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IBMi海外記事2024.03.13

IBM i コミュニティによる2024年の予想

Alex Woodie 著

宇宙船地球号が、また太陽を一周する旅を終えました。ということは、IBM i の2024年を予想する時期になったということです。今年の予想もお楽みいただければと思います。楽観的な見通しと現実的な見通しが上手い具合に混じり合っているようです。

IBM i の未来は、大きく開かれています。すなわち、オープンソースが未来を切り開くということです。 Code for IBM i の生みの親であり、IBM i 向けのソフトウェア開発を手掛けるLiam Allan氏はそう予想しています。

「私の予想は非常にシンプルです。企業は、オープンソースのパワーを通じて引き続き自己投資するでしょう」とAllan氏は述べます。「開発ツールを使用していようと、Node.jsのようなオープンソースのランタイムを使用していようと、さらにはJavaのより新しいバージョンを使用していようと、オープンソースを使用することで、新しく素晴らしいことにチャレンジする力が得られます。」

Fortra 社(旧HelpSystems社)のPowertech Solutions担当テクニカル プロダクト マネージャー、Kurt Thomas氏によれば、2024年はサイバーセキュリティ投資の年になるということです。

「2024年には、コンプライアンス上の理由から、組織はサイバーセキュリティへの投資を改めて迫られることになるでしょう」と彼は述べています。「結局のところ、コンプライアンス フレームワークというのは、組織がどう振る舞うべきかについての、社会(または業界の大手企業)の大多数の見識を表したものと言えます。そうした観点から見ると、社会としても、サイバーセキュリティは、世の中を円滑に動かすのに必要なものだという結論に達しつつあるということです。」

「EU域内で事業を行う金融機関は、2025年1月1日の適用開始までの残り時間を利用して、EUのデジタル オペレーショナル レジリエンス法(DORA)に備えて準備を行う必要があるでしょう」とThomas氏は続けます。「EU域内に拠点を置き、NIS2規制の下で重要なカテゴリーに分類されている組織は、同様に2024年10月までに防御態勢を強化しておく必要があります。地政学的な動向を踏まえると、中規模および大規模企業に対するスパイ行為の試みや、クリティカルなインフラストラクチャーの機能を妨害しようとする試みを目にすることが多くなることも覚悟しておく必要があります。IBM i を使用している組織にとっては、こうしたことをすべて言い換えるとすれば、IBM i およびIBM i と接続するプラットフォームのセキュリティに対する投資が必要だということです。テクノロジー、ビジネス プロセス、および人材(サイバーセキュリティ意識、トレーニング)の各側面を考慮に入れ、一定水準の防御態勢が確保されるようにしておく必要があります。」

IBM i の未来は「brite(明るい見通し)」であるものの注意は必要、と予想するのは、 Briteskies 社のエンタープライズ アカウント エグゼクティブで、2024年のIBM Championに新たに認定されたJosh Bander氏です。

「私の2024年の予想は、IBM i のショップが、Node.js、AI、およびGitHubといった、より新しい言語やテクノロジーの採用を続けるというものです」と、昨年の IBM i にゆかりのある家庭用品による認知度向上 キャンペーンの仕掛け人となったBander氏は述べています。「しかし、このプラットフォームから離れて行くショップはさらに多くなるでしょう。古いAS/400を使用しながら、新たな人材を見つけたり、CEOのご機嫌を損ねないようにしたりするのは大変だからです。その一方で、このプラットフォームから離れようとする、そうしたまさに同じショップは、移行作業を行っている間にも、かつてない大きな苦境に陥っていることに気付くこととなるでしょう。このプラットフォームから離れるわけなので誰も雇うことはできませんが、「1年間の実装」プロセスの間にもサポートは必要です。そのうえ、ITスタッフは、新たなソフトウェアを購入することはできません。IBM i から他へ移行しようとしているのに、そのIBM i に投資することはできないからです。そのため、ソフトウェアの売上は減少するでしょうが、サービス提供企業は、飛び込んでくる仕事の量に圧倒されることになるでしょう。」

IBMビジネス パートナーである Source Data Products社社長のBob Losey氏によれば、2024年の業界天気予報は、雲(クラウド)が多く、マネージドPowerサービスの売上が伸びる可能性が高いということです。

「全体として、ホスティング、バックアップおよびディザスター リカバリー ソリューションなど、IBMクラウド ソリューションの伸びが続くと思います」とLosey氏は『 IT Jungle』に述べています。「リモートIBM i マネージド サービスの持続的な伸びです。IBM i ユーザーは、そうした技能を持っていてもいなくても、外部委託して時間短縮を図ろうとするでしょう。ディザスター リカバリーでは、ユーザーが最終送信ポイントからのリカバリーを必要としない場合は、IBM FlashSystems Storageの伸びが予想されます。リモート ジャーナリング ハイ アベイラビリティー ソフトウェアのライセンス、年間サポート、および継続的メンテナンス費用に比べて、費用が掛からないこともあるためです。IBM Power10のテクノロジーやパフォーマンスは驚異的ではありますが、多くの小規模ユーザー(P05およびP10ソフトウェア ティアのユーザー)にとっては、導入コストは受け入れ難いものがあります。したがって、Power10の伸びは、自前のIBM i スタッフを抱えるユーザーや、複数のコアおよびLPARを必要とする大規模ユーザー(特にLUGユーザー)には好都合だろうと思われます。こうした大規模なIBMユーザー グループは、Power10の費用と性能の妥当性について、より簡単に容認できるからです。」

この数年間の生き残りを懸けた闘いを終えて、IBM i のショップは、ビジネス環境をフル活用し、攻勢に出てシェア獲得の方向へ向かうだろうと、 Profound Logic社のグローバル セールス担当シニア バイスプレジデント、Michael Killian氏は予想します。

「この数年で、組織も誤りを免れられないことが明らかになったことで、正しいと認められていたITの業務慣行の見直しが促されています。2024年には、組織のすべてのレベルが、変化は避けられないことを認め、価値と成長に重きを置いた新たなアプローチを取り入れることになります。こうした変化は、IBM i の領域でも顕著に表れています。RPG開発者(Profound Logic社のパートナーシップを活用している開発者も含めて)は、新たな可能性を探り、変化の意義を認識しようとしています」とKillian氏は述べています。

「Profound Logicのようなソリューションを利用することで、進歩するには過去のIT投資と新たな技術的機会の探究とのバランスが必要だということを組織は実感することとなります。今は多様性のある技術的環境だということを認識することで、過去と現在の方向性の調和的な統合が促されます」と彼は続けます。

「2024年は、過去の延長ではありません。断固たる行動を取る年です。そうするには、ニーズを認識し、新技術を取り入れるとともに、組織が学び、探究を行う際に常にチャレンジ精神を持つことが必要です(Profound Logicのようなソリューションがサポート)。自信を持って弾力的に前進し、革新的なソリューションを活用して成功と成長を実現できる年となりますように。」

テープは今もなお健在ですが、顧客は、ますます、高速なディスクベースのアプライアンスおよびバーチャル テープ ライブラリー(VLT)でバックアップを実行するようになっています。この傾向は2024年も続くと、 LaserVault社のマーケティング マネージャーのMary Martinez氏は予想します。

「IBM i のショップは、手動式のテープの利用からの移行を続け、レガシーなバックアップおよびリカバリー システムからテープレスなソリューションへのアップグレードが進むでしょう」と彼女は述べています。「仮想テープ ソリューションの簡便性と効率性により、スピードおよびアクセス性という利点と相まって、仮想テープ ソリューションは、最新のバックアップおよびリカバリー領域におけるゲーム チェンジャーとなっています。組織がデータ量の増大や技術的環境の進化に対処する際に、仮想テープ テクノロジーの採用は、クリティカルなビジネス データのレジリエンスおよびアクセス性の確保に向けての戦略的な布石となります。」

セキュリティに関しては、IBM i の意思決定者は、認識を一変させられ、それまで思っていたのとはまったく違っていることに気付かされるだろうと、 Kisco Systems社でビジネス開発を率いるJustin Loeber氏は述べています。

「セキュリティの領域では、IBM i を企業に迎え入れ、全体的なセキュリティ戦略に組み入れることは、思っていたほど難しくなく、費用も掛からないと組織は認識しているようです」とLoeber氏は述べます。「セキュリティという言葉の定義が拡大されることと相まって、セキュリティ運用に注目が集まっているようです。そのことが示すのは、セキュリティが、テクノロジーおよび運用戦略の枠組みを継続的に管理することだと理解されるようになったということです(たとえば、OS管理、修正、ディザスター リカバリー、監査、システム監視、およびプロアクティブな保護など)。予防は修復より費用が少なく済みます。このことを「理解」している組織は、支出を抑えつつ、迅速かつ簡単により効果的なセキュリティ態勢(そして心の平安)を得ることができるでしょう。」

頻発しているように思われるランサムウェアおよびサイバー攻撃には、誰もが皆、うんざりさせられています。IBM i には、本来的にサイバー犯罪に対する耐性がある程度はありますが、IBM i プロフェッショナルは警戒を緩めないことが重要だと、 Raz-Lee Security 社CEOのShmuel Zailer氏は念を押します。

「ランサムウェア対策ソフトウェア ソリューションについては知られていますが、攻撃開始と同時にランサムウェアがIBM iも標的にすることができることは認識されていません」とZailer氏は述べています。「今年は、こうした状況が変わると良いと思います。こうした脅威からすべての人を保護することができるランサムウェア対策ソリューションを利用することにより、今年はIBM i コミュニティに影響を及ぼすインシデントが少なくなることを願っています。IBM i 内でのセッションの開始時から保護を開始する必要があります。Microsoft社のMelanie Maynes氏が述べているように、「アカウントに対する攻撃の99.9%を防ぐために簡単に行えること」は、多要素認証(MFA)を導入することです。」

「今年は、IBM i にとってのMFA元年とするべきです」とZailer氏は続けます。「MFAでは、すべての出口点およびセッションを保護することができ、システムはかつてないほどにセキュアになります。MFAは、認証ソフト、指紋認証、顔認証、その他の方式とともに使用することができます。これまで、こうした様々なソリューションの開発に多大な労力を注いできましたが、結局は、将来においても、誰もが直面することになる新たな課題が次々に出て来ることになるのでしょう。」

今年のIBM iについての予想の第1弾は以上です。続きもお楽しみに。

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