新たな「DbToo」SDKで、RPGおよびDb2 For i を外部サービスに接続
IBMのJesse Gorzinski氏率いるオープンソース開発者チームが、RPGアプリケーションおよびDb2 for i データを外部サービスと統合するように設計された試験的な新たなソフトウェア開発キット(SDK)を開発しています。「DbToo」と呼ばれるこのSDKは、まずはwatsonx、Ollama、OpenAIエンドポイント、Kafka、Slack、およびTwilioをターゲットとして、IBM i と、広く用いられているAIモデルおよびメッセージング サービスを統合するためのもうひとつの選択肢を提供します。
現在、IT業界のメインストリームは、主にオープンソースのビッグ データ プロジェクトや大規模言語モデル(LLM)によって突き動かされる形で、途方もないペースで進化しており、現在、人力で行われている様々な機能が自動化されることが見込まれています。IBM i サーバーは、従来のワークロード向けに設計された代表的なトランザクショナル製品であるため、これらのソフトウェア製品の多くを直接的に稼働することはなさそうです(PASEを介してIBM i で稼働する、Apache Kafkaリアルタイム ストリーミング データ システムを除く)。しかし、IBM i インストール ベースには、どのようにしてIBM i データおよびアプリケーションをこれらの新興テクノロジーに接続したらよいのか調査・検討したいという思いがあるのは間違いありません。
それこそが、新たなDbToo SDKがまさに目指していることです。 DbToo GitHubサイトのドキュメンテーションによれば、DbTooは、IBM i 上で稼働するデータおよびアプリケーションを様々な外部サービスに統合するためのIBM i 固有のフレームワークを提供するということです。
DbTooにより、IBM i 開発者は、 IBM watsonx の下で利用可能なAIモデルとIBM i サーバーとの間の接続を作成し、AIモデルにデータを渡すことができるようになります。たとえば、「watsonx_generate」関数を使用することで、ユーザーは、80億パラメーターのwatsonx Granite 3モデルを呼び出して、IBM i から送られた入力メッセージに基づいてレスポンスをモデルに生成させることができます。この他にも、watsonx向けに開発された関数として、認証、APIキーの設定、プロジェクトIDの設定、およびログ アウトを処理する関数があります。
LLMおよび他の基盤AIモデルのリポジトリであるOllamaも、DbTooのもうひとつのターゲットです。watsonxの場合と同様に、Ollamaとの統合により、ユーザーは、IBM i からのデータをOllamaモデルへの入力として送信し、テキストベースの応答を生成させることができるようになります。DbTooには、サーバー、ポート、モデルなどを設定するための様々なユーティリティ関数も含まれています。
また、DbTooは、 Llama.cpp、 LMStudio、 LocalAI、 vLLM、またはOpenAI互換APIを提供するセルフホスト型ソリューションのような、OpenAI互換のAPIエンドポイントのサポートも提供します。
この試験的なSDKは、人気のAIモデルに加えて、Kafkaのようなメッセージング プラットフォームもサポートしています。DbToo Webサイトには、IBM i に Confluent Platform がインストールされている必要があると記されています。この前提要件が満たされたら、DbTooは、IBM i からKafkaトピックへメッセージをパブリッシュするなど、Kafkaと連携して動作できるようになります。また、このSDKには、Kafkaブローカーのセットアップやポートのセットアップなどを処理する、様々なユーティリティ関数も含まれています。
SlackおよびTwilio向けのDbToo関数も、Kafkaの場合と同様の処理の流れということになります。すなわち、それらの関数により、ユーザーが Slack および Twilioにメッセージを送信して、何らかのレスポンスを受け取ることが可能となります。
興味深いことに、DbTooには、PASE(多くのオープンソース製品がIBM i 上での稼働のために利用するIBM i のAIXランタイム)向けの機能も含まれています。DbTooは、ユーザーが、PASEプログラムを呼び出して、何らかのタイプの入力をPASEプログラムに送り、レスポンスを受け取ることを可能にします。
DbTooプロジェクトは、まだ開発初期段階であるため、プロジェクト作成者は、本番ユース ケース向けには使用しないよう警告しています。DbTooプロジェクトは、今はまだ十分に信頼できる段階ではないとしても、IBM i を、かなたにある広大な世界に開放できる、もうひとつの興味深いオープンソースの可能性を示しています。実に素晴らしいことです。
DbToo GitHubページは、 https://ibm.github.io/AI-SDK-Db2-IBMi/でアクセスすることができます。