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IBMi海外記事2022.08.24

IBM、IBM i のデバッグ機能へのアクセスを開放へ

Alex Woodie 著

今、IBM i 開発の世界では、急ピッチで物事が動いているようです。IBMの新たなMerlinのような、軽量なWebベースのIDEに関しては特にそうです。しかし、プログラムをデバッグする必要があるものの、これらのIDE向けのデバッガーがないことは、これらの最新のIDEでの開発者の生産性に対する妨げとなっています。そのため、IBMは、IBM i のデバッグ機能をより多くの開発者の手元に届ける方法を模索しているようです。

公式のIBM i デバッガー製品は、JARファイルとしてIBM Toolbox for Javaにバンドルされており、このプラットフォームでの IBMの主力のJavaベース統合開発環境(IDE)である、Rational Developer for i(RDi)と直接統合されています。 IBM i デバッガーのドキュメントによれば、いくつかのコンポーネント、すなわち、デバッグ・マネージャー、システム・デバッガー、およびIBM i PASE システム・デバッガーといったクライアントベースのツールと、2つのホストベースのツール、デバッグ・ハブおよびデバッグ・サーバーがあるようです。注目すべきなのは、WebベースのIDE向けのプラグインまたはコネクタがないことです。

デバッグは、アプリケーション開発プロセスの不可欠な部分ですが、RDiおよびネイティブ ホストベース開発ツール(SEUなど)と緊密に統合されていることは、この極めて重要なツールへのアクセスを制限する方向に働きます。WebベースのVS Code IDEなど、様々なコンポーネントが含まれる IBM i Merlinのリリースに際して、IBM i プロダクト マネジメント チームは、IBM i のデバッグ機能へのアクセスを開放しようとしているようです。

現在、IBMはラボでMerlin向けのデバッガーを開発中であると、IBMのアプリケーション開発担当ビジネス アーキテクトのTim Rowe氏は先月の POWERUpカンファレンスで述べています 。計画としては、遅くても年末までには(できればもっと早く)、デバッグ機能を完成させ、PTFでMerlinユーザーに提供する予定だとRowe氏は述べます。

現在、行われている開発作業を通じて、MerlinがIBM i のデバッグ機能へアクセスできるようになることに加えて、他のWebベースのIDEからアクセスしてIBM i プログラムをデバッグすることも可能になると、Steve Will氏は述べています。Will氏は、長年にわたってIBM i チーフ アーキテクトを務め、 先日、その経歴にIBM i CTOおよびDE(Distinguished Engineer: 技術理事)の職位が加わりました

「そのインターフェースの開発に当たっては、Merlinのデバッガーだけでなく、他のデバッガーもIBM i へ接続できるようにしたいと考えています」と、先日の COMMONの年次カンファレンスでWill氏は『 IT Jungle 』に述べています。「クライアントがモダナイズを行うのに役立つすべての開発ツールには、デバッガーが必要になるからであり、そこには、これまではギャップのようなものがあったことを認めざるを得ません。」

デバッグ機能がよりアクセスしやすくなり、このプラットフォームでより広く使用されるようになる必要がある別の例として、Will氏は、 Code for IBM i という、Liam Allan氏によるIBM i 開発向けのVS CodeベースのIDEを挙げています。また、 Remain Software社によって提供されるWebベースのIDEであるMiWorkplaceも、IBM i のデバッグ機能を必要とします。

「他にも、IDEを開発したベンダーはありました」とWill氏は述べています。「しかし、開発作業はそこまでしか進めません。デバッグを行う必要があるため、IBMツールに引き継ぐ必要があるからです。もちろん、私たちは、そうしたツールを提供する唯一のプロバイダーでありたいわけではありません。そうだとすると、多くの開発者が締め出されることになるからです。私たちが目的としているのは、私たち以外の開発者がデバッガーを開発できるようにすることであり、そうなることが進歩につながるのです。」

公式には明らかにしていませんが、IBMには、現時点でかなり良いアイデアがあるようです。第1の選択肢は、IBM Zチームの先例に倣うことです。IBM Zチームは、IDE外部からのメインフレームのデバッグ機能へのインターフェースを提供しています。Merlinプロジェクト自体の大まかなベースとなっているのが Waziであることからすれば、自然な流れと言えます。Waziは、VS Code向けのオープンソースのChe/Theiaフレームワークをベースにした、メインフレーム向けのWebベースのIDEです。

「もちろん、現時点で、システムにはデバッガーがあります。RDiは直接接続しています。RDiは組み込みのデバッガーに直接接続できるツールセットです」とWill氏は述べています。「これまでなかったのは、明示できるような標準でした。Zプラットフォームでは標準が作成され、使用されてきましたので、Zがすでに実装し、公開してきたものをベースにした標準を実装すればよいのです。」

メインフレーム チームは、業界標準プロトコルを使用して、IBM ZデバッガーをWaziに接続しました。そして、現在、IBMは、IBM i でそれを可能にするべく取り組んでいると、Rowe氏は『 IT Jungle』に述べています。

「もちろん、Zにおけるデバッグ機能は、iにおけるデバッグ機能と同じではありません」とWill氏は述べます。「しかし、基本的な概念は同じです。ブレーク ポイントを設定したり、コードをじっくり調べたりできる必要があります。今は、準拠できる標準があります。したがって、そのやり方で行うということです。」

Will氏によれば、デバッグ機能は、IBM i デバッガーのプラグインとして提供されるようです。

「IDEに組み込まれるプラグインとして提供されることになるでしょう。有用な機能をすべてブラウザ方式で実行できるのに加えて、デバッガーに入って操作することも可能になります。デバッガーには、RDS部、コンパイラー-デバッガー部へのハンドオフ機能が備わります」とWill氏は述べます。「当面、重点的に取り組んでいるのはILEコンパイル言語ですが、今後は、さらに多くのスクリプト言語に取り組む予定です。」

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