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IBMi海外記事2021.02.24

MariaDBがRPMを通じて利用可能に

Alex Woodie 著

IBM i コミュニティにとってのデータベースとなると、一番手はDb2 for iであり、これはいつも変わらないでしょう。しかし、1つのデータベースのみに限定する理由は何もありません。IBMは、このプラットフォームにおける二番手のデータベースとも言えそうなMariaDBを、IBM i のショップが簡単に入手可能にしようとしています。

MariaDBは、MySQLから派生したオープンソースのリレーショナル データベースです。MySQLは、言うまでもなく、長年、IBM i サーバーでサポートされてきました。しかし、MySQLを開発した企業を買収していたSun Microsystems社が、 Oracle社によって買収されたことを受けて、MySQLの中心的な開発者であるMonty Widenius氏は、このデータベースの、決して完全所有されることのないバージョンを開発することとしました。

MariaDBは、2016年以降、 IBM i プラットフォーム上で稼働 してきました。MariaDBは、Zend社(PHP企業)をはじめとするオープンソース コミュニティの取り組みによって、MySQLと同じように、IBM i 向けPASE AIXランタイムで稼働できるようになりました。多くのPHPアプリケーションは、データを格納するためにMySQLデータベースが存在することを想定して開発されていたため、MariaDBをMySQLの完全互換にしたことによって、それらのアプリケーションは大幅な変更を行うことなく、基本的に現状のままで稼働することが可能となりました(2011年にOracle社がIBM i でのMySQLの テクニカル サポートの提供を終了 したことから、IBM i 上でこのデータベースを稼働しようとする機運はさらに高まりました)。

Jesse Gorzinski氏のツイート
Jesse Gorzinski氏のツイート(@IBMJesseG)。

この2年の間に、IBM i のオープンソース コミュニティの活動に変化がありました。現在は、IBMの5733-OPS製品からソフトウェアを入手する代わりに、ソフトウェアの配布は、より広いオープンソース コミュニティが使用しているのと同じ方式で行えるようになっています。具体的に言えば、RPM(Red Hat Package Manager)およびYum(Yellowdog Updater Modified)を使用してオープンソース ソフトウェアを入手するということです。

RPMおよびYumは、IBM i 上でオープンソース ソフトウェアを入手する手段として、実質的に5733-OPSの代わりとなっています。さらに、IBM i プロフェッショナルは、ほぼすべてのIBM i のショップにあるユーティリティ、Access Client Solutions(ACS)クライアント インターフェースを介して、数々のオープンソース製品(合計400ほど)にアクセスすることもできます。

そこで、良い知らせです。MariaDBがRPMを通じて入手できるようになりました。MariaDBを入手するには、ACSにログインして「オープン・ソース・パッケージ管理」画面に進み、ページを少しスクロール ダウンして、リストされているデータベースを見つけるだけでよいのです。

MariaDBには、MariaDB Community EditionとMariaDB Enterpriseという2つのバージョンがあります。IBMのオープンソース担当ビジネス アーキテクト、Jesse Gorzinski氏が示してくれたスクリーンショットによれば、どちらのオファリングもRPMを通じて利用可能なようです。このプラットフォームでは、厳密に言えば、MariaDBバージョン10.3.25-1が利用可能ということになります。

MariaDBデータベースの後ろ盾となっているMariaDB社では、顧客にMySQLからの移行を強く推し進めています。しかし、IBM i プラットフォームでは、移行に関していくつか検討すべき点がありそうです。特に、顧客がDb2ストレージ エンジンを採用している場合です。Db2ストレージ エンジンは、MySQLがDb2 for iにデータを格納することを可能にしましたが、MySQLおよびAPIをアプリケーションにエクスポーズします。残念ながら、IBMDB2Iストレージ エンジンは MariaDBではサポートされていないため、そのエンジンを使用していて、MariaDBへ移行したい顧客は、代替品を見つける必要があります。

MariaDB
これらは、MySQL/MariaDBデータベースを想定していて、IBM i 上で稼働できるアプリケーションです(画像提供: Erwin Earley/Perforce)。

にもかかわらず、特に、IBM i 上での商用アプリケーションの稼働に関しては、MariaDBは、IBM i 上で前途有望のようです。Joomla、WordPress、Drupal、SugarCRMなどのアプリケーションは、すべてIBM i 上で稼働して、データベースとしてMariaDBを使用することができます。

もちろん、Db2 for iやMariaDBの他にも、IBM i では数多くのデータベースの選択肢があります。 今年前半、IBMは、オープンソースのリレーショナル データベース、PostgreSQLおよびMongoDB(ドキュメント指向NoSQLデータベース)のIBM i でのサポートを発表しました。それらは、IBMが 2019年にIBM i への導入を発表した、高速なインメモリー キー バリュー ストア、Redisの仲間に加わるという形になりました。

IBM i におけるデータベースのラインナップは、ここ数年間でぐっと幅広く分厚くなっているため、IBM i におけるイノベーションがもうすぐ終わるなどと考える理由はまったくなさそうです。

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