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IBMi海外記事2023.11.08

まずはローエンドのIBM i P05およびP10ティアからサブスクリプションのみの料金方式に移行

Timothy Prickett Morgan 著

8月中旬の記事で予想したように、IBMが、IBM i オペレーティング システム、統合されたDb2 for iリレーショナル データベース、および、Power Systems顧客によってOS/400、i5/OS、IBM i のすべての世代を通じて広く使用されてきた、関連するIBM i ライセンス プログラム製品(LPP)で、全面的なサブスクリプション料金方式への移行を開始することを決めたのは、小誌が、米国のレイバー デーの祝日の前後にまたがる毎年恒例の夏期休暇中のことだったようです。

今年の2月に、IBM i オペレーティング システムおよび統合されたDb2 for iリレーショナル データベースのサブスクリプション料金が利用可能となりました。これには、ソフトウェアを利用するためのライセンスと、通常なら、ソフトウェア メンテナンス(SWMA)契約に伴う、継続的なサポートおよびバグ修正の権利が含まれています。SWMAは、非常に厳密なシリアル番号を使用して、特定のシステムでそのIBM i およびDb2 for iソフトウェアを永久に使用するための永続ライセンスに付加して利用するものです。

昨年来、IBMは、今年末までにIBM i スタック全体をサブスクリプション料金方式に移行することを匂わせていました。そうすることにより、IBM自身の収入も顧客の収入も均一化され、顧客が支払うIBM i スタックの利用料金も均一化されるということです。IBMは年金のような継続的固定収入がお気に入りであり、それが、今日、まさにクラウドで採用されている方式であるだけでなく、1960年代や1970年代の懐かしい方式でもあるとしても、顧客は、IBM i システムでの年額および月額のハードウェアおよびソフトウェア料金方式を気に入るようになると思います。具体的には、昨年5月に、4コアがアクティベートされたPower S914向けのIBM i のサブスクリプション料金方式の提供に関する 発表レター「AD22-0508」で、IBMは次のように述べています。「IBM は、 P05 から P30 IBM i ソフトウェア・ティアにわたって、 IBM i オペレーティング・システムおよび Licensed Program Products for IBM i のサブスクリプション期間の料金設定を提供する予定です。

これは、かなりはっきりとした意向表明ではありますが、その時点でIBMが触れていないこともありました。すなわち、「永続ソフトウェア ライセンス プラス ソフトウェア メンテナンス」の方式が段階的に廃止されることです。これに関しては、特に、永続ライセンスよりサブスクリプションの方が少し高めの料金になることから、不満の声も上がっています。そうなる理由は2つあります。1つには、ソフトウェア メンテナンスに対して料金を支払うことから逃れる術がないことです。2つには、多くのIBM i のショップ(特に小・中規模の企業)が新たなPower Systemマシンを取得してIBM i を導入する際に、リプレース サイクルを6年、7年、または8年と想定しているのに対して、IBMが想定しているリプレース サイクルは4年であることから、長期間で計算すると、基になるソフトウェアの価格が多少高価になってしまうということです。

そうした具体的な数字については、来週の記事で詳しく見てみる予定であり、また、IBM上層部にもこうしたことについて話を聞く予定ですが、今週は、IBM i スタックのソフトウェア サブスクリプションに関する発表レターをいくつか見てみようと思います。

8月29日付けの 発表レター「AD23-0683」で、IBMは、サブスクリプション料金方式へと向かう取り組みを継続し、永続ライセンスを使用している顧客がサブスクリプション ライセンスへ移行するためのアップグレード パスを提供すると述べています。正確な言い回しとしては、発表レターでは次のように述べています。「IBMは、IBM i のお客様に、アクティブなソフトウェア メンテナンスが関連付けられているIBM i の無期限ライセンスからIBM i サブスクリプション期間ライセンスに移行するための、低価格のサブスクリプション期間オプションを提供する予定です。

この発表レターでは、IBM i 本体には2月に、すべてのティア(P05、P10、P20、およびP30)にわたってサブスクリプション料金方式が提供されたことについて言及しています。また、ARCAD Software社と共同開発されたMerlin開発ツールにも2月に( 発表レター「AD23-0067」)、Rational Development Studio for iには4月に( 発表レター「AD23-0405」)、Rational Developer for iには5月に( 発表レター「AD23-0157」)、それぞれサブスクリプション料金方式が提供されたことについても言及しています。

同じく8月29日付けの 発表レター「AD23-0420」で、IBMは、4コアがアクティベートされたPower S1014の1つの構成、および8コアがアクティベートされたPower S1014の2つの構成向けのサブスクリプション オプションを明確化して、若干の修正を加えています。それらはすべてIBM i オペレーティング システム(IBM i 7.3、IBM i 7.4、IBM i 7.5のいずれでも。すべてPower10プロセッサーでサポート)で、それぞれP05およびP10ティアです。ソフトウェアのメンテナンスは、サブスクリプションの一部としてPower Expert Care Advancedを通じて提供されますが、顧客はPower Expert Care Premiumへアップグレードすることもできます。この発表レターには、これら3つのサーバー向けの様々なオプションがすべて記載されています。また、IBMの営業担当者や川下のリセラーの営業担当者が使用している、IBMのeConfigシステム構成ツールで行われるシステム構成のステップも示されています(残念ながら、顧客はこのツールにはアクセスできません)。これらはすべて、9月12日に利用可能になります。

言ってみれば、これらはすべて、サブスクリプション料金への移行を誘うためにIBMがIBM i 顧客の目の前にぶら下げた「サブスクリプションのニンジン」とでも言うべきものでした。一方、以下のように述べている 発表レター(「AD23-0489」)もあります。「IBM i ビジネスは、その適応性で知られています。これにより、IBMは、IBM i を、IBMとお客様の両方にとって、技術とビジネスのイノベーションのための強力な基盤を提供するプラットフォームにすることに投資できるようになりました。IT業界はサブスクリプション モデルでのソフトウェアのライセンス交付に移行しているため、IBM i ビジネスは、お客様やパートナーのビジネスがこれに従っているように、お客様やパートナーの要求に対応しています。サブスクリプション ライセンスは、予測可能で一貫性のある支払いオプションをお客様に提供するとともに、テクノロジーを最新の状態に維持する能力を最大限に高めます。これらの業界の動向に従い、IBMは、2024年3月26日に、P05およびP10ソフトウェア ティアの無期限のIBM i ライセンスを取得する機能を終了します。

これでお分かりでしょうか。P05およびP10ティアのPower9またはPower10マシンを使用している顧客の場合、これらのシステムで「永続ライセンス&ソフトウェア メンテナンス」を取得できる最終日は、2024年3月26日ということになります。

これに関してどのような影響があるか確認するべく、現在、鋭意情報収集中です。今後の記事に乞うご期待。

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