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IBMi海外記事2022.09.14

IBM i を2025年へと導くPower10マシン

Timothy Prickett Morgan 著

2020年代の後半へと導くアップグレード パスを待ち続けてきたIBM i のショップは、もうこれ以上待つ必要はなくなりました。ファウンドリーを変更し(Samsungへ)、プロセス テクノロジーを変更し(10ナノメートルから7ナノメートルへ)、AIを商用アプリケーションに組み込むのに最適な、あらゆる種類のベクトルおよび行列演算機能が詰め込まれた新たなPower命令セットを実装して、ようやく、IBMは、Power10プロセッサー ベースのエントリーおよびミッドレンジPower Systemsマシンの出荷を開始する準備が整ったようです。

コロナウイルス パンデミックによってもたらされた開発サイクルやサプライ チェーンの混乱も、どうにか乗り越えることができたようです。ようやく私たちも、新たなプラットフォームについての詳細な分析作業に取り掛かることができます。皆さんを代表して存分に楽しませてもらいます。しかし、何より重要なのは、これらのマシンに組み込まれているテクノロジーは、今後3~4年間はIBMの製品カタログに載っているであろうし、技術的および経済的におそらく2030年までも生き残り得るテクノロジーだということです。

Power11チップの設計や、Power12についての検討をIBMが行っていないと思っているわけではありませんが、その取り組みがすっかり変わっても、Power10エントリー、ミッドレンジ、およびハイエンド システムでIBMが現在市場に投入できるものであれば、Power Systemsベースは、2030年まで、さらには2035年までも、容易に生き長らえることができるでしょう。唯一、IBMが変更する必要があると思えるのは、新たな4ソケットPower E1050でIBM iオペレーティング システムを稼働できるようにすることです。しかし、残念ながら( そして、私たちの願いも空しく )、IBMは、そうしてはくれないようです。これは簡単に修正できると思います。デュアルチップ プロセッサー モジュールを使用する、このような怪物マシンを使用すれば、非常に高キャパシティのIBM iシステムを構築できることでしょう。

大事なのは、総勢120,000のIBM i 顧客ベースのために、Power Systemsプラットフォームの長期的な持続性がむしばまれてはならないということです。いやむしろ、強調しておきたいのは、IBMが何をしようとも、ハードウェアの面では、長きにわたって順調だということです。そして、Samsung社の7ナノメートル チップ製造プロセスの生産性が向上し、Power10ダイ上の回路がより多く機能するようになるのにつれて、IBMが組み込めるようになる演算能力やキャッシュ容量も一段と向上しています。多くのケースでは、1つのソケットで、16コアのPower10ダイ上にあるコアのうち、4個または8個がアクティベートされているだけです。また、16個のコアのうち、稼働しているのは10個のコアまたは12個のコアというケースもあります。

これを前提に考えると、Power10チップは、長期間、おそらく公式には今後4年間は、最前線に居続けることになると思われます。あるいは、5ナノメートルないしは3ナノメートルへのプロセス シュリンクを伴うPower11チップの開発に、IBMが多額の資金を注ぎ込もうと焦っているようではないのだとすれば、さらに長期間になるかもしれません(おそらく、後者は2025年または2026年までには登場するでしょうが、IBMが1つのプロセス世代を棚上げするつもりだとしたら、もっと先になるかもしれません)。

以上を踏まえて、これから2週にわたってじっくりと、これらの新たなPower10マシンについて詳しく分析を行ってみようと思います。最初は、新たなシステムについて、大まかに見て行きましょう。まずはエントリー マシンから。

Power10マシンの命名規則およびパッケージングは、どこか見覚えがあるもののように感じられるのではないでしょうか。2018年登場のPower9システムの「9」が、2022年登場のPower10システムでは「10」に置き換わるだけです。違いは他にも2つあります。まず、SAP社のHANAインメモリー データベースを稼働するように設計され、特別に微調整および価格設定された、「H」の記号が付く特別なバリアント マシンが用意されていません。また、スーパーコンピューター クラスターで販売された、IBMのGPUアクセラレーテッドPower9マシンの基礎となった「Witherspoon」システムの、後継となるべきPower AC1022もありません。IBMは、Power9でそうしていたのとは異なり、このようなHPCセンターには執着しなくなっているようです。1つには、このビジネスではまったく利益が上がらなかったこともあるのでしょう。つまるところ、IBMにとっては、IBM iおよびAIXの顧客に重きを置いて、大事にする方が良いことなのです。

Power S1014はエントリー マシンです。そして、ご心配の向きも多かろうと思いますが、ご安心ください。IBM i P05ソフトウェア ティアにある、4コアのバリアントは用意されています。ただし、残念ながらIBMは、前身のPower8ベースのPower S814およびPower9ベースのPower S914システムに対して行っていたように、このマシンのメモリーをいまだに64GBに制限しています。おそらくは、そのようなメモリー制限を128GB、さらには256GBに引き上げてもよい時期だろうと思われます。ただし、IBMがそうするとしたら、おそらくPower S924およびPower S1024マシンの売上は、かなり落ち込むことになるでしょう。

新たなPower10マシンには、もうひとつ、興味深い点があります。それは、ストレージ オプションとして、HDD(ディスク ドライブ)やSSD(フラッシュ ドライブ)が用意されていないことです。新マシンはすべて、NVM-Expressフラッシュ ドライブのみをサポートします。NVM-Expressフラッシュ ドライブは、フラッシュ用に調整されたNVM-Expressプロトコルを使用してPCI-Expressバスで接続されるため(はるかに重いディスク ドライブ ドライバー スタックを介するフラッシュSSDとは異なります)、低レイテンシーで高パフォーマンスを実現します。NVM-Expressフラッシュのコストは十分に安価になっており、また、大容量化し、ウェア レベリング技術も向上しているため、NVM-Expressフラッシュは、プライマリー ストレージとしても利用できるようになっており、ディスクやSSDを圧倒しそうな勢いです。サーバー ノード内でのストレージ要件があまり厳しくないIBM iおよびAIXのショップでは、HDDやSSDを一掃するちょうど良い機会と言えます。

Power S1022sマシン(マシン名に小文字の「s」が付きます。誤入力ではありません。9105-22Bとも表記)は、最大で8個のコアがアクティブな、Power10チップのシングルチップ モジュール(SCM)実装を備えており、ソケットは2つ、最大コア数は16個です。Power S1022(「s」が付かないモデル)および対となるPower L1022(Linux専用システム)は、デュアルチップ モジュール(DCM)Power10ソケットを使用し、最大で、チップ当たり10個のコア、ソケット当たり20個のコア、およびシステム当たり40個のコアとなります。

Power S1024およびPower L1024(Linux専用システム)は、拡張性に優れた4Uシャーシで、Power10 DCMを備えており、最大で、チップ当たり12個のコア、ソケット当たり24個のコア、システム当たり48個のコアとなります。

以下に、エントリーPower10マシンのプロセッサーSKUを示します。

ベース クロック スピードはやや低めのようであり、これらのマシンのCommercial Performance Workload(CPW)レーティングは、より高いクロック スピードで稼働するコア向けだろうと思われます。Power S1022s、Power S1022、およびPower S1024マシンがどのIBM iソフトウェア ティアにあるかは明らかでありません。現在、調査中です。

エントリーPower10マシンはすべて、IBMのOpenCAPI Memory Interface(IBMはOpen Memory Interfaceとしてリブランドしようとしています)、およびDifferential DIMM DDR4メモリー(3.2GHzで稼働し、Power10ソケット当たり最大で409GB/秒の帯域幅を実現)をサポートしています。これは、近頃の一般的なX86プロセッサーの約2.4倍であり、これはなかなかのものです。IBMは、7月22日以降、すべてのエントリー マシンで、64GBおよび128GBのDDR4 DDIMMをマシンとともに出荷することになります。また、256GBのDDR4 DDIMMは、マシンのフル メモリー容量が利用可能になる11月8日までは、市場に出ないということです。IBMのPowerプロダクト マネジメント担当バイスプレジデントのSteve Sibley氏は、IBMには、OMIをサポートする、DDR4 DDIMMフォーム ファクターの512GBメモリー モジュールを提供する意向はないと『 The Four Hundred 』に述べています。また、IBMは、メモリーの帯域幅と容量を同時に増やすために、Power10システムのメモリー レーン数を2倍にした、とも述べています。これが、他のシステム アーキテクチャーと異なるところであり、他のシステム アーキテクチャーでは、チャンネル当たり2枚のDIMMを使用したり、より容量の大きいメモリー スティックを使用したりすることで、メモリー容量を増やすことはできますが、帯域幅を増やすことはできません。そして、このやり方では、容量単位当たりの帯域幅はむしろ半減します。

これは優れた設計であり、以前に述べたように、他のサーバー メーカーは、IBMがPower10メモリーで行っていることに着目するべきだと思います。

性能データおよび価格については、現在、情報収集している最中ですが、Power9プロセッサーと比較して、Power10エントリー マシンのパフォーマンスや価格性能比という観点から、顧客はどのようなことを期待できるかSibley氏に尋ねてみました。すると、Power S1014エントリー マシンを例に挙げて、次のような答えを返してくれました。

「Power S1024は、Power S914と同じ価格にはなりません」とSibley氏は説明します。「Power S1014の価格は高めになっています。これは、インフレで全般的にコンポーネントのコストが高くなっているからであり、また、これらのマシンには非常に多くのものが詰め込まれたからでもあります。Power S1014の価格は、Power S914と比較して20%~25%高くなりそうですが、構成によっては、パフォーマンスは約70%向上し、価格性能比は約40%以上向上するでしょう。そして、ご承知の通り、今四半期末には、Power S1024での、IBM i 7.5のサブスクリプション料金プランが開始となります。」

サブスクリプションの開始も楽しみですが、その一方で、Power S1014でのIBM iの1シート当たりの料金が、データプラン付きのiPhoneと比較して、どれくらい安くなるかについても興味津々です。 先週の記事で示したように、半分くらいのコストになるのではないかと思われます。

そして、これらのマシンそれぞれについて、詳しくお伝えできるようになるのが楽しみです。乞うご期待。

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