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IBMi海外記事2023.03.08

昨年のPower Systemsの売上は、意外に伸びていた

Timothy Prickett Morgan 著

9月に、年金および退職金の債務の一部を独立第三者機関に譲渡する大規模な償却処理を行ったことで、IBMは、かなりの額となる32億1,000万ドルの純損失を計上しました。しかし、IBMの基盤となっている事業は、このような状況下としてはなかなかの健闘ぶりでした。収益もそこそこ上がっていたものの、やはり、Power10およびSystem z16アップグレード サイクルには期待が寄せられました。私たちは、2022年のPower Systemsの売上は意外に伸びるのではないかと予想していました。私たちのモデルに合わせたかのように、IBMは実現してくれたようです。

しかも、IBM全体の伸びに比べて、かなりの差がついた伸びでした。素晴らしいことです。

しかし、あまり興奮し過ぎにならないうちに言っておけば、Power Systemsラインの売上については、Powerベースのシステムが新たな顧客または新たな市場へブレイクしたというわけではなく、IBM iやAIXの支持者たち(その数、おそらく全世界で総勢16万)の間でのアップグレード サイクルの動きによるものでした。それでも、増収は増収です。そう考えることとしましょう。 Power Systemsを強くするものは、IBM iを永らえさせるものです

12月締めの四半期では、IBM全体での売上高は横ばいの166億9,000万ドルでした。粗利益は1.4%増の96億3,000万ドルでした。売上高と間接費は減少し、研究開発経費は微減、知的財産収入は増加し、そして4億4,300万ドルの法人所得税ベネフィットにより、IBMは、16.3%増の27億1,000万ドルの純利益を計上することができました。

IBM CEOのArvind Krishna氏、およびCFOのJim Kavanaugh氏は、Power Systems事業に関しては、これらのラインのアップグレード サイクルは「おしまい」とウォール街に念押しするように言った以外には、直接的には、ほとんど何も話しませんでした。最近では、アップグレード サイクルでの最大の盛り上がりも、2四半期ほどしか続かないこともあり、彼らなりの気遣いだったのかもしれません。こうしたことも踏まえながら、それぞれについて見て行きましょう。「インフラストラクチャー」グループ(サーバー、オペレーティング システム、ストレージ、およびテクニカル サポート)の売上は、同社の平均収益モデルを下回り、「インフラストラクチャー」の税引前利益率は「12%前後」だろうとKavanaugh氏は述べています。「中期的な期間のモデル」の場合は、IBMは、「インフラストラクチャー」グループの売上がフラットになるようにモデルを設計しているとKavanaugh氏は説明しています。zおよびPowerが製品サイクルの中でどの段階にあるかによって、増加する年もあれば、減少する年もあり、横ばいの年もあります。

第4四半期には、「インフラストラクチャー」の売上は1.6%増の44億8,000万ドルとなりました。粗利益は売上の54.9%(24億6,000万ドル)で、税引前利益は10億3,000万ドルでした(売上高の22.9%)。

IBMでは、売上高の増減を、製品グループおよびセグメント別に為替変動の影響を除いたレートで報告しています。ここが厄介なところです。IBM全体の売上高には実勢為替レートが用いられており、そのレートがベースになっている報告書の数字と、為替変動の影響を除いたレートをベースにしている各部門別の数字との間で、いろいろと計算を行う必要が生じてしまっているというわけです(もううんざりです)。

そうした計算結果も踏まえて見て行くとすれば、IBMの「ハイブリッド インフラストラクチャー」セグメント(サーバーおよびストレージ ハードウェアおよびシステム ソフトウェア部門)の売上高は、5%増の30億6,000万ドルとなりました(参考までに、為替変動の影響を除けば、11%増です)。「インフラストラクチャー サポート」セグメントは、5.1%減の14億3,000万ドルでした(為替変動の影響を除けば横ばいです)。また、System zの売上は21%増(為替変動の影響を除く)、「分散インフラストラクチャー」(IBMはPower Systemsとストレージをひとまとめにしています)は5%増(為替変動の影響を除く)、とIBMは述べています。ここは一番、計算に力が入った数字ですが、厳密な意味でのPower Systemsの売上(つまり、IBM i、AIX、またはLinuxを稼働しているマシン)は、2022年第4四半期では1%減の4億1,100万ドルとなり、ストレージ関連のPowerハードウェア売上高は16.3%減の6,700万ドルとなります。合計すると、Power Systemsの売上は、3.5%減の4億7,800万ドルとなります。

しかし、2022年通期では、Power Systemsの売上(Powerベースのストレージを含む)は、6.5%増の14億2,000万ドルとなるかと思われます。

Power10サイクルがそれほど力強くないことは少し驚きですが、世界経済の不透明感と、小規模および中規模企業の顧客が多め(企業のオーナーのお金であることが多いため、お金に関して控え目になりがちです)であることからすれば、おそらく、あまり驚くには当たらないのかもしれません。ドラマチックではないにしても、2~3年の間、Power10サイクルが売上を支えてきたことには変わりはありません。商品が売れ、持続的な収入ストリームが生まれ、それを使ってPower Systemsハードウェアおよびソフトウェアに再投資が行われる、といった循環が続く限りは、ドラマは必要ないのです。

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