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IBMi海外記事2023.07.26

避けては通れないPower9ハードウェアの営業活動の終了

Timothy Prickett Morgan 著

ハイエンドのPower10マシン、Power E1080の 出荷が2021年9月に開始され 、残りのPower10ラインが 2022年7月に発表されたことから、その時点でPower9ベースのマシンの将来性が明らかになりました。

IBMがPower9チップを調達(ましてや販売)する能力は、たとえそうしようと思っているとしても、いくぶん心許ないものがあります。2014年10月、IBMはMicroelectronics部門をGlobalfoundries社に売却しました(同社は、アブダビ政府の支援を受けた、AMD社のファウンドリー事業のスピンアウト企業であり、その5年前にChartered Semiconductor社と合併しています)。ここに複雑な事情があります。IBMは、 2021年7月に、Power9チップの2つのバリアント「Nimbus」および「Cumulus」の製造を手掛けるGlobalfoundries社を相手取って訴訟を起こしています。これによって、IBMがPower9チップをそれ以上調達しづらくなったことは間違いありません。一方、Globalfoundries社も、今年4月、IBMがもはや権利を有していない半導体の知的財産を、Intel社およびRapidus社(日本の政府支援のチップ コンソーシアム)に売り渡したとしてIBMに対して訴訟を起こしています。

IBMは、ある程度の期間に見込まれる需要を十分に満たせるくらいの、大量のPower9チップを確保してあったと思われ、元に戻ってGlobalfoundries社にもう少しPower9デバイスをエッチングしてもらえるよう頼もうとはし難いでしょう。また、Power10チップのエッチングはSamsung社が行っていますが、歩留りが思わしくない(あるいは悪い。Samsung社がサーバー チップを製造するのは初めてであることも考慮すべきですが)こともあり、IBMは、そうした歩留りを改善するためにも、Power10チップに可能な限りの最大量を割り当てたいと考えているのは間違いないでしょう。

5月9日付けの 発表レター「AD23-0252」 で、Power9製品ラインの営業活動の終了が発表されました。よくあることですが、営業活動終了の時期はモデルごとに異なり、早めにIBMのカタログから外されるモデルもあれば、後になるものもあります。おそらく、これは、IBMの倉庫にまだ残されている個々のPower9マシンの台数を反映しているのかもしれません。

オークリッジ国立研究所(ORNL)の「Summit」スーパーコンピューターおよびローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)の「Sierra」スーパーコンピューターの基盤となっている、Power AC922ハイブリッドCPU-GPUマシンの2つのバリアントは、8月9日付けで営業活動が終了となります。これらのLinuxマシンは、現時点で2世代前のNvidia「Volta」V100 GPUアクセラレーターを使用していることから、驚くには当たらないでしょう。また、IBMは、Power10マシンに、最高性能のNvidia社の最新の「Hopper」H100 GPUアクセラレーターを密統合させることはなく、NVSwitchメモリー ファブリックを使用してノード内でGPUパフォーマンスをスケーリングします(IBMは現行Power10マシンでGPUのPCI-Express 5.0バリアントをサポートするかもしれませんが、これについては大騒ぎしていません)。顧客がオーダーするPower AC922マシンの納入は、9月9日までに行われる必要があります。

Power9システムの営業活動終了の期限としては、10月20日の期限の方が、より広範に影響が及ぶことになりそうです。P05クラスのシングル ソケットPower S914およびP10クラスのデュアル ソケットPower S922およびPower S924マシンの営業活動の終了については特にそう言えるでしょう。また、4ソケットPower E950も同じ日に営業活動が終了となり、これは、4ソケットPower9マシンを使用している一部のAIXショップにとっては心配の種になるかもしれません(IBM iは、Power E950ではサポートされませんでした)。非常に多くのIBM iのショップは、Power S914マシンですべての処理を容易に行うことができ、実際、多くのショップがそうしています。したがって、Power S914を購入するかもしれない多くの顧客は、より多くの資金を投じてPower S1014を購入しようという気はありません。公平に言えば、Power S1014の方がはるかに高い性能ですが、おそらくそれは、彼らが実際に必要としている性能以上であるかもしれないからです。

いずれにしても、Power S914、Power S922、Power S924、Power S922、またはPower E950の納入は、11月20日までに行われる必要があります。

最後に、Power9マシン ファミリーの他のメンバーも、10月20日付けでIBMのカタログから外されます。これには、Power H922SとPower H924S、そしてPower S924、Power E950、およびPower E980のHealthcare Solution Editionバリアントが含まれます。これらのマシンの納入は、11月20日までに行われる必要があります。

私たちの知る限りでは、基本バージョンのPower E980については、営業活動が終了されないようです。

IBMは、在庫がなくなるまでは、もちろん、Power9システムを販売し、フィーチャーをアップグレードするでしょう。しかし、IBMは世界各地でIBM iおよびAIX顧客向けにPower10マシンへのアップグレードおよびシステムの乗り換えを行っているため、多くのケースではIBM自体から、大量のPower9ハードウェアが中古市場に出回ることになりそうです。最後に、念のため、お伝えしておきますが、IBMによるPower9機器の技術サポート サービスは、まだ数年間は終了しません。

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