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IBMi海外記事2023.03.23

次はJuliaがIBM i に導入されるのか

Alex Woodie 著

IBMは、ここ何年かの間に、PHP、Node.js、R、Pythonなど、人気の高いいくつかのオープンソース言語をIBM i オペレーティング システムに取り入れてきました。次は、データ サイエンスで広く採用されてきた高性能の汎用言語、Juliaかもしれないと推測する人もいるようです。

Juliaは、様々な分野に応用可能な高水準プログラミング言語ですが、数値解析、科学計算、データ サイエンスなど、主に科学技術計算の分野で使用されてきました。元々は、2009年にMITの研究者グループによって開発されたこの言語は、実行時に機械語を生成するJIT(実行時)コンパイラーにより、高速かつ効率的に処理を行えるように設計されました(プリコンパイルするオプションもあります)。

PythonおよびMATLABに構文が似ているため、Juliaは、それらの言語に馴染みのあるプログラマーにとっては習得しやすいと言えるでしょう。この言語は、分散コンピューティングをサポートし、グルー コードなしでCおよびFortranライブラリーを直接呼び出すことができます。Juliaは、整数、浮動小数点数、および複素数など、様々な組み込みデータ タイプをサポートしています。また、2012年にオープンソース化されており、この言語でデータを処理するためのライブラリーおよびツールも豊富にあります。

Juliaは、政府機関や企業によって、コンピューティング コミュニティで広く採用されてきました。NASAでは、Juliaを使用して宇宙船分離ダイナミクスの計算を行っており、CERNでは大型ハドロン衝突型加速器(LHC)でJuliaを使用しています。投資会社のBlackRock社ではJuliaを使用して時系列データを分析し、Aviva社では保険のリスクの計算にJuliaを使用しています。

様々なプログラミング言語の相対的な人気度を調査している TIOBE Indexでは、Juliaは現在29位にランクしています。ランキング1位のPythonや、15位にランクするMATLABには大きく水をあけられていますが、31位のCOBOLや、お馴染みのRPG(今月は39位と、なかなかの順位です)より上位にランクしています。

IBM i では、Juliaにはどのような見通しがあるでしょうか。まず第一に、JuliaはPower上ですでに動作しています。2021年12月、Swati Karmarkar氏率いる、インドのバンガロールの IBM エンジニア グループが、IBM Power LinuxマシンでのJulia 1.6.2の稼働に漕ぎ着けています。

Power8マシンでJuliaを稼働させようとするIBMエンジニアたちの当初の試みは実を結ばなかったようです。「初めてIBM PowerでJuliaをビルドしようとしたとき、エラーのために失敗しました」と、Karmarkar氏は2022年9月の IBM Community Webサイトのブログ に記しています。「その後、エラーが、LLVM(Low Level Virtual Machine)由来であることが分かり、それ以降のLLVMリリースで修正されています。」

他にもいくつかの修正を行った後、Karmarkar氏と彼女の同僚は、Juliaを Red Hat Linuxでロードして、いくつかのテストを実行しました。現時点でJuliaは「Tier 3」レベル(下から2番目のレベル)でのサポートであり、動作は保証されていません。とは言うものの、JuliaはPowerで動作しており、コミュニティは次の一歩を踏み出す用意ができているようです。

IBM i では動作するようになるのでしょうか。Juliaに関心を寄せているIBM i プロフェッショナルが、少なくとも1人はいるようです。Juliaを公式にIBM i に取り入れてほしいという要望が、先日、 IBM Power Ideas Portal に投稿されています。

「DB2 for iコネクタがこの環境に合わせて最適化され、JuliaがIBM i マシンへ移植されることを強く希望しています」と、この匿名投稿者は 投稿した要望で記しています。「こうした最新の高性能の言語がIBM i にあるということは、才能ある若手人材をIBM i エコシステムに呼び込む強力なメッセージになると思います。」/p>

IBMがこの要望に応えるかどうか、あるいはIBM i へのJuliaの導入について支持が広がるかどうかは分かりません。IBMはすでに、データ サイエンスで広く使用されている2つの言語、PythonとRをこのプラットフォームに取り入れています。もうひとつ必要でしょうか。時間が経てば分かるでしょう。

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