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IBMi海外記事2021.05.12

来る年も来る年も、流行りに流されないIBM i

Timothy Prickett Morgan 著

システムを選んで使用するときには、ありとあらゆる種類の安定性についてじっくり考えるものです。特にIBM i 市場では、企業またはサードパーティ ソフトウェア ベンダーが、稼働するアプリケーションで実践している優れたプログラミング作法という意味で、しばしば安定性が話題になることがあります。あるいは、これらのアプリケーションが依存しているオペレーティング システム、リレーショナル データベース、またはミドルウェア ソフトウェアの基礎となっている安定性が話題になることもあるかもしれません。さらに掘り下げれば、すべての基盤となるPower Systemsハードウェアの信頼性や耐久性や予測可能性を話題にすることもあるかもしれません。そして、言うまでもなく、40年以上にわたっての、System/38、AS/400、およびそれらの後継に対するIBMのコミットメントの安定性があります。

しかし、IBM i コミュニティにとって重要である、別の種類の安定性もあります。すなわちそれは、顧客ベースそのものの不変性ということです。これは、上述した安定性の様々な側面すべてと同じくらい重要です。すなわち、顧客ベースと、IBM i プラットフォーム上で自社の中核的なアプリケーションを稼働し続けようという意向の安定性ということです。以下に、こうした顧客の意向の不変性が表されているいくつかのデータを示します。この図は、HelpSystems社によって実施された「 2019 IBM i Marketplace Survey 」からの引用であり、ここには4年分の調査データが含まれています。図をご覧ください。

安定したプラットフォーム

また、以下のグラフでは、このプラットフォームについての顧客の意向に関して、上と同じような質問に対する回答と、より踏み込んだ質問に対する回答がまとめられています。こちらは「 2021 IBM i Marketplace Survey」からの引用です。

プラットフォームへのコミットメント

ご存じかもしれませんが、この調査レポートは、調査質問の回答が秋(10月)に行われ、翌年1月に発表されることになっています。したがって、図中の2019年のデータは、実際にはカレンダー上の2018年末に回答されたデータであり、同様に、すぐ上の図の2021年版とされるデータは、パンデミックの最中の2020年末に回答されたデータということになります。

誰が回答しようと、どの年を取り上げようと、興味深いのは、顧客の意向があまり変動しないように思われるということです。実際、上に示された統計データには驚くべきものがあります。顧客ベースのおよそ40%以上は、毎年毎年、IBM i プラットフォームへの投資を変更する考えがないと回答しています。そして、およそ1/5から1/4は、このプラットフォームへの投資を増やすと答えているようです。したがって、顧客ベースの2/3は、おおむね横ばいか上向きということになるかと思います。毎年、顧客ベースのおよそ8%から10%は、すべてのアプリケーションを新たなプラットフォームに移行させようと考えているようです。一方、それより少し多いパーセンテージが、一部のアプリケーションを別のプラットフォームに移行させようと考えていると回答しています。そして、顧客ベースのおよそ1/8は、「分からない」と答える傾向があります。

1つ、おかしな点があります。この調査データがインストール ベース全体を代表しているものだと仮定して、ベース全体に適用した場合、このプラットフォームから別のプラットフォームへの移行が、2015年の調査データで想定されていた通りに実施されていたとしたら、インストール ベースは相当な打撃を受けたはずです。けれども、私たちが知る限り、そのようなことが起こった形跡はありません。もちろん、これは素晴らしいことです。

分からないのは、このような安定性が、ITセクターではよく見られるものなのかどうかという点です。直感的には、いくつかありそうな気はします。プラットフォームが最新ハードウェアに保たれ、新技術が利用可能となって一般化するたびに、システムにそれらが取り入れられ続けている限りにおいては、そうなのかもしれません。Windows Serverは25年以上、Linuxは約20年間にわたって、業務用グレードであり続けています。これらのプラットフォームの変化のペースは落ち着いており、これらのプラットフォームにおける多くのイノベーションは、スタックのデータ ストレージおよびデータ アナリティクス部分のより上の方で起こるようになっています。AIX on Powerプラットフォーム(1990年)は、OS/400およびAS/400ハードウェア(1988年)より2年若いわけですが、IBM i と比べると、インストール ベースがうまく維持されてきたようには思われません。実際、ユニーク顧客数およびマシン フットプリントの縮小率としては、AIXは、IBM i に比べて、かなりひどいことになっているようです。そして、それよりさらにひどかったのが、Sun Microsystems/Oracle社のSparc/SolarisやHewlett Packard Enterprise社のPA-RISC/HP-UXだったのは間違いないようです(もっとも、これらは今ではまったく使用されなくなっており、企業でAS/400が稼働していた頃のものではあるのですが)。肝心なのは、こうした点に関して言えば、世界各地の小規模、中規模、さらには大規模データセンターに置かれている同輩と比べても、IBM i は、引けを取るどころか、おそらくは、ずっとうまくやっているように思われるということです。

時には、そうしたことについて思い起こしてみることも大事なことです。

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