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IBMi海外記事2018.04.26

BRMSのクラウド バックアップにおけるリカバリーの新機能

Alex Woodie 著

Backup, Recovery and Media Services for i(BRMS)を使用しているIBM iのショップが、バックアップをクラウドに保存できるようになって1年以上になります。しかし、それらのバックアップを、元のサーバーではないシステムへリストアする場合には制約があるため、この機能の実際の災害時における有用性は低くなっていました。現在、IBMと開発パートナーは、IBM i TRの最新のバッチにより、その制約を取り除こうとしています。

そのBRMSの新機能については、IBM i 7.3テクノロジー・リフレッシュ4(TR4)およびIBM i 7.2 TR8について概観した前回の記事でも触れています。今回の2つのOSのTRの最大の目玉はもちろん、IBMがまもなく出荷を始める新たなPower9ベースのPowerSystemsサーバーのサポートです。しかし、IBMは、他にもいくつかの興味深いフィーチャーおよび機能を発表しています。もう少し詳しい説明があった方がよさそうなものもいつくかあります。

そうしたもののうちの1つは、システムに付属のIBM iネイティブのバックアップおよびリカバリー製品であるBRMSに追加される新たな「クラウド リモート システム リストア」機能です。BRMS(製品番号 5770-BR1)は、唯一のIBM i向けバックアップおよびリカバリー製品というわけではありませんが、IBMの「戦略的な」IBM i向けバックアップおよびリカバリー製品としての位置付けのおかげで、そのカテゴリーで疑いなく最も頻繁に使用されている製品と言えます。

2016年の秋にIBMが、Cloud Storage Solutions for iと呼ばれる新たなクラウドベースのオブジェクト ストレージを発表したとき、それはIBM iの顧客向けの最新のストレージ メカニズムの始まりを告げるものとなりました。WindowsおよびLinuxの顧客には、Amazon Web Services Simple Storage Service(S3)などのクラウドベースのオブジェクト ストアを利用する選択肢があったように、IBM iのショップは、SoftLayerデータセンターで稼働されているIBM独自の分散型オブジェクト ストアにデータを保存することができるようになりました。これはCleversafe社の買収がベースとなったものでした(IBMは2017年初めにAWS S3バケットにストレージをオープンにしました)。

BRMSとCloud Storage Solutions for i(製品番号 5733-ICC)との統合は見たところ、うまくいっていたように思われましたが、いくつかの制約がありました。

まず、混雑したインターネット接続を介してギガバイト単位のデータをクラウドへアップロードするという現実的な問題がありました。平均的なインターネット接続を介してある程度のサイズのデータベースをバックアップするのには、数日掛かることもあり得ます。このことがカスタマー エクスペリエンスに否定的な影響を与えかねないことを懸念して、当初、IBMはこのオファリングで保存されるバックアップのサイズを1TBまでに制限していました。

また、BRMSの顧客がファイルをリカバリーできる場所についても制限がありました。ユーザーは新たなシステム上でベアメタル回復を実施することはできましたが、既存のIBM iシステム上にファイルを回復することはできませんでした。このことにより、サービスとしてディザスター リカバリーを提供しているマネージド サービス プロバイダー(MSP)にとっては有用性の低いものとなってしまいました。

IBMの委託を受けてCloud Storage Solutions for iを開発したRocket Software社エグゼクティブのDan Magid氏は、昨年の10月、そうした状況について次のように簡潔にまとめています。「バックアップおよびリストアの足を引っ張っているのは、現時点ではバックアップ元と同一のシステム上でリストアを行わなければならないという点です」とMagid氏は『IT Jungle』に述べました。「ディザスター リカバリーの状況によっては、そのシステムにアクセスできず、別のシステムへリストアする必要が生じます。」

Cloud Storage Solutions for iに対する、2017年10月のアップデートでIBMは、1TBのバックアップ制限を撤廃するとともに、暗号化および圧縮のサポートを追加しました。これらは、予期せぬデータの開示に対する厳罰化に直面している企業をターゲットにするのに必要な企業向けの機能でした。けれども、データのリストアの制限は残されたままだったのです。

その制限は、今回のTRでなくなります。IBM i 7.2および7.3向けの最新のTRにより、IBM iのショップは、元のシステム以外のシステム上で仮想バックアップ メディアをクラウド ロケーションから代替ロケーションに復元できるようになります。

IBMの広報担当者は、ベアメタル障害復旧は常にCloud Storage Solutions for iとBRMSとの統合の重要部分でしたが、この新機能はユーザーに歓迎されるはずだと述べます。

これまでも、災害発生時には、IBM iのショップはいつでも完全に新しいハードウェアへ回復することは可能だったと広報担当者は『IT Jungle』へのメールで述べています。新しいのは、元のシステムまたはLPARではなく、別の既存のシステムまたはLPARへ仮想クラウド メディアをダウンロードできようになった点だと広報担当者は述べます。

Rocket社は、IBMと、そして現在、IBMの委託を受けてBRMS製品の開発を支援しているHelpSystems社と協働して、そのような制限の修正に取り組みました。その成果は、来月、アップデートが出回り始めたら、すべてのIBM i 7.2および7.3ユーザーに利用可能になります。

BRMS PTF Groupは、3月16日に入手可能になるとIBMは述べています。

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