IBM、IBM i 顧客からの要望をACSアップデートで提供
クリスマスはまだ4か月も先ですが、そのことは、Access Client Solutions(ACS)顧客が要望した新機能をIBMが届ける妨げにはなりませんでした。それらの新機能のプレゼントは、真夏のアップデート、ACSバージョン1.1.9.9として届けられました。
ACSは、すべてのIBM i プロフェッショナルのツールボックスに入っている必須のツールです。ACSには、RSS、データ転送、IFSファイル表示、スプール ファイル管理、5250エミュレーター、5250プリンター エミュレーション、およびLANおよびHMC管理のための仮想コンソールなど、システムとのやり取りを行うための数多くの機能が組み込まれています。
IBMは、テクノロジー リフレッシュの周期とは関係なく、年に数回、ACSのアップデートを行っています。これは、RDiやNavigatorやPowerHAなど、いくつかの重要なIBM i 機能でも同様に見られるものです。7月に提供されたACSバージョン1.1.9.9で、IBMは、ツールに対するユーザーからの要望が基になったいくつかの機能を提供しています。
たとえば、 あるMacユーザーによると、ユーザーが「acsbundle.jar /PLUGIN=cfgコマンド」を使用して複数の接続を作成する場合、それぞれのシステムへの接続はすべてそれぞれ独自のJVMで実行されるため、そのコマンドを処理するのに長い時間が掛かることがあるということです。「複数のコマンドを1つのJVMプロセスに繋ぎ合わせることができれば、実行時間が大幅に改善されるでしょう」と、そのユーザーはIBM Ideas Portalに記しています。IBMは、この提案を承認して、「ACSを1回起動するだけで複数のACSコマンドライン プラグインを呼び出す」ことができるようにする新機能を提供したと、 ACS 1.1.9.9の発表ドキュメントで述べています。
また、ACSによって作成された一時ファイルをクリーン アップするのは面倒なことがあります。ACSが直接IBM i で稼働している場合はIPLが必要となるためです。想定通りに動作している場合には、ACSが作成したファイルはACS自身がクリーン アップすることを あるユーザーが要望しています 。IBMはこの提案を承認して、バージョン1.1.9.9で、一時ファイルの蓄積を防止するように設計された2つの新機能を提供しました。すなわち、新たなプロパティ「com.ibm.iaccess.DaysTemporaryFilesAllowed」と、「/plugin=maint」に設定される新たな「/cleartempfiles」パラメーターです。
Microsoft社は、必要ない場合でも何とかして、ありとあらゆるファイル システム アクティビティに同社のクラウドベースのOneDriveを忍び込ませようとしています。OneDriveデスクトップを採用したあるユーザーは、ACSがこのクラウドベースのストレージをうまく認識してくれないと報告しています。デフォルトのデスクトップの場所のファイル パスには、OneDriveが含まれていますが、ACSはそれを認識しなかったようです。「「ローカル設定」または構成ファイルでデスクトップの場所を変更できると、OneDriveでの正しいデスクトップの場所にファイルを保存できるようになるはずです」と、IBM Ideas Portalで そのユーザーは記しています 。IBMはこの提案を承認し、ユーザーは、新たなプロパティ「com.ibm.iaccess.DesktopLocation」で、デフォルトのデスクトップの場所を変更できるようになりました。
次のACS新機能は、Citrix環境で稼働しているIBM i ユーザーからの要望を受けて追加されたものです。この管理者ユーザーは、ニーズやアクセス レベルが異なる多数のユーザーをサポートする必要があったため、複数のAcsConfig.propertiesをそれぞれ異なるサブフォルダーに作成することは 可能かどうか尋ねています 。IBMは、これが開発リソースの有効な利用法の提案であることを認め、ユーザーがAcsConfig.propertiesの場所と名前を変更できるようにする新たなプロパティ「com.ibm.iaccess.AcsConfig」を追加することによって、要望された機能を提供しました。
別のあるユーザーは、更新が行われるシステム名またはディレクトリーの場所が表示されるようにしてほしいとIBMに要望しています。「これは、更新される対象のバージョンを確認するのに有用です」と、IBM Ideas Portalで そのユーザーは述べています 。IBMは、「更新を確認または適用するコマンドライン プラグインに設定されているシステム名を表示する」新たなACS機能によってこの要望に対応したとIBMは述べています。
セキュリティの面では、IBMは、「オープン・ソース・パッケージ管理」コンポーネントによって使用される、パスフレーズで保護されたSSH鍵のサポートを追加しています。これは、特定のユーザー要望に由来するものではなく、IBMがセキュリティの改善に引き続き重点を置いていることの現れです。
IBMは、ユーザー要望の新たな機能をcldownloadプラグインに追加しています。この新機能により、IFSに保存されるスプレッドシートを生成するのに使用される照会をシステムが処理する方法が改善されます。 そのユーザーが懸念していたのは 、このプラグインでSQL照会のサイズが制限されていることでした。IBMは、この要望に対応するために、単一のSQL照会を含むUTF-8 エンコードされたファイルをサポートする新たなsqlfileパラメーターをcldownloadプラグインに追加したと述べています。
もうひとつのユーザー要望の機能として、ACSのIFS送信機能をターゲットにしたものがあります。作成されるオブジェクトが、ACSがASP1に作成する一時スペースより大きい場合、システムをクラッシュさせることがあります。IBMは、 このユーザー要望 に対応するために、十分に利用可能なスペースがあるかどうかをチェックする新たなプロパティ「com.ibm.iaccess.ifs.VerifyAvailableSpace」を追加しています。
ユーザーは、ACSでディレクトリーおよびストリーム ファイルに加えてオプションの列としてテキスト属性を表示できるようになりました。この新機能は、テキスト属性を表示したかったのにできなかった ユーザーの要望 を受けて追加されました。この問題は、このACS 1.1.9.9での新機能によって解消されるはずです。
IBMは、3つの新たなスキーマ機能をACSに追加しています。1つは、すべての関連するACSスキーマ レシーバーのリストをユーザーに提供する、新たな「Work With->Journal Receivers」アクションです。これは、このような情報を入手するには、コマンド ラインに飛び移るかNavigatorを使用しなければならないことに不満を抱いていた ユーザーのおかげで 導入されました。もうひとつの ユーザー要望による新機能 (「Table Definition」ダイアログに対する変更)は、管理者が*ALLOBJ権限なしで列を削除することを可能にします。スキーマ関連の最後の追加機能は、「SQLの生成...」機能での、以前のディレクトリー パスの保存のサポートの追加です。これは、DDLを生成するたびにDDLのネットワーク パスを入力しなければならないことに不満を抱いていた ユーザーの要望を受けて 追加されました。
SQL Performance Centerに、新たなSQLの「Index Evaluator」機能が追加されました。これは、スキーマおよび表の入力をプロンプトしてから、「Work with Indexes」を起動します。この機能は、特定のユーザー要望に由来するものではありません。また、IBMは、IBM i 7.6 SQL構文で行われた微調整のサポートなど、人気の高い「SQLスクリプトの実行」機能も強化しています。
また、IBMは、「例から挿入...」に16個の新たな用例を追加しています。すべてセキュリティに関連するものであり、監査ジャーナル、Db2 for iデータベース、IFS、特殊権限、およびユーザー プロファイルなど、システムの様々な領域をカバーしています。
最後に、IBMは、ACSに対する様々な改善および修正を追加しています。たとえば、「オープン・ソース・パッケージ管理」コンポーネントによって開始されたターミナル セッションでの、WindowsのCtrl-Aコマンド(MacではCommand-A)を使用して「すべて選択」する機能のサポートです。IBMは、IFSの最近使用したディレクトリーのドロップダウン内のエントリーのリストも修正し、また、「システム構成」に入る際にACSメイン パネルで選択したシステムが表示されるようにしています。
ACSの最新のリリースは、 IBM i Access Client Solutionsダウンロード ページからダウンロードすることができます。