ソリューションとして磁気テープを使用していると言ってよいでしょう。この技術は何年も前から利用されており、そうした企業のソリューションが実装されたのもかなり前のことです。保守費用は比較的安価で、セットアップしたら、誰でもテープを交換し、運用することができます。そして、「簡単」であることについてはその通りでしょうが、欠点だらけのソリューションでもあります。

まず、磁気テープは、バックアップの実行にも、データの復元に時間が掛かります。つまり、毎晩、バックアップの実行中に、システムがより長い時間ダウンしているということであり、また、リカバリーが必要になった場合には、データを復元するのにより長い時間が掛かるということです。また、磁気テープの場合、テープ上でデータを見つけるのにも時間が掛かるため、特定のまたは個々のファイルを復元する場合にも、それらを見つけづらくなります。

たとえば、バックアップを理想的な条件(温度および湿度が制御されている)で保管していない、何年にもわたってテープを再利用している、必要となったときにデータがあることをひたすら信頼して復旧プロセスのテストを実施していないなど、バックアップを担当するチームが、磁気テープに関する問題およびリスクをさらに悪化させているケースもあります。

これは「定番」のアプローチですが、もっと良い選択肢があるのです。

クラウド バックアップ: データをオフサイトに置く

バックアップ ソリューションに関して企業で目にする最大の間違いの1つは、バックアップを安全なオフサイトの場所に置いていないことです。バックアップ テープが本番システムと同じ部屋または建物に保管されているのを目にするのは珍しいことではありません。

クラウドは、そうしたバックアップ データをオフサイトに置くようにするための、利用しやすいソリューションを企業に提供します。「2022 IBM i Marketplace Survey Results」レポートによれば、災害からの復旧をクラウド バックアップを使用して行うことを計画している企業は11%ということです。このような少ない数というのは、私が話を聞いている企業についても同じようなものだと思われます。IBM Power Systemsをクラウドにバックアップしている企業に当たることはめったにないからです。

通常、このソリューションでは、ローカル バックアップ コピーを作成してから、そのコピーをスケジュールに従ってオフサイトにプッシュするエージェントを、LPARにインストールすることになります。このオフサイト コピーは、利用しているプロバイダーが提供しているサービスに応じて、1つのロケーションまたは複数のロケーションで保管されることになります。したがって、クラウド バックアップ ソリューションをどのような形で導入するかによっては、ベスト プラクティスの「3-2-1」のバックアップ標準に適合できる可能性があります。

データをオフサイトに置くソリューションについて検討を始める際の1つの注意事項は、ローカル バックアップ コピーを持てるかどうかを調べておくことです。クラウドへのインクリメンタル バックアップでは、実行に長い時間は掛からないかもしれませんが、テラバイト単位のデータのフル リカバリーの実行が必要になった場合は、想定していた以上の時間が掛かってしまうこともあります。復元プロセスのテストを実施して、どれくらいの時間が掛かるか、また、設定していた目標復旧時間に適合できるかどうか確認しておくことが必要です。

仮想テープ ライブラリー(VTL): 物理テープからの大きな進化

VTLについてあまりご存じでない方向けに説明すると、VTLというのは、物理テープをエミュレートする、ディスクベースのバックアップ システムです。Power SystemはVTLを、従来のテープ バックアップ システムを認識するのと同じように「認識」します。従来の磁気テープ バックアップからの移行を検討している顧客と話をするときには、VTLが検討対象となるのはいつものことです。VTLへの移行を行うことには、いくつかのメリットがあります。

企業にもたらされる最初のメリットの1つは、VTLでは、磁気テープに比べてはるかに高速なバックアップおよびリカバリー プロセスが提供されることです。バックアップのためのシステム ダウンタイムが減少し、災害発生時のリカバリーも短時間で行えるようになります。また、VTLはデジタル フォーマットであることから、復元対象となる個々のファイルへ簡単にアクセスできます。

VTLのもうひとつのメリットは、オフサイト ロケーションにデータの第2のコピー(不変コピー)を簡単に作成できる点です。これは、もう1台、VTLを購入してリモート ロケーションの1つに設置するか、または、VTLレプリケーション サービスを提供しているサービス プロバイダーと契約することによって実現することができます。サービス プロバイダー モデルでは、2台目のVTLの費用なしで、データをサービス プロバイダーのVTLへ複製し、瞬時にオフサイト コピーが得られることになります。VTLの初期費用が予算にない場合は、一部のサービス プロバイダーが提供している、月額定額料金で必要なすべてのハードウェアおよびストレージが含まれる、VTLバックアップおよびレプリケーション ソリューションを利用することもできます。

レプリケーション ソフトウェア: リカバリーを強化する

レプリケーションをそれだけで実行しても、バックアップ ソリューションの代わりにはなりませんが、付属するバックアップ オプションを活用することで、ソリューションを強化できる場合もあります。市場では、よく知られている、いくつかのレプリケーション ソリューションが入手可能ですが、それらはすべて、ほぼリアル タイムでデータの2つのコピーを同期させることができるように設計されています。ハイ アベイラビリティ(HA)インフラストラクチャーと組み合わせることで、これらのソリューションは、非常に短い目標復旧時間(RTO)および目標復旧時点(RPO)の実現を可能にします。

こうしたレプリケーション ソリューションに付属するバックアップ オプションは、レプリカ コピーを利用してバックアップを生成します。Racksquared社が提供しているレプリケーション ソリューションでは、Rocket iClusterを利用して、顧客のデータをRacksquared社のデータ センターのHA環境に複製してから、そのレプリカからバックアップを生成しています。このシナリオでは、顧客は、データの4つのコピーを3つの別々のロケーションに持つことができます。顧客の本番データは顧客の稼働場所にあり、レプリカ コピーはRacksquared社のプライマリー データ センターに置かれ、1つのバックアップ コピーもプライマリー データ センターに、そしてもうひとつのバックアップ コピーはRacksquared社のセカンダリー データ センターに置かれることになります。

クラウド ホスティング: オール イン ワンのバックアップ ソリューション

バックアップ ソリューションとしてPower Systemsをクラウドに置くというのは、多少やり過ぎの感がありますが、バックアップ、リカバリー、およびインフラストラクチャーの全体的なレジリエンスを向上させる方法を検討しているという場合には、いよいよクラウド ソリューションの出番となります。LPARおよびデータをクラウドに移行しておくと、サービス プロバイダーは、災害発生時のリカバリー能力を劇的に向上させることができます。

ハードウェアの観点から考えると、サービス プロバイダーには、複数のホストが複数のロケーションにあるため、顧客それぞれのRTOおよびRPOの実現を可能にするソリューションを設計することができます。復旧時間の保証が必要ない顧客に向けては、「ベスト エフォート」アプローチのみのオプションもあります。その1つ上のグレードは、インフラストラクチャー予約のオプションで、必要になったときに利用できるキャパシティーが確保されるというものです。1番上のグレードはHAシステムであり、顧客の仕様に合わせて構成され、すぐに利用を開始できるようになっています。

データおよびバックアップに関しては、プロバイダーは、それぞれの顧客特有のニーズに合わせたソリューションを開発することができます。Racksquared Data Centersで提供している、Racksquared社の標準的なPower Systemsクラウド ホスティング ソリューションでは、顧客のデータの4つのコピーが別々の2か所のデータ センターで保管されます。顧客の本番データは、非常に弾力性の高いSAN(ストレージ エリア ネットワーク)に保管され、ほぼリアル タイムでセカンダリー データ センターにあるもうひとつのSANへ複製されます。これにより、上述した非常に短い復旧時間および復旧時点の実現が可能となります。データは、毎日、VTLにバックアップされ、重複排除および圧縮されてから、セカンダリー データ センターにある第2のVTLへ複製されます。

バックアップおよびリカバリー: ニーズに合わせたソリューション

バックアップおよびリカバリー ソリューションには、1つですべてのニーズに通用するプランなどというものは存在しません。Racksquared Data Centersと顧客が協働して、顧客特有のニーズに合わせたソリューションを設計するべきものだからです。Racksquared社が提供している、ビジネスの保護を行うためのソリューションの詳細については、Racksquared社Webサイトの「 IBM Power Solutions 」をご覧ください。また、同サイトでは、数々の クライアント成功事例 もご覧いただけます。お問い合わせは こちらから

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