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IBMi海外記事2017.12.14

IBM、クラウド バックアップ ソリューションをアップデート

Alex Woodie 著

IBM iのショップは、データをクラウドへバックアップするための新たなオプションを手にします。先週、IBMは、IBM i 7.2および7.3向けのテクノロジー・リフレッシュの一部としてCloud Storage Solutionsのアップデートを発表しました。IBMと、実際に製品開発に当たったRocket Software社のそれぞれの担当者から、このニュースに関する詳しい話を聞くことができました。 IBMがCloud Storage Solutions for iを初めて公開したのは、ほぼ1年前のことでした。このオファリング(主にRocket Software社が開発に当たり、実際は1つのソリューション)は、IBM iの顧客がIFSデータを、IBM SoftLayerデータ センターに置かれたオブジェクト ストレージ システムへバックアップすることを可能にしました。また、IBMが提供するIBM iのネイティブなバックアップ ファシリティーであるBackup and Recovery Media Services(BRMS)から直接バックアップすることも可能になりました(あるいは、コマンドを発行するか、APIを介してプログラム的にこのファシリティーを呼び出すことも可能)。

今年始めに公開された次のリリースでIBMは、Amazon Web Services S3オブジェクト ストアのサポートを追加しました。これにより、Cloud Storage Solutions for iの顧客にはデータ ストレージの自由度がさらに高まりました。しかし、多くのショップにおける帯域幅上の制約と、バックアップのデータ サイズの大きさを理由としてIBMは、昨年10月のリリース以降、設けていた1TBのバックアップ制限の撤廃は行いませんでした。表向きは、この製品の使用に際して顧客が不快な思いをしないようにするためだということのようです。

来たるCloud Storage Solutions for iバージョン1.2の導入に伴いIBMは、この1TBの制限を取り払い、真のディザスター リカバリーの選択肢としてこのソリューションが幅広く採用される道を開く重要な機能を追加しようとしています。

そうした2つの機能が、SSL暗号化と、回線上に送信されるデータのサイズを1/3~1/10に圧縮するデータ圧縮のサポートです。SSL暗号化は、クラウドへ流れるデータ ストリームの不正なアクセスを防ぐのに重要な機能であり、圧縮機能は、利用可能な帯域幅をより効率よく利用することを可能にします。 「ストレージの制限がありません」と、Rocket Software社エグゼクティブのDan Magid氏は述べます。「チャンク転送が可能なため、大量のデータを転送する場合、セクションおよびセグメント単位でデータを転送します。転送に失敗しても、FTPの場合のように振り出しに戻って1からやり直す必要はありません。その最後のチャンクから始めればよいわけです。」

IBMは、暗号化機能と圧縮機能を、まとめてCloud Storage Solutions for i(5733-ICC)の新たな拡張フィーチャー(Option 2)として提供します。Option 1はベース製品であり、論理パーティション当たり2,400ドルの料金が掛かります。Option 2はアドオン製品で、論理パーティション当たり1,000ドルとなります。

IBMは、1年前の製品リリース時に5,000ドルで利用できた、パーティション数無制限でソフトウェアを使用できるオプションを廃止しました。このパーティション数無制限オプションは、顧客によるこの製品の使用形態と「互換性がなかった」とIBMプロダクト マネージャーのSteve Finnes氏は述べます。 この1年でCloud Storage Solutions for iを導入した顧客は比較的少数でしたが、IBM iビジネス パートナーによる試験的運用を通じて、幅広く製品が導入される下地ができつつあるとFinnes氏は述べます。「確かに機は熟していると私は考えます」と彼は『IT Jungle』に述べます。

現時点でCloud Storage Solutions for iは、バックアップおよびリカバリー サービスとして、およびBoxスタイルのファイル共有ソリューションとして使用することが可能です。ディザスター リカバリー セットアップでは、テープ ドライブに取って代わろうという程の勢いです。

「BRMSは、もともと顧客に代わって、まるでテープ ライブラリーやテープ ライブラリーのグループであるかのようにクラウドと対話処理を行います」とFinnes氏は述べます。「そして、実際、iの顧客がよく慣れ親しんだ処理をすべて引き受けてくれているのであるから、同じように任せれば、IBMクラウド オブジェクト ストア、Amazonクラウド、またはSoftLayerなどといった、ご希望のクラウド ファシリティーに対する、面倒な操作も引き受けてもらえるのです。」

しかし、このソリューションに対しては重大な技術上の注意点が1つあります。それは、真のディザスター リカバリー ソリューションとして機能するのを妨げるものです。Magid氏は次のように説明します。「バックアップおよびリストアの足を引っ張っているのは、現時点ではバックアップ元と同一のシステム上でリストアを行わなければならないという点です」と彼は述べます。「ディザスター リカバリーの状況によっては、そのシステムにアクセスできず、別のシステムへリストアする必要が生じます。その対応が課題なのです。」

その一方でRocket社では、BRMSおよびコマンド ラインの他に、このシステム用の別のインターフェースの開発に取り組んでいます。これはNodeおよびAngularベースのグラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)で、ユーザーがWebまたはモバイル デバイスからこの製品を制御できるようにするものです。

「クラウド ストレージ ソリューションのインターフェースを複数手にできることになります」とMagid氏は述べます。「BRMSは統合され、もうひとつのテープ ドライブのグループとなるわけです。これまではコマンド ライン インターフェースを使用し、コマンドを実行してデータをあちこちに移動することができました。そして今後はGUIインターフェースを使用できるようになるため、GUIを介してコマンドを実行して同じようにデータをあちこちに移動することが可能となるのです。」

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