メニューボタン
IBMi海外記事2025.12.10

IBM、Project Bobについてほんの少しだけ明らかに

Alex Woodie 著

先週、分かったのは、IBMで流行しているのは「Project Bob」(プロジェクト ボブ)であり、Watson Code Assist for IBM i は流行遅れだということでした。IBMでは、Bobが、同社のすべてのプラットフォームに対応した、何でもこなすAIを搭載した初級プログラマーの役割を果たしてくれることに大きな期待を寄せているようです。しかし、このことは、IBM i 顧客に具体的にどのようなことをもたらすのでしょうか。『 IT Jungle 』は、IBM i チーフ アーキテクトのSteve Will氏に話を聞くことができました。

IBMが、現在Project Bobと呼ばれているAIコード アシスタントをリリースするに至った暁には、IBM i のショップ、メインフレーム顧客、LinuxおよびAIXユーザーを含む、すべてのIBM顧客に、幅広いAI活用機能が提供されることになるようです。

そうした機能のリストは、IBMがWatson Code Assistant for IBM i(WCA for i)製品に向けて計画していたものをすでに超えています。WCA for i は、2024年5月にPOWERUp 2024カンファレンスで Will氏が初めて明らかにした 製品で、今年5月のPOWERUp 2025カンファレンス以降は、 ユーザーを限定した顧客プレビュー段階 にありました。

WCA for i では、AIを活用したコード説明、コード生成、およびテスト ケース生成という、3つのコア機能が提供されるとされていました(また、 Bobが優先される形で開発打ち切りになる前の時点では、2025年下半期のGA(一般公開)の予定でした)。 しかし、私たちの知る限り、IBMは、WCA for i のプレビューではコード理解機能を提供するのみでした。他の2つの機能は、今年のPOWERUp 2025カンファレンスまでには開発が間に合わず、2025年下半期に提供されることになりました。

IBM i CTO(最高技術責任者) およびDE(ディスティングイッシュド エンジニア)の肩書きも併せ持つWill氏は、先週の『 IT Jungle 』の電話インタビューで、Bobについてさらに詳しい話を聞かせてくれました。

初期リリースでは、IBM i 開発の可能性を一新する、以下のような強力な機能が提供されます。

  • 理解:複雑なIBM i アプリケーション(RPG、CL、DDS、SQL)を理解する
  • 説明:コードの機能およびデータの使用法についての明快な説明および図解
  • リファクタリング:再利用可能なプロシージャーを識別および作成し、変数名をアップデートする
  • 生成:RPGコードを記述して、プロシージャーおよびアプリケーションを作成する
  • 変換:RPG IIおよびRPG IIIをILEベースのRPGへモダナイズし、組み込みSQLへ変換する
  • テスト:RPGUNITのようなIBM i を中心とするフレームワークを利用して、コードおよびデータ検証向けの単体テストを作成する

出典:IBM

「これは、その製品で行うことを検討していたよりもはるかに多くのことを行う、進化を遂げたコード アシスタントです」と、Will氏はWCA for i を引き合いに出して述べています。「Bobの素晴らしい点の1つは、単なるコード アシスタントよりも、はるかに多くのことを行うところです。しかし、コード アシスタント機能を取り上げてみても、Bobは、IBM i に特化した機能で実現しようとしていたレベルよりも、はるかに先へ進んでいました。そして、Bobはあらゆる種類の言語に対応します。それらの言語の1つはもちろんRPGですが、CLにもDDSにもSQLにも対応します。やはり、私たちの初期世代の製品では、それらすべてを得られるようにはなりませんでした。だからこそ、これに色めき立っているのです。」

Bobは、IBM独自のGraniteモデル、 Anthropic社のClaude、 Meta Platform社のLlama、および Mistral社のモデルなど、様々な基盤モデルを混在させて稼働すると、IBMのスポークスマンは述べています。IBMが以前にWCA for i 向けに行ったRPGのトレーニング作業は、最終的にBobで活用されることになるのかどうか尋ねたところ、Will氏は分からないと答えています。

「そのコードで行ったトレーニングが最終的にBobを通じて利用可能になるかどうかは、まだはっきりしていません」と彼は述べます。「RPGで特にトレーニングされたGraniteモデルがGAの一部になるかどうかについては、まだ確かなことは言えません。」

しかし、WCA for i の作業がまったく無駄だったわけではありません。IBMは、WCA for i で行った作業のおかげでAIコード アシスタントの作り方について多くのことを学びました。そして、それを推進するのに一役買ったのは、Will氏の要請を受けて、IBM i コミュニティがIBMに提供したすべてのRPGソース コードでした。

「それは、決して徒労などではありません。そうした労力が最終製品に異なる形で適用されるということです」と彼は述べています。「以前の製品で開発したものの一部には、IBM i のBobのサポートにそのまま組み込むことができるものもあるのです。」

以前の作業が助けになったもうひとつの点は、IBM i コミュニティと交流を深められたことでした。IBMは、IBM i 顧客がAIコーディング アシスタントでどのようなことを行いたいのかについて多くのことを学ぶことができたとWill氏は述べています。そうした学びがあったからこそ、IBMは、Bobを現在の形にすることができているのであり、また、IBM i 顧客がBobで行いたいであろうことを行うようにBobを最適化することができているのです。

IBMは、Bobに従事させるためにWCA for i チームから主要なメンバーを何名か異動させています。そのチームを率いるのは、アプリケーション開発の責任者であるビジネス アーキテクトのTim Rowe氏、IBMのIBM i アプリケーション開発ツール リードのEdmund Reinhardt氏、そして、先日、開発者ツール エンジニアというIBM内の新たな役職に就任したLiam Allan氏です。

Bobのロゴ(テクノロジーが詰め込まれた大工さんがモチーフ)。

Bobはまだリリースされていませんし、最終製品のデリバリー スケジュールもまったく未定です。ただし、限られた数の顧客を対象に、プレビューが利用可能となるということです。プレビューの利用は、 こちらから申し込むことができます。しかし、BobはすでにIBM社内で実に広く使用されているようです。IBMによれば、3,000名のIBM社員が、日常的に使用しているということです。

Will氏も、初期のBobの社内テスターの1人です。Will氏はIDEの周辺には明るいものの、RPGは、パデュー大学のコンピューター サイエンス学科の卒業生が習得している言語の1つではありません。Will氏の傍らにBobがいれば、そんなことはどうでも良いことです。

「RPGをまったく知らなくても、大量のプログラミング作業をBobにやってもらえるのは明らかです」とWill氏は述べています。「それでも、コードをレビューしたいこともあるでしょうし、コードをテストしたいこともあるでしょう。しかし、私はRPGを学んだことのないプログラマーですが、Bobを使用して、RPGコードを作成したり、コンパイルしたり、実行したりすることができているのです。最高に幸せなことです。」

あわせて読みたい記事

PAGE TOP